48 / 942
1年生1学期
5月21日(金)晴れ 松永浩太との昔話
しおりを挟む
中間テスト前最後の通常授業日。今日は部室へ行かずにそのまま帰宅することにした。部活停止になっているからLINEのグループへ連絡はなかったけど、テスト前のこの日はさすがに部室も開いてなさそうだと勝手に思ったからだ。
「じゃー、今日もりょーちゃんと帰りますか~」
そんなわけで今週は火曜日以外、松永と一緒に下校していることになる。
「松永は本当にテスト大丈夫なのか?」
「なに? 俺が天才型なの疑ってる感じ?」
「そうじゃなくて、高校になって教科増えたんだし、さすがにいつかみたいな一夜漬けは無理だぞ」
「大丈夫、土日は普通にやるつもりだから~ というかりょーちゃん、よく俺が一夜漬けしたとか覚えてるね」
「目にクマができてたからな。それに昔話なら松永の方がよく覚えてるじゃないか」
「昔話ってそんな昔でも……あるか、幼稚園とかになると」
ここ数日は久しぶりの二人で下校しているせいか、何となく昔を振り返る話が多くなっていた。テスト前だというのに勉強の話はほとんどしていない。
「幼稚園の頃の記憶なんて薄っすらとしかないよ。僕が覚えてるのは中学の時の話ばかりだ」
「言われてみれば幼稚園や小学生の記憶鮮明な方だわ。まぁ、中学なんてつい最近だし」
「僕が忘れっぽいだけか…」
「そう? それこそ昔の話だけど、俺はりょーちゃんに忘れ物よく借りてた気がするから、むしろ忘れてないタイプだと思うけど」
「それは僕が前日や行く前に確認するから忘れ物しないだけで、記憶の忘れるとは意味がちょっと違うから……」
「あ~ なんかあったなー 小学校低学年の時、俺ん家に遊びに来たりょーちゃんと外に遊びに行ったら、俺ん家のカギ閉めたか気にしてたやつ」
「本当によく覚えてるな……」
松永に話されたエピソードを振り返ろうとしても家や外で遊んだ記憶が薄っすら残っているだけだった。
「あっ、もしかして」
「どうした、りょーちゃん?」
「松永がテストそこそこできるのって、普段の授業の話とか前日の勉強をそんな感じで覚えているからなのでは……?」
「まじ……? 俺、やっぱり天才じゃん……」
天才かどうかは置いといて、記憶力がいいのは確かなんだろう。だからといって一夜漬けしていい理由にはならないけど。
「よし! じゃあ、来週のテストも前日に詰め込んで……」
「僕はそこそこって言っただけで、何回か赤点取ってたの覚えてるからな」
「それは……最近の話だけど忘れた」
そんな調子の松永に僕は再度注目しておくけど、たぶんそこそこ勉強はするだろうし、今回もそこそこの結果にはなるんだと思う。
「じゃー、今日もりょーちゃんと帰りますか~」
そんなわけで今週は火曜日以外、松永と一緒に下校していることになる。
「松永は本当にテスト大丈夫なのか?」
「なに? 俺が天才型なの疑ってる感じ?」
「そうじゃなくて、高校になって教科増えたんだし、さすがにいつかみたいな一夜漬けは無理だぞ」
「大丈夫、土日は普通にやるつもりだから~ というかりょーちゃん、よく俺が一夜漬けしたとか覚えてるね」
「目にクマができてたからな。それに昔話なら松永の方がよく覚えてるじゃないか」
「昔話ってそんな昔でも……あるか、幼稚園とかになると」
ここ数日は久しぶりの二人で下校しているせいか、何となく昔を振り返る話が多くなっていた。テスト前だというのに勉強の話はほとんどしていない。
「幼稚園の頃の記憶なんて薄っすらとしかないよ。僕が覚えてるのは中学の時の話ばかりだ」
「言われてみれば幼稚園や小学生の記憶鮮明な方だわ。まぁ、中学なんてつい最近だし」
「僕が忘れっぽいだけか…」
「そう? それこそ昔の話だけど、俺はりょーちゃんに忘れ物よく借りてた気がするから、むしろ忘れてないタイプだと思うけど」
