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1年生3学期

3月6日(日)曇り 明莉との日常その40

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 また寒さが戻ってきたような気がする日曜日。今日は午前中に明後日と明々後日で気になる教科、午後に明日の教科を勉強していく。

 そのうちの午後の時間帯。既にテストが終わった明莉が僕の勉強を見張ってくれることになった。

「わざわざ悪いな、明莉」

「全然。あかりもちょうどやりたい作業あったし」

 そう言った明莉はルーズリーフとシャーペンを取り出す。

「あれ? 春休み前に実力テストとかあるんだっけ?」

「ううん。部活の先輩へ送る寄せ書きのメッセージを考えるの」

「あー バド部はそういうのあるんだ」

「そうそう。先輩を号泣させる激エモメッセにしないと」

 狙い過ぎると逆に泣けなくなってしまいそうだけど、同級生とはまた違う部員からの言葉は胸に刺さるものがありそうだ。

「でも、7人いるから結構大変なんだよねー 書くことないわけじゃないんだけど、文字数的に多く書けないから同じようなメッセになっちゃいそうだし」

「それは確かに。先輩ごとに何か特徴的なエピソードを載せられたら良さそうだけど、字が小さくなり過ぎてもなぁ」

「……りょうちゃん。まるでやったことあるかのように言ってるけど、書いたことあるんだっけ? ていうか、貰ってもないんじゃない?」

「…………」

 明莉の指摘に僕は何も返せなかった。中学1年生の時点で卓球部の幽霊部員になっていた僕は色紙にメッセージは書いてないし、後輩から書かれた色紙を貰ったことがない。
 つまり、今言ったのは想像上で考えた話である。

「りょうちゃん……今年は3年まで部活続けられたらいいね」

「そ、そうだな。そのためにはまず後輩に入って貰わないと駄目なんだけど」

「今年が2人だけだったなら、今年は反動で20人くらい来るかも?」

「何の反動なんだ。それに20人は多過ぎるよ」

「サッカー部とか野球部とかならあり得そうだけどなー まぁ、寄せ書きに関してりょうちゃんに頼れるのは誤字脱字チェックくらいだから、気にせず勉強してよ」

「は、はい……」

 明莉は上から言ったつもりはないんだろうけど、何故だか僕は敗北感を味わっていた。こればかりは幽霊部員になってしまった僕が悪いんだけど。

 それから僕はテスト勉強を終えた頃、明莉も何となくメッセージの方針が定まったらしい。そういれば今年の文芸部の3年生に対しては特にそういう送り出す言葉はないようだけど、2年生の先輩方は何か考えているのだろうか。
 僕が2年生になった時は今の2年生の先輩方へ色々と感謝の言葉を送りたいと考えているけど……まずは幽霊部員にならないように努力しよう。
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