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1年生1学期
7月6日(火)曇り時々雨 松永浩太の昔話その3
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「いや、全然勉強してないわ」
テスト前日の放課後の帰り道。今週は特に呼び出しもなく松永と下校している中、松永はこの前のテストでも聞いた台詞を言った。
「全然って……今日の時点でそれはまずいだろ。嘘だとしても」
「だって、今日は普通に授業だったじゃん? これから帰ってもやる気出ないでしょ」
「言いたいことはわかるけど、そういう日程だから仕方ない」
「あー……俺も誰かと勝負すればやる気出るのかなぁ……」
「じゃあ、僕と勝負する? 負けた方は一回奢り」
「やらない。りょーちゃんに勝てるのは体育くらいだから」
松永の前回のテスト結果は赤点こそなかったものの、どれもそこそこできた感じの点数だった。本気を出せばもうちょっとできそうな気はするけど、松永が本気を出すのは今度の受験か就職の時になりそうだ。
「逆に体力テストの時は喜んで勝負するんだけどなー」
「それは僕の方がやらないって言うよ。高校もあるんだっけ……?」
「たぶんあるでしょ。いつやるか知らないけど」
「そうか……」
体力テストについてはどうあがいても絶望しかないからできればない方が嬉しいけど、子どもの運動不足が謳われる昨今なら高校でもあるのだろう。その日が来ても日記には書かなさそうだ。
「そんなに残念そうにしなくてもいいじゃん。シャトルランは3人目くらいに脱落するんだから」
「下がいればいいってもんじゃない。というか、そういうのも覚えてるのか」
「体力テストは結構好きな行事だからかな? 自分の最高記録とかもちょっと覚えてる」
「記録なんて全然覚えてないよ。評価が良かったなら別だったんだろうけど……」
「まー、誰にでも得手不得手はあるもんだからしょうがない」
そう言って貰えるのはありがたいけど、テストが終わったらもう一度、筋肉や体力を付けることも検討してみてもいいかもしれない。それこそ夏休み中に身体づくりができれば暑い夏も乗り越えて……
「って、なんで僕が励まされる流れになってるんだ」
「えっ? 違ったっけ?」
「……ちゃんとテスト勉強するように」
「そこそこできる感じにやりまーす」
そう言ったからには今回もそこそこできて終わりそうだから安心はできないけど、心配はいらないんだろう。またしても昔話に流されたから明日以降も問題を出し合って下校することはなさそうだ。
テスト前日の放課後の帰り道。今週は特に呼び出しもなく松永と下校している中、松永はこの前のテストでも聞いた台詞を言った。
「全然って……今日の時点でそれはまずいだろ。嘘だとしても」
「だって、今日は普通に授業だったじゃん? これから帰ってもやる気出ないでしょ」
「言いたいことはわかるけど、そういう日程だから仕方ない」
「あー……俺も誰かと勝負すればやる気出るのかなぁ……」
「じゃあ、僕と勝負する? 負けた方は一回奢り」
「やらない。りょーちゃんに勝てるのは体育くらいだから」
松永の前回のテスト結果は赤点こそなかったものの、どれもそこそこできた感じの点数だった。本気を出せばもうちょっとできそうな気はするけど、松永が本気を出すのは今度の受験か就職の時になりそうだ。
「逆に体力テストの時は喜んで勝負するんだけどなー」
「それは僕の方がやらないって言うよ。高校もあるんだっけ……?」
「たぶんあるでしょ。いつやるか知らないけど」
「そうか……」
体力テストについてはどうあがいても絶望しかないからできればない方が嬉しいけど、子どもの運動不足が謳われる昨今なら高校でもあるのだろう。その日が来ても日記には書かなさそうだ。
「そんなに残念そうにしなくてもいいじゃん。シャトルランは3人目くらいに脱落するんだから」
「下がいればいいってもんじゃない。というか、そういうのも覚えてるのか」
「体力テストは結構好きな行事だからかな? 自分の最高記録とかもちょっと覚えてる」
「記録なんて全然覚えてないよ。評価が良かったなら別だったんだろうけど……」
「まー、誰にでも得手不得手はあるもんだからしょうがない」
そう言って貰えるのはありがたいけど、テストが終わったらもう一度、筋肉や体力を付けることも検討してみてもいいかもしれない。それこそ夏休み中に身体づくりができれば暑い夏も乗り越えて……
「って、なんで僕が励まされる流れになってるんだ」
「えっ? 違ったっけ?」
「……ちゃんとテスト勉強するように」
「そこそこできる感じにやりまーす」
そう言ったからには今回もそこそこできて終わりそうだから安心はできないけど、心配はいらないんだろう。またしても昔話に流されたから明日以降も問題を出し合って下校することはなさそうだ。
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