産賀良助の普変なる日常

1年生1学期

7月2日（金）雨 岸本路子との交流その12

　今週は濃い日々を過ごしたからようやくやって来た気がする週末。部活は停止中だけど、今日は中間テストの時のように自習スペースとして部室を開けてくれるらしいので、その目的でやって来た。

「産賀くん、大丈夫……？」

　そして、バリバリとテスト勉強を始める……つもりだったところに岸本さんに呼びかけられる。

「大丈夫って……僕、変な感じに見える？」

「火曜もだけれど、疲れた感じがしてるから何かあったのかと思って」

「そ、そんなことはないよ。ちょっと蒸し暑さでバテてるのかもしれないけど」

　傍から見てもわかるほど、僕は疲弊しているようだ。確かにちょっと手が止まってボーっとしていた。肉体的な疲れではないから体は全然元気なんだけど、心は色々な意味で疲れている気がする。でも、岸本さんに心配をかけるわけにはいかない。

「それより岸本さんはテスト勉強はどんな感じ？」

「……産賀くん、いいタイミングで聞いてくれたわ」

「えっ？」

「前回はテストが終わってからだったけれど……今回はテスト前に数Ⅰを教えて欲しいの」

「ああ、それならもちろん」

　教えるなら藤原先輩の方がいいと思うけど、先輩方は個別にテストが大変だろうから僕が引き受けさせて貰おう。

「でも、岸本さんは追試なら普通に受かってたから落ち着いてやればできるはず……」

「そう言って貰えるのはありがたいのだけれど……他も勉強するとなると、どうしても数学は時間がかかって……」

「あー……その気持ちわかるよ。僕もコミュ英語は相変わらず不安だ」

「だったら、時間が余ったらコミュ英語も確認するのはどうかしら？　私も得意とは言えないのだけれど……」

「いいの？　じゃあ、まずは数Ⅰからやって……」

　それから岸本さんと一緒にわからないところを補いつつ、部室が締まるまでテスト勉強をした。今週の中で一番学生らしいというか、テスト勉強ではあるけどいつも通りの日常を過ごせた気がした。