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1年生1学期
6月7日(月)晴れ 大山亜里沙との会話その12
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「大山さん、妹の写真撮ってきたよ」
テストが終わって新たな週。敗北者の僕はお願いの品を大山さんに提示する。
「おー! どれどれ……うわぁ! めっちゃ可愛いじゃん、妹ちゃん!」
今の感想は明莉へのお土産として持って帰ろう。特に写真の指定はされてなかったけど、自撮りかつ加工済みのやつでも良かったみたいだ。
「それにうぶクンと結構似てる!」
「そうかな? 自分だとよくわからないかも」
「何か目元が同じっぽい? あっ、アタシの兄貴とお姉ちゃんも見る? えーっとね、これこれ!」
勝利者報酬だと思っていた写真だけど、大山さん側からはあっさりと見せられた。暖かそうな格好でおもちを持っているから年明け辺りの写真のようだ。
「どう? アタシらは似てる?」
「うん。具体的には言えなけど、何となく兄妹って雰囲気ある」
「それよく言われる~」
加えて言うと、全員煌びやかで陽の感じがある。恐らく二人とも大山さんと同じタイプなんだろう。
「それにしてもさ、まさかツーショットだと思ってたなかったわ~ しかも加工してあるし……これはうぶクンやったの?」
「いや、全部明……妹に任せた。ツーショットもその方がいいって言われて」
「あはは、聞いてた通り仲いいんだね~」
「あれ? そんなに仲いいって言ってたかな?」
「ううん。松永から聞いたの。なんかうぶクンの話になった時」
また勝手に言って……いや、待て。なんか僕の話になる時ってなんだ。そもそも大山さんと松永はどのタイミングで話してるんだ。知らないところの話だけにめちゃくちゃ気になる。
「よし、これでアタシの方は終わったから、次はうぶクンのお願い聞かないと」
「えっ、僕は負けたんだけど」
「そうだケド……ほら、ノート写させて貰ってるお礼全然してないから、それの代わりってことで」
「いや、それは別にお礼されるほどでは……」
「うぶクンさー 結構話聞いてもなかなか好みがわからないんだよね~ お礼しようにもわかってる好きなモノは……塩くらい?」
「塩もそんなに好きじゃなわけじゃ……」
「でしょ? だから、直接お願い聞いた方が早いってわけ」
もしかして、大山さんは最初からそっちが目的だった……にしてはテスト前は本気だったような気がするから、これは後から思い付いたことだと思う。
「いつか僕も頼み事すると思うからその時まで取っておくよ」
「えー!? それじゃあ、アタシの気が済まないんですケドー」
「じゃあ、現社の授業を寝ずに受けてくれるのが――」
「すやー」
わりと一番の願いなんだけど、これは大山さんの力では叶えられない願いのようだ。とりあえずテストの件はひと区切りついたので、明莉には感謝しておこう。
テストが終わって新たな週。敗北者の僕はお願いの品を大山さんに提示する。
「おー! どれどれ……うわぁ! めっちゃ可愛いじゃん、妹ちゃん!」
今の感想は明莉へのお土産として持って帰ろう。特に写真の指定はされてなかったけど、自撮りかつ加工済みのやつでも良かったみたいだ。
「それにうぶクンと結構似てる!」
「そうかな? 自分だとよくわからないかも」
「何か目元が同じっぽい? あっ、アタシの兄貴とお姉ちゃんも見る? えーっとね、これこれ!」
勝利者報酬だと思っていた写真だけど、大山さん側からはあっさりと見せられた。暖かそうな格好でおもちを持っているから年明け辺りの写真のようだ。
「どう? アタシらは似てる?」
「うん。具体的には言えなけど、何となく兄妹って雰囲気ある」
「それよく言われる~」
加えて言うと、全員煌びやかで陽の感じがある。恐らく二人とも大山さんと同じタイプなんだろう。
「それにしてもさ、まさかツーショットだと思ってたなかったわ~ しかも加工してあるし……これはうぶクンやったの?」
「いや、全部明……妹に任せた。ツーショットもその方がいいって言われて」
「あはは、聞いてた通り仲いいんだね~」
「あれ? そんなに仲いいって言ってたかな?」
「ううん。松永から聞いたの。なんかうぶクンの話になった時」
また勝手に言って……いや、待て。なんか僕の話になる時ってなんだ。そもそも大山さんと松永はどのタイミングで話してるんだ。知らないところの話だけにめちゃくちゃ気になる。
「よし、これでアタシの方は終わったから、次はうぶクンのお願い聞かないと」
「えっ、僕は負けたんだけど」
「そうだケド……ほら、ノート写させて貰ってるお礼全然してないから、それの代わりってことで」
「いや、それは別にお礼されるほどでは……」
「うぶクンさー 結構話聞いてもなかなか好みがわからないんだよね~ お礼しようにもわかってる好きなモノは……塩くらい?」
「塩もそんなに好きじゃなわけじゃ……」
「でしょ? だから、直接お願い聞いた方が早いってわけ」
もしかして、大山さんは最初からそっちが目的だった……にしてはテスト前は本気だったような気がするから、これは後から思い付いたことだと思う。
「いつか僕も頼み事すると思うからその時まで取っておくよ」
「えー!? それじゃあ、アタシの気が済まないんですケドー」
「じゃあ、現社の授業を寝ずに受けてくれるのが――」
「すやー」
わりと一番の願いなんだけど、これは大山さんの力では叶えられない願いのようだ。とりあえずテストの件はひと区切りついたので、明莉には感謝しておこう。
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