上 下
113 / 942
1年生夏休み

7月25日(日)晴れ 大倉伴憲との夏休み

しおりを挟む
 夏休み5日目。部活があるから何とか曜日感覚はあるものの、もう数週間すると日曜日のありがたみを失いそうなほど、学校へ行かない日はダラダラと過ごしていた。

 そんな中で、今日は夏休み前の約束通り、大倉くんが家へ遊びに来ることになっている。大倉くんの家からそこそこ距離があるから暑い中来て貰うのは申し訳ないけど、昨日出かけたついで飲み物やお菓子も買っておいたし、迎える準備は万全だ。

 そして、13時を過ぎた頃、チャイムが鳴る。

「こ、こんにちは。産賀くん」

「お疲れ様、大倉くん。早く入って涼んで」

「お、お邪魔します!」

 ちょっと緊張気味の大倉くんを居間まで案内すると、僕は飲み物の準備を始める。その間も大倉くんは落ち着いていられないようだった。

「適当にくつろいでくれていいよ……あっ、大倉くんから見て左のソファー以外」

「左……? どうして?」

「えっと……そこは一応、明莉のスペースらしいから」

 松永の一件を思い出したから言ってしまったけど、よく考えたらお客さんに対してそんな指定をするのは失礼だった。でも、僕も明莉が後で消臭スプレーをかける姿はいろんな意味で見たくない。

「わかったよ。今日は……妹さんはいない感じ?」

「うん。昼前から友達と遊びに行ったよ。何でも予定が詰まってるらしい」

「そうなんだ……ぼ、ボクは遊びに行くよてうは全然……」

「とはいっても、昨日は普通に昼まで寝てたからそれなりだと思うよ。はい、好きなやつ飲んでてね」

 飲み物を机に並べると、すぐにゲームへ移行せず、雑談が始まった。ほんの数日会わないだけでも何となく久しぶりな気がするのはやっぱり夏休みに染まり始めているせいかもしれない。

「産賀くんは部活があるから忙しい感じ?」

「いや、僕は火曜と金曜しか行かないし、部室ではのんびりやってるからそうでもないかな」

「じゃあ、松永くんと本田くんさえ予定が合えば、何かしら遊べるかなぁ」

「そうだね……」

 大倉くんにそう返事をしつつ、僕は心の中で申し訳なく思った。水曜日に行くプールには大倉くんは参加していない。というか、いつの間にか行くメンバーは決まっていて、誘うタイミングがなかったのだ。今回のプールはただ遊びに行くだけじゃないからという理由もある気がするけど、それでもいつもの4人の中で大倉くんだけ外れてしまったのは何とも言えない。

「大倉くんさえ、良ければ僕は予定合わせるよ。今日みたいに他の曜日は全然空いてるし」

「それは……うん。家に行くまでじゃなくても通話とかはやると思う。う、産賀くんからも誘ってくれたらボクも基本は暇で対応できると思うから……」

「わかった。次の日に部活がなければ夜更かしもできるし、いろいろやろう」

 そんな申し訳なさは別にして、大倉くんとの夏休みも楽しいもにしていくつもりだ。その後は大倉くんにとっては久しぶりの対面でのゲームをやって、夕方まで遊ぶという何だか小学生の頃を思い出す時間を過ごした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

連れ子が中学生に成長して胸が膨らむ・・・1人での快感にも目覚て恥ずかしそうにベッドの上で寝る

マッキーの世界
大衆娯楽
連れ子が成長し、中学生になった。 思春期ということもあり、反抗的な態度をとられる。 だが、そんな反抗的な表情も妙に俺の心を捉えて離さない。 「ああ、抱きたい・・・」

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

家政婦さんは同級生のメイド女子高生

coche
青春
祖母から習った家事で主婦力抜群の女子高生、彩香(さいか)。高校入学と同時に小説家の家で家政婦のアルバイトを始めた。実はその家は・・・彩香たちの成長を描く青春ラブコメです。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

処理中です...