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1年生2学期

11月1日(月)曇り 大山亜里沙との距離間その9

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 11月の始まり。1年の中だと特に大きなイベントのない月であり、学校行事的にも体育祭のような大きな催しもなければテストもないので、プレーンな学生生活を送れそうだ。

 そんなことを書いておきながら今日の僕は1日遅れのイベントをこなすことになる。

「栗原さん、土曜日はありがとう。3倍返しじゃないけど、良かったらどうぞ」

「おー!? 本当に持って来てくれたんだぁ」

 お菓子の小袋を渡すと栗原さんは僕の想像以上にいい反応をくれる。安直に期間限定の味にして大丈夫かと思っていたけど、たぶん僕が貰った時と同じようにこういうのは貰える分なら結構嬉しいものなんだろう。

「野島さんも良かったら」

「えっ!? 私はあげてないけどいいの!?」

「大丈夫だよ。余っても仕方ないし」

「もー それなら土曜にあげてたのにー! でも、遠慮なく貰うね!」

「いやぁ、まさかりょーちゃんがそんな点数稼ぎをするとは……」

 野島さんを始めとした周りの席の人にもお菓子を配っていると、松永がそんなことを言ってくる。

「本当に点数稼ぎしたいなら本番に持ってくるよ」

「確かに。じゃあ、トリート!」

「明莉と同じこと言ってる……」

「マジで? 俺も若いセンス持ってるんだなぁ」

「今のは特別に報告しないでおくよ」

 松永とのやり取りはさておき、大遅刻のお菓子配りは思ったよりも喜んで貰えて僕も何だか嬉しくなってきた。値段や量的には大したものじゃないけど、何でもない日にこういうちょっとした楽しいことがあるとテンションは上がるものだ。配る側はほとんどやったことがなかったけど、たまにはいいかもしれない。

「大山さんもどうぞ。ハッピーハロウィン」

「おっ、ありがとう~ って、今のはボケで言ってる?」

「う、うーん……僕にとっては今日がハロウィンということで」

「ははっ、そういうことにしとく! でも、やっぱりうぶクンちょっと雰囲気変わったと思う」

「それは……僕らしからぬことをしてる感じ?」

「あっ、ごめんごめん。悪い意味じゃなくて……」

「ううん。自分で言ったことだし、大山さんが言ってることも何となくわかるよ」

 今までの僕ならお返しを買っていなかった……というわけではないけど、少なくともこんな大々的に配っていなかったはずだ。それが今できているのは僕自身もはっきりと理由はわからない。

「アタシは今のうぶクンの方がいいカンジだと思うから全然気にしないで。お返しは美味しく頂きまーす」

 でも、良い方向に取られているならこの雰囲気を継続していけたらと思う。
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