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難しい仕事ほど・・・断れないしがらみがあるもんですよね? 61

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      第一章  五七話

 謁見の間にいた人々は・・・帝国人・王国人を問わずしている。

 まあ気持ちは分かる。“伝説の神獣”と呼ばれ、それこそ“神”の一柱として認識されている“三首の神獣ギドルガモン”の頭蓋骨が、何もない空間に突然現れたのだ。勿論、効果をやった訳だが・・・

「・・・そろそろ宜しいでしょうか? 陛下? 」

 僕の呼び掛けに“ピクリ”と反応した皇帝が、討伐証明部位ギドルガモンの頭蓋骨から無理やり視線を、改めてこちらに向き直る。実際にを確認した皇帝は、この短い時間で事態を把握したのか、不機嫌そうに言葉を紡いだ・・・

「・・・幾つか聞きたい事がある。」

ーーーーーーーーーー

 カナタが皇帝フリードリヒとの謁見プレゼンのぞでいた丁度その頃・・・遥か数千キロ離れた地で・・・・

 pi! 

 Booo,,Titi,,・・・・

 にビープ音が響く・・・・

ファーストステージギドルガモンクリア討伐を確認。〉

〈規定時間経過内の復活リスポーン不能を確認。〉

〈設定条件の履行を確認・・・“原初の守護者ファーストブレイカー”を解凍します。〉

 (うん? )

 意識が朦朧として良く聞き取れなかったが、抑揚のない声で何かが告げられた様だ・・・いまいち状況を把握出来ないが・・・どうも眠っていたらしい。今も体が横たわっている事だけは感覚的に理解できた。

 反射的に目を開けると、視界は乳白色に染まって何も見えない。とりあえず起き上がる為に体を動かそうとするが、四肢を何かので固定されているらしく動かす事ができない。

 “バシューーーーッ!!”

 不意に視界が。状況を鑑みるに・・・何か棺桶の様な形の物に閉じ込められていたらしい・・・その蓋が、内部に充満していた“煙状の何か”を溢れさせながらせり上がっていく。

 蓋が完全に開くと同時に、四肢を拘束していた装具が外れ、手足が動かせる様になる。四肢の自由を確かめながら、ゆっくりと身体を起こして周りを見渡す。

 そこは、ざっと5m四方の小部屋で家具の類は何もない。照明も見当たらないが・・・天井全体が鈍く発光して部屋を照らしている。そして・・・不思議な事に家具だけではなく、見当たらなかった。

「なんだー? ここ何処どこなのよ? って私?」

 暫くは部屋のに気を取られていたが・・・もう一度見回してみると、背後の壁面に“約1m四方の金属の板”が、埋め込まれている事に気付いた。他に何も無いので、とりあえずその金属板に近づこうとすると・・・

擬似エネルギー体サスペクトボディの起動を確認。〉

「ひゃっ!」

 どうやら・・・さっきから聞こえる“抑揚のない声”は眼前の金属板から聞こえている様だ。そこでと気付いた。

「私、素っ裸じゃん。何なのよコレ?」

〈ファーストステージクリアをもってプレイヤー討伐者を脅威度Sと認識。これよりシステムファイル“大地の守護者ガイアホルダー”より“原初の守護者ファーストブレイカー”へダウンロ.:@/.ga,,,!xxm:/・・・〉

 金属板が喋るのも驚いたが、何やら最後の方は上手く聞き取れなかった。とりあえず棺から這い出ると、恐る恐る金属板に近づく。

「ねぇ、聞こえる? そっちに誰かいるんでしょ? ここ開けてくれない? 」

 声を掛けながら、金属板にそっと触れてみる。大きさは大体1m四方、表面に複雑な彫刻レリーフと施されている。中央より少し上には、直径約3cm程の赤い球体が埋め込まれている。

 この部屋の様子はどうも尋常ではないが、他に入り口らしき物も見当たらない以上、これが稼働するのではないか? とを付けたが・・・呼び掛けに対する返答はない。

「よし、落ち着け私! えーと・・・」

〈.:@/.?,*.-,--  システムエラーを確認。長期に渡る保管で硬質金属記録媒体ソリッドメモリに損傷を負ったものと推定。保全用サブシステム“生態拡張保持機構バイオメモリ”を起動・・・〉

「ひゃっ! もう! 急にしゃべり出さないでよ!」

 急にしゃべりだした金属板にぎょっとする。さっきから“システム”とか“エラー”とか言ってる所をみると、これはなんだろうか?

「よし、確認よ。私は久坂一生くさかかずみ、19歳、平成XX年4月12日生まれ、A型、昨日の晩御飯は吉○家の特盛りつゆだく・・・よしここまでは問題ない。それで・・・昨日はご飯を食べた後まっすぐアパートに帰って、すぐにシャワーを浴びて寝たわよね・・・・・・・やっぱり分かんない。ここって何処どこなのよ!」

「ここは、惑星保全システム “最後の砦グランドフォートレス” 内にある施設の一室だよ。」

 ?????!!!!!

「うおー! って誰? 何回おどかせば気が済むのよ! 」

 またしても突然の声・・・しかも今度は後ろからだ・・・先程までの電子的な音声とは違う肉声、しかもすぐ後ろで聞こえた様に感じて、反射的に振り向く。が、そこには誰もいない。

「こっちだよ! 下を見てくれ。」

 反射的に下を見て・・・さっき這い出て来た棺桶の様な箱の足元辺りに、もう一つ似た形の箱があるのを見つける。蓋は既に開き、・・・・一匹の黒猫が座ってこちらを見ていた。

「え? 猫? でも今の声は・・・」

「驚くのは解るが・・・ まずは落ち着いて俺の話を聞いて欲しい。」

「!!!猫が喋った??? そんなばかな・・・」

ーーーーーーーーーーー

 三首の神獣ギドルガモンの首を確認した皇帝フリードリヒは、その場に居合わせた自国民に厳重な箝口令を言い渡し、トライセン王国の特使の一団と僅かな供周りのみを連れて別室に移動していた。

「色々と聞きたい事もあるが・・・まずはお互いに関わる件から片付けようか・・・」

 随分と疲れて見える。少しか? とは言え・・・今回、交渉の主体はカナタではない。ここはビットナー伯爵の手腕に期待しよう。

「結構で御座いますな。して陛下、返答は如何に?」

「・・・・程見事に証拠を出されてはな・・・しかあるまいよ。ただし無条件とはいかん。」

「なる程・・・至極当然ですな。条件を伺えますでしょうか? 」

「ふむ。今度の提案、我が国にも利がある事は承知しておる。まぁグラム神聖国は“いい面の皮”だがな。」

「それは否定出来ませんな・・・」

「ならば条件は一つ、彼の国は決してアルバの地が“自らの手を離れる事”を良しはとせんだろう。条件は問わん!彼の地が“グラムを離れる事”を認めさせい。その義が成れば・・・我が国は他の全てに優先してアルバの地に約を成そう!」

 ・・・なる程、トライセンやギルムガンとは違い、アルバ地方は元々帝国の領地だった。ここでを帝国が後押しすればグラム神聖国との間に新たな火種を産む結果になるかも知れない。

「・・・なる程仰る通りですな。さてこれは如何に判断するべきか・・・」

 ここでのビットナー伯爵の立場は・・・あくまでもトライセンが“好意で”請け負った交渉代理に過ぎない。チラリとこちらに視線を寄越す。心なし笑顔なのは後日問い質すとして・・・僕は静かに頷いてみせた。

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