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1年生1学期
4月21日(水)晴れ 大山亜里沙との会話
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今日は先週から始まった日直が回って来る日だった。中学の時は日誌を付けなければいけなかったけど、高校では毎授業ごとの黒板消しと帰る前に配布物があるか職員室まで確認するだけで済む。
そして、僕と一緒に日直をするのは大山さんだった。日直は男女で組んでいくから席の隣の人になるのは当然と言えば当然である。
「うぶクン、ちょっと待って!」
そんな大山さんは5時間目の現代社会の授業が終わって黒板を消そうとする僕を静止した。それからスマホを取り出して、黒板を写し始める。今日は授業中に一瞬だけ右隣の大山さんを見たけど、まるで考えごとをしているかのように頬に手を付いてま寝ていた。
「うーん。やっぱ黒板を直接撮ると見づらいなー」
「……ちなみにこれ一回消した後の板書だからね」
「ええっ、マジ!? 早く言ってよ~!」
「だからまずは寝ない努力を――」
「うぶクン、消す前のトコ写させて☆」
僕の言葉を遮るように大山さんは可愛く……いや、媚びたお願いをしてきた。このままでいいのだろうかと思ったけど、黒板を早く消さなければいけないので、席に戻った僕は大山さんにノートを差し出す。
「黒板は僕がやっておくから、ご自由にどうぞ」
「ホント助かる~」
僕も授業中に寝ない保証はないけど、あまりこういうことをやり続けると、僕が授業で寝させても良いと思わせているのかもと考えてしまう。
「おつ~ あっ、肩にちょっとチョーク付いてるよ?」
「ああ。ありがとう」
僕が席に戻ってくると、大山さんはノートを返却した。それから他の人のところに……と思ったが、その場から動こうとしない。
「どうしたの?」
「いや、オリエンテーションの時とかも思ったケド、うぶクン結構身長高いね。何センチ?」
「この前の身体測定だと171cm」
「お~ アタシの兄貴より高いかも」
「へぇ、お兄さんいるんだ」
「お姉ちゃんもいるよ。アタシは末っ子。うぶクンは?」
「僕は妹が一人だけ」
「ええ~ いいなー、妹!」
そうこうしていると、チャイムが鳴り響く。それを聞いた大山さんは残念そうな顔をして言った。
「もう休み時間終わりなのー? ねぇ、妹の話、金曜に聞かせてね」
「えっ? 金曜?」
「うん、金曜の現社もノート借りるから! よろしく!」
僕が口を挟む前に先生が来てしまったので、話はそこで終わってしまった。別に次の休み時間でもいいと思ったけど、これはノートを貸す代わりに大山さんと話せる……というシステムなのだろうか。まぁ、そうでもないと僕と話すこともないか、と自分で思ってちょっとだけ心が痛くなるのだった。
そして、僕と一緒に日直をするのは大山さんだった。日直は男女で組んでいくから席の隣の人になるのは当然と言えば当然である。
「うぶクン、ちょっと待って!」
そんな大山さんは5時間目の現代社会の授業が終わって黒板を消そうとする僕を静止した。それからスマホを取り出して、黒板を写し始める。今日は授業中に一瞬だけ右隣の大山さんを見たけど、まるで考えごとをしているかのように頬に手を付いてま寝ていた。
「うーん。やっぱ黒板を直接撮ると見づらいなー」
「……ちなみにこれ一回消した後の板書だからね」
「ええっ、マジ!? 早く言ってよ~!」
「だからまずは寝ない努力を――」
「うぶクン、消す前のトコ写させて☆」
僕の言葉を遮るように大山さんは可愛く……いや、媚びたお願いをしてきた。このままでいいのだろうかと思ったけど、黒板を早く消さなければいけないので、席に戻った僕は大山さんにノートを差し出す。
「黒板は僕がやっておくから、ご自由にどうぞ」
「ホント助かる~」
僕も授業中に寝ない保証はないけど、あまりこういうことをやり続けると、僕が授業で寝させても良いと思わせているのかもと考えてしまう。
「おつ~ あっ、肩にちょっとチョーク付いてるよ?」
「ああ。ありがとう」
僕が席に戻ってくると、大山さんはノートを返却した。それから他の人のところに……と思ったが、その場から動こうとしない。
「どうしたの?」
「いや、オリエンテーションの時とかも思ったケド、うぶクン結構身長高いね。何センチ?」
「この前の身体測定だと171cm」
「お~ アタシの兄貴より高いかも」
「へぇ、お兄さんいるんだ」
「お姉ちゃんもいるよ。アタシは末っ子。うぶクンは?」
「僕は妹が一人だけ」
「ええ~ いいなー、妹!」
そうこうしていると、チャイムが鳴り響く。それを聞いた大山さんは残念そうな顔をして言った。
「もう休み時間終わりなのー? ねぇ、妹の話、金曜に聞かせてね」
「えっ? 金曜?」
「うん、金曜の現社もノート借りるから! よろしく!」
僕が口を挟む前に先生が来てしまったので、話はそこで終わってしまった。別に次の休み時間でもいいと思ったけど、これはノートを貸す代わりに大山さんと話せる……というシステムなのだろうか。まぁ、そうでもないと僕と話すこともないか、と自分で思ってちょっとだけ心が痛くなるのだった。
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