上 下
232 / 942
1年生2学期

11月21日(日)晴れ 明莉との日常その25

しおりを挟む
 ゆったり過ごす日曜日。昨日、社会科見学的なやつで行った場所の話が出たことから本当はどこに行ったのだろうと思った僕は自室にある引き出を漁り始める。しかし、いくつか小学校の時の物は出てきても社会科見学に関わるそれらしい資料は何も出てこなかった。
 そうなれば頼るべきは最もフレッシュな存在だ。

「明莉、小学校の時の社会科見学的なやつで行った場所覚えてる? 同じところかわからないけど、博物館みたいなところじゃなかった?」

「えっ。りょうちゃん、まだ若いのにそんな最近のことも忘れちゃったの……?」

「わ、若いと言っても小学校高学年の時だったと思うからこれでも5、6年経ってるし……場所の名前までは思い出せない」

「もう、しょうがないなぁ。ちょっと待ってね。えーっと…………小学校、社会科見学的なやつ、行く場所……」

「こらこら検索するな。というか、それだと全国のやつが出るんじゃないか」

「それもそっか。じゃあ、わかんない! 覚えてない!」

「さっきの困惑はなんだったんだ……」

「だって、修学旅行とかならまだしも社会科見学なんてバス乗ったことくらいしか覚えてなくない?」

 そう言われてしまうと、実際覚えてない僕がいるから同意してしまう。わざわざ学校が今後のために行かせてくれたのに数年経つとこうなってしまうのはひどい話だ。

「明莉で言えば僕よりも最近の話なはずなんだけどなぁ」

「じゃあ、りょうちゃんは中学1年生の時に出た運動会の種目覚えてる?」

「なんで運動会の…………綱引き……だったような?」

「ほら、そんな感じでしょ。ちなみにあかりも正解はわからないけど」

「確かに綱引きはどこかの学年でやったんだけど……興味がないとこんなにも覚えてないものか」

「そのくせ修学旅行の寝る前の話とか鮮明に覚えてるよねー」

「わかる。就寝前のちょっとした時間で何のトランプゲームやったかまで覚えてる」

「そういえばあかりもりょうちゃんも来年は修学旅行だね。中学の時はりょうちゃんがトランプ持って行ったの?」

「いや、僕じゃなくて同じ部屋の男子が持ってきてくれた。他の部屋だと事前に相談とかしてなかったから3人同時に持ってきてたとか……」

 いつの間にか話は修学旅行でどんな風に遊んでいたかという話に切り替わり、それが終わる頃に本来の質問を思い出すことになった。

 結局、母さんに当時の話を聞きに行ったところ、歴史資料館の方が正解で、明莉も同じ場所に行っていたらしい。今度修学旅行に行く時は多少「修学」の部分を意識して行ければいいと思う……けど、たぶん無理なのだろう。
しおりを挟む

処理中です...