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1年生1学期
7月3日(土)曇り 親友は見ている
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期末テストはもう来週の土曜日も挟むからテスト前としては最後の土曜日。明莉のテストも近いから中間テストに引き続き居間での勉強が始まる……予定だった。
『りょーちゃん、絶対なんかあったでしょ』
しかし、その予定は居間へ行こうとしたタイミングに松永からかかってきた電話によって妨げられる。今週は2日連続で先に帰らせてしまったから僕も文句は言いづらい。
「だから、大山さんとは松永教えてくれた噂の話についてで、清水先輩とは……月曜日のいろいろあったやつの話についてだから何もなかったって」
『前半については納得する。大山ちゃんも巻き込まれて災難だった。でも……後半の清水先輩のは全然納得できない!』
「そう言われても……それでわざわざ電話をかけてきたのか?」
『うん、まぁそれもあるけど、どっちかっていうとテスト勉強したくない現実逃避的な?』
「僕を巻き込まないでくれ……」
やることがテスト勉強中の明莉と同じだ。今回のテストの場合だとテスト直前は火曜日になるから詰め込むタイプの松永にとってはまだセーフなのかもしれないけど、僕はそういうわけにはいかない。
『清水さんの件、どうしても話せないなら無理には聞かないけど……りょーちゃんは関わってるの?』
「それは……関わってないといえば嘘になる」
『月曜日あの後、茶道部の野島さんと話したけど』
「あの子、野島さんっていうのか……というか、普通に話してるのにびっくりなんけど」
『まあまあ。それで野島さんと話した結果、りょーちゃんは清水さんともう一人の先輩が取り合うヒロインになってるんじゃないかって結論に落ち着いた』
「なんだ、その結論!? 全然そういう話じゃなくて……もっと複雑で……ああ、野島さんにどう言い訳すればいいんだ……」
『嘘だけどね』
「おい、松永」
『話したのは本当だけど、適当に誤魔化しといた。清水先輩の問題、解決するといいな』
さらっと言われたから怒っていいのか、感謝していいのか、わからなくなってしまった。あの後野島さんには何のフォローもしてなかったからありがたい話ではあるんだけど。
『よし、満足したからそろそろ勉強しますかー』
「それは何より。お互いにがんばろう」
『いいよなー りょーちゃんは可愛い妹と勉強なんだから』
「そうでもない。今みたいに雑談して勉強が進まないこともある」
『それがいいんじゃない。適度にやってる感じがして』
「ほら、また話が長くなるから」
『りょーちゃん兄さんは怖いなー それじゃ――』
「松永……いろいろありがとう」
『んー? どういたしましてー』
通話が終わったスマホを見て、僕はちょっとだけ笑った。たぶん、恥ずかし笑いだ。
『りょーちゃん、絶対なんかあったでしょ』
しかし、その予定は居間へ行こうとしたタイミングに松永からかかってきた電話によって妨げられる。今週は2日連続で先に帰らせてしまったから僕も文句は言いづらい。
「だから、大山さんとは松永教えてくれた噂の話についてで、清水先輩とは……月曜日のいろいろあったやつの話についてだから何もなかったって」
『前半については納得する。大山ちゃんも巻き込まれて災難だった。でも……後半の清水先輩のは全然納得できない!』
「そう言われても……それでわざわざ電話をかけてきたのか?」
『うん、まぁそれもあるけど、どっちかっていうとテスト勉強したくない現実逃避的な?』
「僕を巻き込まないでくれ……」
やることがテスト勉強中の明莉と同じだ。今回のテストの場合だとテスト直前は火曜日になるから詰め込むタイプの松永にとってはまだセーフなのかもしれないけど、僕はそういうわけにはいかない。
『清水さんの件、どうしても話せないなら無理には聞かないけど……りょーちゃんは関わってるの?』
「それは……関わってないといえば嘘になる」
『月曜日あの後、茶道部の野島さんと話したけど』
「あの子、野島さんっていうのか……というか、普通に話してるのにびっくりなんけど」
『まあまあ。それで野島さんと話した結果、りょーちゃんは清水さんともう一人の先輩が取り合うヒロインになってるんじゃないかって結論に落ち着いた』
「なんだ、その結論!? 全然そういう話じゃなくて……もっと複雑で……ああ、野島さんにどう言い訳すればいいんだ……」
『嘘だけどね』
「おい、松永」
『話したのは本当だけど、適当に誤魔化しといた。清水先輩の問題、解決するといいな』
さらっと言われたから怒っていいのか、感謝していいのか、わからなくなってしまった。あの後野島さんには何のフォローもしてなかったからありがたい話ではあるんだけど。
『よし、満足したからそろそろ勉強しますかー』
「それは何より。お互いにがんばろう」
『いいよなー りょーちゃんは可愛い妹と勉強なんだから』
「そうでもない。今みたいに雑談して勉強が進まないこともある」
『それがいいんじゃない。適度にやってる感じがして』
「ほら、また話が長くなるから」
『りょーちゃん兄さんは怖いなー それじゃ――』
「松永……いろいろありがとう」
『んー? どういたしましてー』
通話が終わったスマホを見て、僕はちょっとだけ笑った。たぶん、恥ずかし笑いだ。
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