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1年生2学期
10月8日(金)晴れ 岸本路子との親交その5
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文化祭準備日。この日は完全に授業が行われないので、部活や文化祭実行委員でない人の中には暇になるのでサボる人もいるらしい。実際、僕も部活に入っていなければ学校には来てもぶらぶらするだけだった可能性はある。
でも、文芸部である僕は展示する教室の仕上げていくことになる。教室の位置の関係上、後ろ側の扉を入り口として、壁を沿って展示を見て貰えるような配置になっていく。
まず見えてくるのはボードに貼られた文芸部の活動記録だ。正直なところ、この文化祭までの活動らしい活動は創作をしている時だけだと思っていたけど、文化祭以降も色々と活動はあるらしいことが昨年の記録からわかった。来年もこの記録を作るならこの文化祭から次回の文化祭までの活動をまとめることになるのだろう。
次にメインとなる文化祭用の冊子『黄昏』の展示コーナーだ。今年の冊子と過去3年分の冊子が置かれており、今年と去年の冊子については保存用を除いて在庫の限りそのまま持ち帰れる。もちろん、この場で目を通すこともできるように座席も設置され、長くいるようであればお茶を出すようになっている。
廊下側の壁に沿って置かれたボードには印刷された短歌が貼り付けられた。その前に設置された数席には自分で短歌を作れるコーナーがあり、参考になる本やアドバイスが書かれた用紙などが置かれている。本に関しては僕も目を通したけど、アドバイス用紙には関わっていないので、説明を求められると先輩方を頼ることになりそうだ。
そして、最後に黒板にマグネットで貼り付けられた用紙は文芸部員のおすすめ本のコーナーになる。僕も一冊おすすめを提出させて貰ったけど、全体的な作成は岸本さんの方が参加しており、思っていた以上の大作になっていた。
「産賀くん、何かおかしいところあった?」
配置作業がひと段落して僕がそのコーナーを見ていると、岸本さんは心配そうに尋ねてくる。
「ううん。普通に読んでただけ。すごくいい出来だと思う」
「ありがとう……って私が言うことじゃないよね。全体的なデザインは先輩方が言った通りに書いただけだから……」
「それを言ったら僕はおすすめの提出だけだから……というか、自分の担当分以外はあんまり書か割れてないのかも」
「そんなことないわ。今日もボード運んで貰ったし」
「いやいや、あれくらいはやらないと……」
「ふふっ」
よくわからない謙遜合戦をしていると、岸本さんは唐突に笑う。それに釣られて僕も笑ってしまった。
「わたしと産賀くん、毎回こういう会話をしている気がするわ」
「確かに。でも、最初に比べると楽しく話せてるからいいと思う」
「最初のわたしって……やっぱり話しづらかった?」
「い、いや! そういう意味で言ったんじゃなくて……」
「大丈夫、わかってるわ。その上でちょっとでもいい方向に変われてるなら……わたしは嬉しい」
岸本さんはまた笑うけど、今のは安心しているような笑顔だった。話しづらかったとは言わないけど、今日みたいに釣られ笑いをしながら話している日が来るとは最初のうちだと考えていなかったと思う。そもそも僕も緊張していたから先のことなんて考える余裕はなかった。
「おーい、お二人さんー そろそろ再開だよー」
その後も改めて自分たちで教室内を周って見やすい配置にしたり、明日の動きを確認したりして、いつも通りの放課後の時間帯まで準備や確認は続いた。
まだ先だと思っていた文化祭はいよいよ明日だ。
でも、文芸部である僕は展示する教室の仕上げていくことになる。教室の位置の関係上、後ろ側の扉を入り口として、壁を沿って展示を見て貰えるような配置になっていく。
まず見えてくるのはボードに貼られた文芸部の活動記録だ。正直なところ、この文化祭までの活動らしい活動は創作をしている時だけだと思っていたけど、文化祭以降も色々と活動はあるらしいことが昨年の記録からわかった。来年もこの記録を作るならこの文化祭から次回の文化祭までの活動をまとめることになるのだろう。
次にメインとなる文化祭用の冊子『黄昏』の展示コーナーだ。今年の冊子と過去3年分の冊子が置かれており、今年と去年の冊子については保存用を除いて在庫の限りそのまま持ち帰れる。もちろん、この場で目を通すこともできるように座席も設置され、長くいるようであればお茶を出すようになっている。
廊下側の壁に沿って置かれたボードには印刷された短歌が貼り付けられた。その前に設置された数席には自分で短歌を作れるコーナーがあり、参考になる本やアドバイスが書かれた用紙などが置かれている。本に関しては僕も目を通したけど、アドバイス用紙には関わっていないので、説明を求められると先輩方を頼ることになりそうだ。
そして、最後に黒板にマグネットで貼り付けられた用紙は文芸部員のおすすめ本のコーナーになる。僕も一冊おすすめを提出させて貰ったけど、全体的な作成は岸本さんの方が参加しており、思っていた以上の大作になっていた。
「産賀くん、何かおかしいところあった?」
配置作業がひと段落して僕がそのコーナーを見ていると、岸本さんは心配そうに尋ねてくる。
「ううん。普通に読んでただけ。すごくいい出来だと思う」
「ありがとう……って私が言うことじゃないよね。全体的なデザインは先輩方が言った通りに書いただけだから……」
「それを言ったら僕はおすすめの提出だけだから……というか、自分の担当分以外はあんまり書か割れてないのかも」
「そんなことないわ。今日もボード運んで貰ったし」
「いやいや、あれくらいはやらないと……」
「ふふっ」
よくわからない謙遜合戦をしていると、岸本さんは唐突に笑う。それに釣られて僕も笑ってしまった。
「わたしと産賀くん、毎回こういう会話をしている気がするわ」
「確かに。でも、最初に比べると楽しく話せてるからいいと思う」
「最初のわたしって……やっぱり話しづらかった?」
「い、いや! そういう意味で言ったんじゃなくて……」
「大丈夫、わかってるわ。その上でちょっとでもいい方向に変われてるなら……わたしは嬉しい」
岸本さんはまた笑うけど、今のは安心しているような笑顔だった。話しづらかったとは言わないけど、今日みたいに釣られ笑いをしながら話している日が来るとは最初のうちだと考えていなかったと思う。そもそも僕も緊張していたから先のことなんて考える余裕はなかった。
「おーい、お二人さんー そろそろ再開だよー」
その後も改めて自分たちで教室内を周って見やすい配置にしたり、明日の動きを確認したりして、いつも通りの放課後の時間帯まで準備や確認は続いた。
まだ先だと思っていた文化祭はいよいよ明日だ。
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