212 / 942
1年生2学期
11月1日(月)曇り 大山亜里沙との距離間その9
しおりを挟む
11月の始まり。1年の中だと特に大きなイベントのない月であり、学校行事的にも体育祭のような大きな催しもなければテストもないので、プレーンな学生生活を送れそうだ。
そんなことを書いておきながら今日の僕は1日遅れのイベントをこなすことになる。
「栗原さん、土曜日はありがとう。3倍返しじゃないけど、良かったらどうぞ」
「おー!? 本当に持って来てくれたんだぁ」
お菓子の小袋を渡すと栗原さんは僕の想像以上にいい反応をくれる。安直に期間限定の味にして大丈夫かと思っていたけど、たぶん僕が貰った時と同じようにこういうのは貰える分なら結構嬉しいものなんだろう。
「野島さんも良かったら」
「えっ!? 私はあげてないけどいいの!?」
「大丈夫だよ。余っても仕方ないし」
「もー それなら土曜にあげてたのにー! でも、遠慮なく貰うね!」
「いやぁ、まさかりょーちゃんがそんな点数稼ぎをするとは……」
野島さんを始めとした周りの席の人にもお菓子を配っていると、松永がそんなことを言ってくる。
「本当に点数稼ぎしたいなら本番に持ってくるよ」
「確かに。じゃあ、トリート!」
「明莉と同じこと言ってる……」
「マジで? 俺も若いセンス持ってるんだなぁ」
「今のは特別に報告しないでおくよ」
松永とのやり取りはさておき、大遅刻のお菓子配りは思ったよりも喜んで貰えて僕も何だか嬉しくなってきた。値段や量的には大したものじゃないけど、何でもない日にこういうちょっとした楽しいことがあるとテンションは上がるものだ。配る側はほとんどやったことがなかったけど、たまにはいいかもしれない。
「大山さんもどうぞ。ハッピーハロウィン」
「おっ、ありがとう~ って、今のはボケで言ってる?」
「う、うーん……僕にとっては今日がハロウィンということで」
「ははっ、そういうことにしとく! でも、やっぱりうぶクンちょっと雰囲気変わったと思う」
「それは……僕らしからぬことをしてる感じ?」
「あっ、ごめんごめん。悪い意味じゃなくて……」
「ううん。自分で言ったことだし、大山さんが言ってることも何となくわかるよ」
今までの僕ならお返しを買っていなかった……というわけではないけど、少なくともこんな大々的に配っていなかったはずだ。それが今できているのは僕自身もはっきりと理由はわからない。
「アタシは今のうぶクンの方がいいカンジだと思うから全然気にしないで。お返しは美味しく頂きまーす」
でも、良い方向に取られているならこの雰囲気を継続していけたらと思う。
そんなことを書いておきながら今日の僕は1日遅れのイベントをこなすことになる。
「栗原さん、土曜日はありがとう。3倍返しじゃないけど、良かったらどうぞ」
「おー!? 本当に持って来てくれたんだぁ」
お菓子の小袋を渡すと栗原さんは僕の想像以上にいい反応をくれる。安直に期間限定の味にして大丈夫かと思っていたけど、たぶん僕が貰った時と同じようにこういうのは貰える分なら結構嬉しいものなんだろう。
「野島さんも良かったら」
「えっ!? 私はあげてないけどいいの!?」
「大丈夫だよ。余っても仕方ないし」
「もー それなら土曜にあげてたのにー! でも、遠慮なく貰うね!」
「いやぁ、まさかりょーちゃんがそんな点数稼ぎをするとは……」
野島さんを始めとした周りの席の人にもお菓子を配っていると、松永がそんなことを言ってくる。
「本当に点数稼ぎしたいなら本番に持ってくるよ」
「確かに。じゃあ、トリート!」
「明莉と同じこと言ってる……」
「マジで? 俺も若いセンス持ってるんだなぁ」
「今のは特別に報告しないでおくよ」
松永とのやり取りはさておき、大遅刻のお菓子配りは思ったよりも喜んで貰えて僕も何だか嬉しくなってきた。値段や量的には大したものじゃないけど、何でもない日にこういうちょっとした楽しいことがあるとテンションは上がるものだ。配る側はほとんどやったことがなかったけど、たまにはいいかもしれない。
「大山さんもどうぞ。ハッピーハロウィン」
「おっ、ありがとう~ って、今のはボケで言ってる?」
「う、うーん……僕にとっては今日がハロウィンということで」
「ははっ、そういうことにしとく! でも、やっぱりうぶクンちょっと雰囲気変わったと思う」
「それは……僕らしからぬことをしてる感じ?」
「あっ、ごめんごめん。悪い意味じゃなくて……」
「ううん。自分で言ったことだし、大山さんが言ってることも何となくわかるよ」
今までの僕ならお返しを買っていなかった……というわけではないけど、少なくともこんな大々的に配っていなかったはずだ。それが今できているのは僕自身もはっきりと理由はわからない。
「アタシは今のうぶクンの方がいいカンジだと思うから全然気にしないで。お返しは美味しく頂きまーす」
