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スローなテンポで※
しおりを挟む「まさか、普通じゃ……ない?」
「……ない」
「…………あそうですか。……まぁ……でも、して欲しいんだったらしますけど? 別に初めてでもないんで」
「なッ……! いや、初めてなどという問題では……!」
「えー、なんかそういう風に言われると反骨精神が湧いてやりたくなっちゃいますよねー」
「何故そうなる……!」
変に焦る彼が面白くって太ももを擦ると、「こら……!」と怒られた。それがまた面白くって、ベルトを外しにかかる。
「かッ、勝手に……!」
「まぁまぁ良いじゃないですか。いつもやられっぱなしなんで、たまにはねー?」
トラウザーズの釦を外し下着を掻き分け取り出すと、徐々に硬くなってゆく彼の一部。僅かな期待でも反応してしまうのが人間の罪なトコロ。
「ッ、本気か?」
「うん、本気。大真面目」
両手で包み込んでちゅ、と先端に口付ければぴくりと反応を示し、小さく唸る喉の奥。これみよがしに耳に髪を掛けて上目遣いで“くびれ”をぺろりと舐めた。
「っ~~……ああっ、くそっ……」
「言葉遣いわるーい」
「どの口が……!」
「んー……このくひ」
先端を咥えそう言うと、非常に我慢した表情で首を横に振る。
裏筋に舌を這わせ吸い付くようにキスをして、とにかくこんなサイズのものは全部咥えられないから、先の方だけ口に含んでなんとか手で扱いてみる。初心者ではないものの本当にこれで気持ち良いのかは疑問だ。
それでもソファーの肘掛けに片肘ついて頭を抱え、「ふーっ、ふー……っ」と荒い息を立てているのを見ると、フフンと優越感に浸れる。
「ったくどうしてこんなに……っ」
「んーー?」
「はっ、はっ……元々、淫乱なのか……?」
「ん!? んんっ、んぁっ……インランだなんて失敬な。文化と環境のせいですー」
「本当にそれだけで此処までするか?」
「此処まで? うーーん。じゃあお客さん、追加のサービスでも致しましょうか?」
「は?」
此処まで、と言われたことに何だか悔しくて『もっとやれるけど?』と謎のプライドが生まれ、肌触りの良い綿麻のシャツ越しに胸を押し当ててみる。クラリスだったなら十分に満足出来ただろうに。
「挟めるぐらいはありますよ? ま、やったことは無いけど」
「ッ──!? な、何をッ……!」
「そんなに驚かなくてもいいじゃないですか」
「そ、それは、いきなり何を言い出すかと……!」
「はいはい、じゃあまた次のお楽しみに取っておきましょうねー。まさかこんなことで狼狽えるとは思ってもみなかったので弄り甲斐があるってもんですよ」
「私で遊ぶな……!」
「あはっ。てかちょっと残念そうなのウケる」
「…………煩い」
会話も一区切りついたところで、再び先端にキスを落とす。私もそろそろお口とお手々が疲れてきた。
恥ずかしながら彼の表情を見ているだけで濡れてしまったので、そろそろ挿れてもいいかなと思い、ショーツを脱いでゆっくりと上に跨がった。
「まだ触れてもいないのに入るのか?」
「ん」
「はっ、……っとに千聖は」
「何よ」
淫乱だな、とでも言いたいのか。一応付け加えておくけど誰でも良いってわけじゃない。ムスっと睨めばいつもの意地悪な顔で笑う。
そのままゆっくりゆっくり腰を落とせば甘い声が漏れ、奥まで全部飲み込むと、漏れた甘い声を更に飲み込むように唇が重なる。
こういう風に唇を求めていると、一昨日のパーティーを思い出す。
“愛しているから”
その言葉がどんなに重く響いたことか。と同時に少しでもイかせてくれなかったのは本当に恨む。かなり耐えたぞ私は。
唇を重ね頭の端でそんな事を考えていると、私のシャツの釦をぷちぷちと外していくブルー。なんというか、セックスとの向き合い方も随分と大人になったなぁと感じる今日この頃。
大学入りたての頃はまだ初かったっけ。世話好きな悠真とで随分と慣れて、ブルーとで箍が外れた感じ。
(あれだけ一夜のうちに何度も何度もしてたらそりゃあ外れもするよぉ……)
「んっ、ん、んぁっ……」
「今日は、千聖が動いてくれるのか?」
「たまには、ね……っ」
誰かさんに主導権を握られていると味わえないスローなテンポで熱を感じて、混ざり合う。
西日が照らす空間、遠くの方で降る雨、穏やかな波音、17時を知らせる鐘、この世界全てと、一体になった感覚だった。
それなのに私ったら、たった五回の出し挿れでイッてしまった。普通に跨っているだけでも一番奥に当たるのに、ゆっくりだと余計に感覚が鋭くなる。
一方のブルーはというと、熱を帯びた妖艶な吐息を吐きながらも、静かに果てる私を見て嬉しそうに眺めている。結局この構図になるのか。
ほらまだ動いてと言わんばかりに腰を掴まれるが、あくまで私のテンポを補助しているだけ。
ゆっくりと上へ下へと動かす度に小さな痙攣を繰り返して、いよいよ入っているだけでも痙攣が止まらなくなってしまってブルーに抱きついたままでいると、痺れを切らして突き上げてくるのだった。
──その後、ディナーの時間までぐっすり眠っていたのは、言うまでもない。
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