上 下
348 / 942
1年生3学期

3月17日(木)晴れのち曇り 大山亜里沙の再誕その12

しおりを挟む
 大きな揺れがあった後の木曜日。僕の地域ではほとんど影響がなかったけど、朝のニュースがそれ一色になっていると、いざという時に備えておかなければと思う。

 そんな中、僕は通常通り登校して今日もテスト返却や授業をこなしていく。

「そういえばさ、春休み中はテストの補習あるのかな? うぶクンは何か知ってる?」

 大山さんから唐突にそう振られたのは、5時間目終わりの休み時間だった。その前では英語表現のテストが返却されたので、恐らくその流れでの話なのだろう。

「ううん。何も聞いてない」

「そっかー そもそもうぶクンはこれまで補習一回受けてないもんね」

「ありがたいことにそうだけど……大山さん、もしかしてさっきのテスト……」

「赤点じゃないよ? というか、全部の結果わかるまで探りを入れるのはナシでしょ」

 大山さんがそう言うので僕は「ごめん」と謝るけど、その話題を振られてしまったら探りを入れてしまっても仕方がないと思う。

「でも、なんで補習の話になったの?」

「いや、学期末で残りの日数も少ないからどうなるのかなって気になっただけ」

「確かに。一応は来週も木曜日までは授業あるし、昼休みや放課後に補習できそうだけど、仮に休みに食い込むのちょっと嫌だね」

「でしょでしょ? 言っても春休みって一週間ちょっとしかないし、遊びに行きたいなら補習なんて受けてられないよね」

 大山さんにそう言うと、僕は補習のことよりもあまり長くない春休みの方が気になってしまった。その期間の中で大山さんに何かおごるか、あるいはおごられる日を設定するのは申し訳ない気がする。

「大山さん、テストの結果は来週中にわかると思うけど、勝敗が付いたらすぐにおごるようにしない?」

 そこで僕は今回の勝負について春休み前に終わらせておくように仕向ける。その方がお互いにとって時間を有効活用できるはずだ。

「それでもいいよー ということは、うぶクンが勝った時のことも決めれたんだよね」

「……も、もちろん」

「アタシ、今回も結構自信あるから負けないよー!」

 僕は誤魔化したけど、大山さんが聞いてこなかったので何とか助かった。

 勝敗がどうなるかはわからないけど、正直、僕が買ってもミスドをおごって貰えばいいような気がしてきている。結局のところ、二人でお店に行って片方だけ買わないというのも何だかおかしな状況になってしまうから、場所を合わせればウィンウインになるはずだ。

 ただ、本当にそれでいいかと言われると……こういう時に迷ってばかりだからしっかり決めた方が良いとも思ってしまう。
 自分が好きなものを言うだけなのに、こんなにも迷ってしまうところは来年度も治りそうにない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

連れ子が中学生に成長して胸が膨らむ・・・1人での快感にも目覚て恥ずかしそうにベッドの上で寝る

マッキーの世界
大衆娯楽
連れ子が成長し、中学生になった。 思春期ということもあり、反抗的な態度をとられる。 だが、そんな反抗的な表情も妙に俺の心を捉えて離さない。 「ああ、抱きたい・・・」

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

家政婦さんは同級生のメイド女子高生

coche
青春
祖母から習った家事で主婦力抜群の女子高生、彩香(さいか)。高校入学と同時に小説家の家で家政婦のアルバイトを始めた。実はその家は・・・彩香たちの成長を描く青春ラブコメです。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

処理中です...