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1年生3学期
1月24日(月)晴れ時々曇り 花園華凛との日常その4
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実質的には1月最後となる週の月曜日。冬休み明けからそこそこ時間が経ったというのに、僕はまだ彼女と顔を合わせていなかったようだ。
「あけましておめでとうございます、リョウスケ」
廊下で偶然出会った花園さんに今更新年の挨拶をさせてしまう。いや、一応はLINEで挨拶はしていたけど、そこから1組に行く用事がなかったのでこんなタイミングになってしまった。
「お、おめでとう。花園さん」
「てっきりもう少し早く会えるものだと思っていましたが、意外に機会がないものですね。ただ、ミチちゃんから最近の話は聞いています。何でも先日は大切なものを覗き見をしたと」
「じ、事実ではあるけど……もしかして岸本さん、怒ってたりする……?」
「そうですね……かなり引きずっているように見えました」
「そ、そうなんだ。今度もう一回謝ろう……」
「ちなみに冗談です。恥ずかしそうにはしてましたが、怒ってはいません」
そして、久しぶりに花園さんらしい会話を仕掛けられてしまった。どうやら僕の扱いは良くも悪くも変わっていないようだ。
「それよりリョウスケ。ちょうどこの土曜日の話なのですが、花月堂にJKのお客さんが複数人来られまして」
「JKの……」
「そのJKの一人が華凛の母に「うぶクンの紹介で来たんですよー」という話をしたそうで、それが華凛の方にも伝えられたのです」
「ああ。大山さんたち、一昨日に行ってたんだ」
「華凛はひどく驚きました。リョウスケが普段あれほどの人数の女子を侍らせているなんて……」
「違う違う! 侍らせてるとかじゃないから!」
「まぁ、それはわかっていますが、宣伝のお礼が言いたかったので、今日ちょうど敢えて良かったです。ありがとうございます……うぶクン」
そう言いながら花園さんは軽くお辞儀する。言葉は冗談めかしているけど、花園さん的には普通に感謝してくれているのだろう。
「いやいや。宣伝とかじゃなくて、純粋に美味しいかったって話をしただけだから」
「それでもお店としてもJKのお客さんが増えてくれると嬉しいと母も言っていたので」
「そうなんだ。僕が行った時は結構若い人多かったように見えたけど」
「その辺りは大学生以上が多いと聞いています。食べるところがあってもやはり少し入るのには敷居が高いと感じる人もいるようですし、今はコンビニでもお手軽にスイーツが手に入るからわざわざ専門店に行かなくてもと思う人も多いので」
そう言われると、コンビニスイーツに夢中な我が妹を知っているから納得してしまう。値段で考えたら花園さんのところのお店はそれほど高いわけじゃないけど、雰囲気だけで見ればちょっと高そうにも見える。
「今後ともぜひダイレクトマーケティングをよろしくお願いいたします。1人につき、次回の来店で白玉一つを追加しますので」
「それは嬉しいけど、特別な待遇はいらないよ。でも、美味しいのは広めていくから安心して」
「はい。それでは華凛はこれで。また機会があればお会いしましょう」
花園さんはまるで凄い別れのように言うけど、学校へいる限りは近いうちに出会うこともあるとは思う。
ただ、積極的に会いにいかなかった僕にも悪いところはあるので、今度は岸本さんを含めてまたどこかへ行くのもいいと思った。
「あけましておめでとうございます、リョウスケ」
廊下で偶然出会った花園さんに今更新年の挨拶をさせてしまう。いや、一応はLINEで挨拶はしていたけど、そこから1組に行く用事がなかったのでこんなタイミングになってしまった。
「お、おめでとう。花園さん」
「てっきりもう少し早く会えるものだと思っていましたが、意外に機会がないものですね。ただ、ミチちゃんから最近の話は聞いています。何でも先日は大切なものを覗き見をしたと」
「じ、事実ではあるけど……もしかして岸本さん、怒ってたりする……?」
「そうですね……かなり引きずっているように見えました」
「そ、そうなんだ。今度もう一回謝ろう……」
「ちなみに冗談です。恥ずかしそうにはしてましたが、怒ってはいません」
そして、久しぶりに花園さんらしい会話を仕掛けられてしまった。どうやら僕の扱いは良くも悪くも変わっていないようだ。
「それよりリョウスケ。ちょうどこの土曜日の話なのですが、花月堂にJKのお客さんが複数人来られまして」
「JKの……」
「そのJKの一人が華凛の母に「うぶクンの紹介で来たんですよー」という話をしたそうで、それが華凛の方にも伝えられたのです」
「ああ。大山さんたち、一昨日に行ってたんだ」
「華凛はひどく驚きました。リョウスケが普段あれほどの人数の女子を侍らせているなんて……」
「違う違う! 侍らせてるとかじゃないから!」
「まぁ、それはわかっていますが、宣伝のお礼が言いたかったので、今日ちょうど敢えて良かったです。ありがとうございます……うぶクン」
そう言いながら花園さんは軽くお辞儀する。言葉は冗談めかしているけど、花園さん的には普通に感謝してくれているのだろう。
「いやいや。宣伝とかじゃなくて、純粋に美味しいかったって話をしただけだから」
「それでもお店としてもJKのお客さんが増えてくれると嬉しいと母も言っていたので」
「そうなんだ。僕が行った時は結構若い人多かったように見えたけど」
「その辺りは大学生以上が多いと聞いています。食べるところがあってもやはり少し入るのには敷居が高いと感じる人もいるようですし、今はコンビニでもお手軽にスイーツが手に入るからわざわざ専門店に行かなくてもと思う人も多いので」
そう言われると、コンビニスイーツに夢中な我が妹を知っているから納得してしまう。値段で考えたら花園さんのところのお店はそれほど高いわけじゃないけど、雰囲気だけで見ればちょっと高そうにも見える。
「今後ともぜひダイレクトマーケティングをよろしくお願いいたします。1人につき、次回の来店で白玉一つを追加しますので」
「それは嬉しいけど、特別な待遇はいらないよ。でも、美味しいのは広めていくから安心して」
「はい。それでは華凛はこれで。また機会があればお会いしましょう」
花園さんはまるで凄い別れのように言うけど、学校へいる限りは近いうちに出会うこともあるとは思う。
ただ、積極的に会いにいかなかった僕にも悪いところはあるので、今度は岸本さんを含めてまたどこかへ行くのもいいと思った。
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※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体等とは一切関係がありません。
※参考文献:『1冊でわかる3X3バスケ入門 ルールから戦術、練習法まで』著者・中祖嘉人、発行所・株式会社マイナビ出版、2021年5月31日初版第1刷発行
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