でも、良い方向に取られているならこの雰囲気を継続していけたらと思う。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
期末テストで一番になれなかったら死ぬ
村井なお
青春
努力の意味を見失った少女。ひたむきに生きる病弱な少年。
二人はその言葉に一生懸命だった。
鶴崎舞夕は高校二年生である。
昔の彼女は成績優秀だった。
鹿島怜央は高校二年生である。
彼は成績優秀である。
夏も近いある日、舞夕は鹿島と出会う。
そして彼女は彼に惹かれていく。
彼の口にした一言が、どうしても忘れられなくて。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
聞き分けよくしていたら婚約者が妹にばかり構うので、困らせてみることにした
今川幸乃
恋愛
カレン・ブライスとクライン・ガスターはどちらも公爵家の生まれで政略結婚のために婚約したが、お互い愛し合っていた……はずだった。
二人は貴族が通う学園の同級生で、クラスメイトたちにもその仲の良さは知られていた。
しかし、昨年クラインの妹、レイラが貴族が学園に入学してから状況が変わった。
元々人のいいところがあるクラインは、甘えがちな妹にばかり構う。
そのたびにカレンは聞き分けよく我慢せざるをえなかった。
が、ある日クラインがレイラのためにデートをすっぽかしてからカレンは決心する。
このまま聞き分けのいい婚約者をしていたところで状況は悪くなるだけだ、と。
※ざまぁというよりは改心系です。
※4/5【レイラ視点】【リーアム視点】の間に、入れ忘れていた【女友達視点】の話を追加しました。申し訳ありません。
C-LOVERS
佑佳
青春
前半は群像的ラブコメ調子のドタバタ劇。
後半に行くほど赤面不可避の恋愛ストーリーになっていきますので、その濃淡をご期待くださいますと嬉しいです。
(各話2700字平均)
♧あらすじ♧
キザでクールでスタイリッシュな道化師パフォーマー、YOSSY the CLOWN。
世界を笑顔で満たすという野望を果たすため、今日も世界の片隅でパフォーマンスを始める。
そんなYOSSY the CLOWNに憧れを抱くは、服部若菜という女性。
生まれてこのかた上手く笑えたことのない彼女は、たった一度だけ、YOSSY the CLOWNの芸でナチュラルに笑えたという。
「YOSSY the CLOWNに憧れてます、弟子にしてください!」
そうして頭を下げるも煙に巻かれ、なぜか古びた探偵事務所を紹介された服部若菜。
そこで出逢ったのは、胡散臭いタバコ臭いヒョロガリ探偵・柳田良二。
YOSSY the CLOWNに弟子入りする術を知っているとかなんだとか。
柳田探偵の傍で、服部若菜が得られるものは何か──?
一方YOSSY the CLOWNも、各所で運命的な出逢いをする。
彼らのキラリと光る才に惹かれ、そのうちに孤高を気取っていたYOSSY the CLOWNの心が柔和されていき──。
コンプレックスにまみれた六人の男女のヒューマンドラマ。
マイナスとマイナスを足してプラスに変えるは、YOSSY the CLOWNの魔法?!
いやいや、YOSSY the CLOWNのみならずかも?
恋愛も家族愛もクスッと笑いも絆や涙までてんこ盛り。
佑佳最愛の代表的物語、Returned U NOW!
スカートなんて履きたくない
もちっぱち
青春
齋藤咲夜(さいとうさや)は、坂本翼(さかもとつばさ)と一緒に
高校の文化祭を楽しんでいた。
イケメン男子っぽい女子の同級生の悠(はるか)との関係が友達よりさらにどんどん近づくハラハラドキドキのストーリーになっています。
女友達との関係が主として描いてます。
百合小説です
ガールズラブが苦手な方は
ご遠慮ください
表紙イラスト:ノノメ様
人生負け組のスローライフ
雪那 由多
青春
バアちゃんが体調を悪くした!
俺は長男だからバアちゃんの面倒みなくては!!
ある日オヤジの叫びと共に突如引越しが決まって隣の家まで車で十分以上、ライフラインはあれどメインは湧水、ぼっとん便所に鍵のない家。
じゃあバアちゃんを頼むなと言って一人単身赴任で東京に帰るオヤジと新しいパート見つけたから実家から通うけど高校受験をすててまで来た俺に高校生なら一人でも大丈夫よね?と言って育児拒否をするオフクロ。
ほぼ病院生活となったバアちゃんが他界してから築百年以上の古民家で一人引きこもる俺の日常。
――――――――――――――――――――――
第12回ドリーム小説大賞 読者賞を頂きました!
皆様の応援ありがとうございます!
――――――――――――――――――――――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる