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1年生1学期
5月24日(月)雨 大山亜里沙との会話その8
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テスト1日目。1学期の中間テストは全10教科で、情報や保健体育は期末に入ってくるらしいから教科数はまだ少ない方だ。
普段の休み時間は騒がしい教室も今日は次の科目の教科書を見たり、前のテストの感想を静かにぼやいたりしている。
今日の3科目はすっぽ抜けていた部分以外は正解している自信がある。これで一週間後全然違ったら恥ずかしいけど……それもまた書き残しておくからこそ体験できる醍醐味かもしれない。
「ねぇ、うぶクンは今日できたカンジ?」
3時間目が終わって帰り支度を始める中、大山さんが聞いてきた。他人のテストの出来は無性に気になってしまうから、テスト勝負することになった相手なら尚更だろう。
「そこそこできたよ」
「そこそこ? アタシはめっちゃできたよ!」
「おお、自信満々だ」
「えへへ☆ そいえばさ、うぶクンは得意科目とかあるの?」
「うーん……現代文と数Ⅰかな」
「えっ、なにその文系と理系のセット」
「両方ともあんまりたくさん覚えなくてもいいから。現代文は文章に答えがあるし、数Ⅰは特定の計算式覚えてればできるし」
「ほー 言われてみればそうカモ?」
大山さんはそう言いながら微妙に納得してなさそうな表情をしている。おかしなことを言ったつもりじゃないけど、この理屈を言うと結構こういう反応をされる。
「アタシはどっちかっていうと暗記系の方がいい感じ! 覚えてれば何とかなるし!」
「大山さんも暗記得意なタイプか……」
「アタシも?」
「松永が昔のことよく覚えてるからたぶん暗記系も得意なんじゃないかって。ついこの前の話したんだ」
「昔のこと……アタシはそんな覚えてないからちょっと違う気がする」
「へー、そうなの?」
「過去は振り返らないタイプだから!」
その理屈でいくと、このテストのために覚えられても将来的に困ってしまいそうな気がするけど……そこまで言うのはおせっかいだろう。
「それじゃ、今日も帰って勉強しないとね! うぶクンも油断しように!」
それから「バイバイ」と手を振って大山さんは帰って行った。どうやら大山さんは勝つ気満々らしい。持ちかけたのは大山さんなんだから当然と言えば当然なんだけど、その実力は未だにふんわりしてわからない。勝負に囚われすぎてもいけないけど、忠告通りテストは油断しなようにしよう。
普段の休み時間は騒がしい教室も今日は次の科目の教科書を見たり、前のテストの感想を静かにぼやいたりしている。
今日の3科目はすっぽ抜けていた部分以外は正解している自信がある。これで一週間後全然違ったら恥ずかしいけど……それもまた書き残しておくからこそ体験できる醍醐味かもしれない。
「ねぇ、うぶクンは今日できたカンジ?」
3時間目が終わって帰り支度を始める中、大山さんが聞いてきた。他人のテストの出来は無性に気になってしまうから、テスト勝負することになった相手なら尚更だろう。
「そこそこできたよ」
「そこそこ? アタシはめっちゃできたよ!」
「おお、自信満々だ」
「えへへ☆ そいえばさ、うぶクンは得意科目とかあるの?」
「うーん……現代文と数Ⅰかな」
「えっ、なにその文系と理系のセット」
「両方ともあんまりたくさん覚えなくてもいいから。現代文は文章に答えがあるし、数Ⅰは特定の計算式覚えてればできるし」
「ほー 言われてみればそうカモ?」
大山さんはそう言いながら微妙に納得してなさそうな表情をしている。おかしなことを言ったつもりじゃないけど、この理屈を言うと結構こういう反応をされる。
「アタシはどっちかっていうと暗記系の方がいい感じ! 覚えてれば何とかなるし!」
「大山さんも暗記得意なタイプか……」
「アタシも?」
「松永が昔のことよく覚えてるからたぶん暗記系も得意なんじゃないかって。ついこの前の話したんだ」
「昔のこと……アタシはそんな覚えてないからちょっと違う気がする」
「へー、そうなの?」
「過去は振り返らないタイプだから!」
その理屈でいくと、このテストのために覚えられても将来的に困ってしまいそうな気がするけど……そこまで言うのはおせっかいだろう。
「それじゃ、今日も帰って勉強しないとね! うぶクンも油断しように!」
それから「バイバイ」と手を振って大山さんは帰って行った。どうやら大山さんは勝つ気満々らしい。持ちかけたのは大山さんなんだから当然と言えば当然なんだけど、その実力は未だにふんわりしてわからない。勝負に囚われすぎてもいけないけど、忠告通りテストは油断しなようにしよう。
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