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1年生2学期
10月11日(月)曇り 文化祭の備忘録
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文化祭の振替休日となった月曜日。疲れていることもあったけど、昨日のことから何もやる気が起きなかった僕はだらだらと1日を消化してしまった。
なので、ここに書けるようなこともないから、今日は文化祭に関する記録を付けておくことにする。小説は冊子の『黄昏』に残るし、短歌も一度詠めば簡単に忘れなさそうだけど、ここでは誰にあてるわけでもない、設定やあとがきを残そうと思う。
僕の創作した小説は『ギリーの冒険』というタイトルだ。天界に住む天使ながらもどこか破天荒な性格の主人公・ギリーが現代社会の人間界に視察に来て、人間と関わりながら様々な経験をしていくストーリー。
そう書くと長編のような雰囲気が出るけど、実際は冒頭の人間界に行く動機と最初に出会う少年との関わりが中心で、締めとしては「これから冒険が始まる!」という打ち切りっぽい終わり方だ。
単発の話として綺麗なオチを付けるのは僕には難しく、含みを持たせたものになってしまったけど、その続きを想像してくれたら……という読者に預ける形にしたつもりだ。
最初に思い付いたのはギリーというキャラクターで、天使なのにテンガロンハットを被ったウエスタンな風貌が特徴になる。その性格のベースについては、多大にとある人物の影響を受けているけど、読んだ本人に察せられないように何とか肉付けして変えていった。
次に僕が詠んだ短歌について。
「祖父母から 伸びたと言われる 身長が 僕の元気を 表す証」
創り方に悩んでいた時に京都のばあちゃんがヒントをくれたことから、祖父母の家で思ったことが題材として一番しっくりきていた。それから言葉を選んだり、順番を変えたりして今の形になった。
言っていることはなんてことはない日常の話だけど、音に合わせると何だかそれらしい感じになっている気がする。
ちなみに松永や清水先輩が僕の短歌を当てると言った時は、見事にこれを当てられてしまった。「僕」の一人称を使っているのもあるけど、身長を題材に使うのは男子っぽいというのが共通する理由だった。確かに京都のばあちゃんは明莉に身長のことは言わない。
この二つについて、みんなから改めて感想を聞くのは明日以降になるだろう。僕のペンネームを知らない人は小説の方で僕が書いたものがわかるかどうかもちょっとだけ楽しみだ。
……なんて、テンションを上げようとしてみるけど、本当はそれよりもずっと気になることで僕の頭はいっぱいだった。僕のペンネームを知った上で二つの作品を見てくれたはずの部員。きっと順調に終わっていれば、明日一番に感想を言い合ったであろう友達。
僕に必要だったのはじっくりと時間をかけて創った文章ではなく、あの一瞬で言えるような短い言葉だったのかもしれない。
なので、ここに書けるようなこともないから、今日は文化祭に関する記録を付けておくことにする。小説は冊子の『黄昏』に残るし、短歌も一度詠めば簡単に忘れなさそうだけど、ここでは誰にあてるわけでもない、設定やあとがきを残そうと思う。
僕の創作した小説は『ギリーの冒険』というタイトルだ。天界に住む天使ながらもどこか破天荒な性格の主人公・ギリーが現代社会の人間界に視察に来て、人間と関わりながら様々な経験をしていくストーリー。
そう書くと長編のような雰囲気が出るけど、実際は冒頭の人間界に行く動機と最初に出会う少年との関わりが中心で、締めとしては「これから冒険が始まる!」という打ち切りっぽい終わり方だ。
単発の話として綺麗なオチを付けるのは僕には難しく、含みを持たせたものになってしまったけど、その続きを想像してくれたら……という読者に預ける形にしたつもりだ。
最初に思い付いたのはギリーというキャラクターで、天使なのにテンガロンハットを被ったウエスタンな風貌が特徴になる。その性格のベースについては、多大にとある人物の影響を受けているけど、読んだ本人に察せられないように何とか肉付けして変えていった。
次に僕が詠んだ短歌について。
「祖父母から 伸びたと言われる 身長が 僕の元気を 表す証」
創り方に悩んでいた時に京都のばあちゃんがヒントをくれたことから、祖父母の家で思ったことが題材として一番しっくりきていた。それから言葉を選んだり、順番を変えたりして今の形になった。
言っていることはなんてことはない日常の話だけど、音に合わせると何だかそれらしい感じになっている気がする。
ちなみに松永や清水先輩が僕の短歌を当てると言った時は、見事にこれを当てられてしまった。「僕」の一人称を使っているのもあるけど、身長を題材に使うのは男子っぽいというのが共通する理由だった。確かに京都のばあちゃんは明莉に身長のことは言わない。
この二つについて、みんなから改めて感想を聞くのは明日以降になるだろう。僕のペンネームを知らない人は小説の方で僕が書いたものがわかるかどうかもちょっとだけ楽しみだ。
……なんて、テンションを上げようとしてみるけど、本当はそれよりもずっと気になることで僕の頭はいっぱいだった。僕のペンネームを知った上で二つの作品を見てくれたはずの部員。きっと順調に終わっていれば、明日一番に感想を言い合ったであろう友達。
僕に必要だったのはじっくりと時間をかけて創った文章ではなく、あの一瞬で言えるような短い言葉だったのかもしれない。
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