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1年生2学期
10月31日(日)晴れ 明莉との日常その22
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10月最終日でハロウィン当日。しかし、この日は特に外出予定がない僕はハロウィンのイベント感をテレビやゲームでしか感じられなかった。
「りょうちゃん、トリート!」
「いや、選択肢ないの!?」
そんな中、友達と出かける前の明莉がハロウィンらしいことをしてくれる。内容は極端だけど。
「それに家の中で貰ってもあんまり意味ないのでは」
「りょうちゃん、そんなこと言ったらハロウィンの意味なんてもうずっとねじ曲がってるよ?」
「確かに……」
本来のハロウィンは宗教的な意味があったらしいけど、今の日本のハロウィンは専ら仮装をしてお菓子を貰ったり食べたりする日になっている。ただ、こういうイベント事があるとそれに伴った限定商品が出てきて楽しめるから決して悪いことではないと思う・
「でも、僕が今からお菓子を渡すとなると、キッチンから取って来るだけになるぞ?」
「その距離でもパシれたらお得じゃない?」
「おいおい。というか、出かける前に貰っても困るんじゃないか?」
「もー せっかくのハロウィンなのに寂しいりょうちゃんにそれらしい雰囲気を感じて貰おうと思ったのに~」
そ、そうだったのか! 優しい妹の気遣いだとは全く気付いていなかった。何かディスられた気もするけど、そうなればお菓子を渡すしかない。
「はい、お菓子をどうぞ」
「わーい! ……あれ? ちゃんとハロウィンっぽいお菓子だ」
「実は昨日の帰りに買っておいたんだ。期間限定のやつだよ」
「今日出かける予定ないのに?」
「そ、それはそうだけど、昨日クラスで貰ったお礼に月曜日に持って行くやつだから」
「なるほどねー ということは……昨日何も持ってなかったりょうちゃんはイタズラされまくったの?」
「ううん、無事だった」
「なぁんだ」
明莉はつまらなさそうに言うけど、ハロウィンのこのやり取りで本当にイタズラする人なんているのだろうか。栗原さんにはそれっぽいことを言われたけど、特に何かされたわけでもないし……トリックオアトリートの合言葉も本来の意味を失いつつあるのかもしれない。
「それじゃあ、魑魅魍魎が蔓延る街へ出かけて来ますかぁ」
「この辺で仮装してうろつく人なんているの……?」
「まぁ、ショッピングモールの店員さんくらいじゃない? 何か面白い妖怪がいたら撮ってくるね!」
「あんまり他の人を撮るのは良くないからやめといて」
「あかりが言ってるのは本物の方だよ?」
「なおさら駄目でしょ!? ちゃんと逃げて!」
明莉は僕の反応に笑いながらそのまま出かけて行った。ハロウィン当日に街へ繰り出したことがないから本当にどうなっているかわからないけど、少なくとも都会のように仮装パーティー会場になることはない。なっていたらそれなりのニュースになる。
その夜、帰って来た明莉が見せてくれた写真は美味しそうなハロウィン限定スイーツだった。本物の魑魅魍魎がこの周辺にいたとしても期間限定の商品と映えを気にするこの時代の子たちは気付くことがないのだろうと思った。
「りょうちゃん、トリート!」
「いや、選択肢ないの!?」
そんな中、友達と出かける前の明莉がハロウィンらしいことをしてくれる。内容は極端だけど。
「それに家の中で貰ってもあんまり意味ないのでは」
「りょうちゃん、そんなこと言ったらハロウィンの意味なんてもうずっとねじ曲がってるよ?」
「確かに……」
本来のハロウィンは宗教的な意味があったらしいけど、今の日本のハロウィンは専ら仮装をしてお菓子を貰ったり食べたりする日になっている。ただ、こういうイベント事があるとそれに伴った限定商品が出てきて楽しめるから決して悪いことではないと思う・
「でも、僕が今からお菓子を渡すとなると、キッチンから取って来るだけになるぞ?」
「その距離でもパシれたらお得じゃない?」
「おいおい。というか、出かける前に貰っても困るんじゃないか?」
「もー せっかくのハロウィンなのに寂しいりょうちゃんにそれらしい雰囲気を感じて貰おうと思ったのに~」
そ、そうだったのか! 優しい妹の気遣いだとは全く気付いていなかった。何かディスられた気もするけど、そうなればお菓子を渡すしかない。
「はい、お菓子をどうぞ」
「わーい! ……あれ? ちゃんとハロウィンっぽいお菓子だ」
「実は昨日の帰りに買っておいたんだ。期間限定のやつだよ」
「今日出かける予定ないのに?」
「そ、それはそうだけど、昨日クラスで貰ったお礼に月曜日に持って行くやつだから」
「なるほどねー ということは……昨日何も持ってなかったりょうちゃんはイタズラされまくったの?」
「ううん、無事だった」
「なぁんだ」
明莉はつまらなさそうに言うけど、ハロウィンのこのやり取りで本当にイタズラする人なんているのだろうか。栗原さんにはそれっぽいことを言われたけど、特に何かされたわけでもないし……トリックオアトリートの合言葉も本来の意味を失いつつあるのかもしれない。
「それじゃあ、魑魅魍魎が蔓延る街へ出かけて来ますかぁ」
「この辺で仮装してうろつく人なんているの……?」
「まぁ、ショッピングモールの店員さんくらいじゃない? 何か面白い妖怪がいたら撮ってくるね!」
「あんまり他の人を撮るのは良くないからやめといて」
「あかりが言ってるのは本物の方だよ?」
「なおさら駄目でしょ!? ちゃんと逃げて!」
明莉は僕の反応に笑いながらそのまま出かけて行った。ハロウィン当日に街へ繰り出したことがないから本当にどうなっているかわからないけど、少なくとも都会のように仮装パーティー会場になることはない。なっていたらそれなりのニュースになる。
その夜、帰って来た明莉が見せてくれた写真は美味しそうなハロウィン限定スイーツだった。本物の魑魅魍魎がこの周辺にいたとしても期間限定の商品と映えを気にするこの時代の子たちは気付くことがないのだろうと思った。
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