「それは僕が前日や行く前に確認するから忘れ物しないだけで、記憶の忘れるとは意味がちょっと違うから……」
「あ~ なんかあったなー 小学校低学年の時、俺ん家に遊びに来たりょーちゃんと外に遊びに行ったら、俺ん家のカギ閉めたか気にしてたやつ」
「本当によく覚えてるな……」
松永に話されたエピソードを振り返ろうとしても家や外で遊んだ記憶が薄っすら残っているだけだった。
「あっ、もしかして」
「どうした、りょーちゃん?」
「松永がテストそこそこできるのって、普段の授業の話とか前日の勉強をそんな感じで覚えているからなのでは……?」
「まじ……? 俺、やっぱり天才じゃん……」
天才かどうかは置いといて、記憶力がいいのは確かなんだろう。だからといって一夜漬けしていい理由にはならないけど。
「よし! じゃあ、来週のテストも前日に詰め込んで……」
「僕はそこそこって言っただけで、何回か赤点取ってたの覚えてるからな」
「それは……最近の話だけど忘れた」
そんな調子の松永に僕は再度注目しておくけど、たぶんそこそこ勉強はするだろうし、今回もそこそこの結果にはなるんだと思う。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
三姉妹の姉達は、弟の俺に甘すぎる!
佐々木雄太
青春
四月——
新たに高校生になった有村敦也。
二つ隣町の高校に通う事になったのだが、
そこでは、予想外の出来事が起こった。
本来、いるはずのない同じ歳の三人の姉が、同じ教室にいた。
長女・唯【ゆい】
次女・里菜【りな】
三女・咲弥【さや】
この三人の姉に甘やかされる敦也にとって、
高校デビューするはずだった、初日。
敦也の高校三年間は、地獄の運命へと導かれるのであった。
カクヨム・小説家になろうでも好評連載中!
Toward a dream 〜とあるお嬢様の挑戦〜
green
青春
一ノ瀬財閥の令嬢、一ノ瀬綾乃は小学校一年生からサッカーを始め、プロサッカー選手になることを夢見ている。
しかし、父である浩平にその夢を反対される。
夢を諦めきれない綾乃は浩平に言う。
「その夢に挑戦するためのお時間をいただけないでしょうか?」
一人のお嬢様の挑戦が始まる。
彼女に思いを伝えるまで
猫茶漬け
青春
主人公の登藤 清(とうどう きよし)が阿部 直人(あべ なおと)に振り回されながら、一目惚れした山城 清美(やましろ きよみ)に告白するまでの高校青春恋愛ストーリー
人物紹介 イラスト/三つ木雛 様
内容更新 2024.11.14
漫才部っ!!
育九
青春
漫才部、それは私立木芽高校に存在しない部活である。
正しく言えば、存在はしているけど学校側から認められていない部活だ。
部員数は二名。
部長
超絶美少女系ぼっち、南郷楓
副部長
超絶美少年系ぼっち、北城多々良
これは、ちょっと元ヤンの入っている漫才部メンバーとその回りが織り成す日常を描いただけの物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
全体的にどうしようもない高校生日記
天平 楓
青春
ある年の春、高校生になった僕、金沢籘華(かなざわとうか)は念願の玉津高校に入学することができた。そこで出会ったのは中学時代からの友人北見奏輝と喜多方楓の二人。喜多方のどうしようもない性格に奔放されつつも、北見の秘められた性格、そして自身では気づくことのなかった能力に気づいていき…。
ブラックジョーク要素が含まれていますが、決して特定の民族並びに集団を侮蔑、攻撃、または礼賛する意図はありません。
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる