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1年生夏休み
8月30日(月)晴れ 清水先輩との夏散歩その7
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夏休み41日目。昨日の疲れでぐっすり眠る中、朝の7時頃にスマホが数回鳴った。僕はメッセージを読むと「了解」とだけ返して準備を始める。清水先輩からの呼び出しも慣れたものだけど、新学期が始まってしまえばこの散歩の日々も暫くお別れ……いや、土日に呼び出されたりするんだろうか?
「おはよう、良助」
「おはようございます、清水先輩」
ただ、慣れたとはいえ、こうやって清水先輩と朝の時間を過ごすのはやっぱり可笑しな状況だ。夏休みに入る前はこんなことになるとは考えてもなかった。
そして、今日も僕と清水先輩は適当に歩き始める。さすがにここ数回は場所も被り始めているけど、それをお互いに指摘することはない。喋り始めればそんなことは気にならなくなった。
「昨日の祭りはどうだったんだ?」
「えっと……楽しかったです」
「ん? それは良かったが、恋愛事情の方はどうなったんだ?」
「あっ、そっちですか。僕から見たら特に進展はなかったように見えました」
「そうか。まだまだ大変そうだな」
清水先輩の言う通りこの件はまだ続くのかもしれないけど、その時に僕がどういう立場にいればいいかはまだわからない。
しかし、清水先輩からその話題を振られるのは意外だった。先日は空気を読むのはさっぱりだと言っていたけど、恋愛事情自体には興味があるんだろうか。
「清水先輩は恋愛ドラマや恋愛漫画を見たりするんですか?」
「いや、あまり見ないな。そもそもドラマや漫画を見てないのもあるが……」
「そうなんですか。じゃあ……」
「なんだ、良助も恋バナしたいお年頃か?」
「あっ! いや、その……」
「別に照れなくてもいいだろう。ただ、私は特に話せることがないな」
「えっ? 清水先輩はモテそうな気がしますけど……」
「まぁ、私は顔やスタイルがいいからな」
前にもそんな風なことを言っていたような気がするけど、清水先輩は結構自分の容姿に自信があるようだ。いや、全然悪いことじゃないし、むしろ自覚しているのは自己肯定感が高くて良いことだと思う。でも、そうであるなら尚更モテてないとおかしい。
「モテるかどうかはわからないが……今までに告白されたことは何回かある」
「それはモテてるのでは……?」
「そうでもない。その男子たちは私と一度も話したことが……いや、一度くらいは話したことはあるかもしれないが、とにかくほとんど関わりのない人ばかりでな。そんな私が知らない人にいきなり好きだと言われてもイマイチわからないんだ」
「な、なるほど」
「だから、一応まずは友達から……と言うんだが、それ以降に少し絡むことはあっても友達として続くやつは一人もいなかった。どうしてだろうな?」
そう言った清水先輩は本当にわからないという顔をしていた。告白が成功しなかった時点で諦めたか、その後にエキセントリックな清水先輩を見て距離を置いてしまったか。いや、もしかしたら桜庭先輩が……これは考え過ぎた。変なことを考えていると、また今度会った時にいじられてしまう。
「だから、私としては恋バナで話せることはないんだ。」
「なんかすみません。あまりいい思い出がないのに話させて……」
「別にいいさ。さて、次は良助の方も話して貰おうか」
「あー……そうですよね」
「まさか私にだけ聞いて自分は喋らないつもりだったのか?」
「そ、そんなわけないです。誠心誠意喋らせて頂きます」
「うむ、いい心がけだ。そうだな……まずは初恋の相手でも聞こうか」
それから清水先輩に割と根掘り葉掘りこれまでの恋愛事情を聞かれた。自分が恋愛に関わらなくても女の子は恋バナ好きなのかもしれない。色々聞く最中の清水先輩は今までにない楽しそうな雰囲気だった。そんな表情を見たら例えあまり関わりが無くても告白してしまった男子たちの気持ちもわかる気がする。
そんなことを思った僕だったけど、日記を書いている時に気付いた。清水先輩は告白された話しかしていないから清水先輩自身が恋をした話を聞いていない。今後、聞けるかわからないけど……少し気になる。
「おはよう、良助」
「おはようございます、清水先輩」
ただ、慣れたとはいえ、こうやって清水先輩と朝の時間を過ごすのはやっぱり可笑しな状況だ。夏休みに入る前はこんなことになるとは考えてもなかった。
そして、今日も僕と清水先輩は適当に歩き始める。さすがにここ数回は場所も被り始めているけど、それをお互いに指摘することはない。喋り始めればそんなことは気にならなくなった。
「昨日の祭りはどうだったんだ?」
「えっと……楽しかったです」
「ん? それは良かったが、恋愛事情の方はどうなったんだ?」
「あっ、そっちですか。僕から見たら特に進展はなかったように見えました」
「そうか。まだまだ大変そうだな」
清水先輩の言う通りこの件はまだ続くのかもしれないけど、その時に僕がどういう立場にいればいいかはまだわからない。
しかし、清水先輩からその話題を振られるのは意外だった。先日は空気を読むのはさっぱりだと言っていたけど、恋愛事情自体には興味があるんだろうか。
「清水先輩は恋愛ドラマや恋愛漫画を見たりするんですか?」
「いや、あまり見ないな。そもそもドラマや漫画を見てないのもあるが……」
「そうなんですか。じゃあ……」
「なんだ、良助も恋バナしたいお年頃か?」
「あっ! いや、その……」
「別に照れなくてもいいだろう。ただ、私は特に話せることがないな」
「えっ? 清水先輩はモテそうな気がしますけど……」
「まぁ、私は顔やスタイルがいいからな」
前にもそんな風なことを言っていたような気がするけど、清水先輩は結構自分の容姿に自信があるようだ。いや、全然悪いことじゃないし、むしろ自覚しているのは自己肯定感が高くて良いことだと思う。でも、そうであるなら尚更モテてないとおかしい。
「モテるかどうかはわからないが……今までに告白されたことは何回かある」
「それはモテてるのでは……?」
「そうでもない。その男子たちは私と一度も話したことが……いや、一度くらいは話したことはあるかもしれないが、とにかくほとんど関わりのない人ばかりでな。そんな私が知らない人にいきなり好きだと言われてもイマイチわからないんだ」
「な、なるほど」
「だから、一応まずは友達から……と言うんだが、それ以降に少し絡むことはあっても友達として続くやつは一人もいなかった。どうしてだろうな?」
そう言った清水先輩は本当にわからないという顔をしていた。告白が成功しなかった時点で諦めたか、その後にエキセントリックな清水先輩を見て距離を置いてしまったか。いや、もしかしたら桜庭先輩が……これは考え過ぎた。変なことを考えていると、また今度会った時にいじられてしまう。
「だから、私としては恋バナで話せることはないんだ。」
「なんかすみません。あまりいい思い出がないのに話させて……」
「別にいいさ。さて、次は良助の方も話して貰おうか」
「あー……そうですよね」
「まさか私にだけ聞いて自分は喋らないつもりだったのか?」
「そ、そんなわけないです。誠心誠意喋らせて頂きます」
「うむ、いい心がけだ。そうだな……まずは初恋の相手でも聞こうか」
それから清水先輩に割と根掘り葉掘りこれまでの恋愛事情を聞かれた。自分が恋愛に関わらなくても女の子は恋バナ好きなのかもしれない。色々聞く最中の清水先輩は今までにない楽しそうな雰囲気だった。そんな表情を見たら例えあまり関わりが無くても告白してしまった男子たちの気持ちもわかる気がする。
そんなことを思った僕だったけど、日記を書いている時に気付いた。清水先輩は告白された話しかしていないから清水先輩自身が恋をした話を聞いていない。今後、聞けるかわからないけど……少し気になる。
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