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ライミリ精霊信仰国編(ライミリ編)
171.証拠など残しませんよ 一心視点
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扉へと向かう私たちの背に、舌打ちが聞こえてきた。
騎士と二人振り向けば正反対の表情をしているのが見えた。
「…かしこまりました。」
一人は顔を青ざめたままだが、どこか覚悟を決めた顔をしている。
その一方。
「納得できない!なぜ私が処罰を受けなければならない。」
まだ喚いているバカの方は、いまだにうるさい。
(ギャアギャアと赤子のようですね。)
「貴方は副騎士団長の命令に背いたことと、精霊妃様の怒りを買う行動をとったことにより処罰を受けることになります。」
「だから!なぜ偽物の精霊妃の魔術具を大切にしなければならない?!」
「もう一度言いましょう。世界樹様ウィール様のお言葉を疑う、と?」
「世界樹様も騙されている!!あんな女とこんな怪しい魔術具を誰が精霊妃達だと認める!」
「世界樹様は全てを見通すお方。あの方の前で嘘をつけるとお思いですか?あの方を騙すようなものが現れることは、太陽が西から登り東に沈むようなことと同じくらいあり得ないことですよ。」
(「………」)
足音を消して、笑顔を作って、ゆっくりと近づく。
「黙って聞いていれば、我が主に向かって随分なことですね。」
軽い自分の挑発にのった、バカな執事だ。上手くいけば騎士が黙ってくれるかもしれない。
(そんなことでも考えているのでしょう。)
分かりやすく表情を変え、勝ち誇った下品な笑みを浮かべる騎士。
「おっと失礼。つい本当のことを言ってしまった。君の主が偽物であることは、クィラッツ伯爵家の次男たる僕には丸わかりだ。世界樹様さえ騙した君の主は、いったいどんな手を使ったんだ?ん?」
「………。」
(「………」)
「ああ!!重ね重ね失礼した!ここでは言えないような卑猥で非道的な手を使ったんだろう?気遣いができなくて申し訳…。」
「世界樹ウィール様に許可をいただきました。」
「…は?」
「我が主より許可をいただきました。」
「……はぁ。一応聞いてあげよう。何の許可だ?どうせくだらない許可だろう?」
「ええ、本来許可など必要ない事です。貴方を、クィラッツ伯爵家次男を好きなだけ殴っていいと。」
「…は?」
「まっ!お待ちを一心ど」
静止の言葉を無視して、強化した腕でバカを殴る。
ゴキッと音がしたので、おそらく肋骨でも折れたのだろう。
(ニアの部品を壊そうとした腕、手、ついでに追ってこれないよう足も潰しておきましょうか。)
「ギャァァアアアア!腕が、私の、私の手がぁぁ」
(ああ、でも証拠を残すのはよくありませんね。ならば回復魔法を施し、恐怖を心に刻んでおきましょう。)
「伯爵家の次男ともあろう方が喚き散らすとは、みっともないですよ。紳士たるもの、優雅にたたずんでいなさい。」
足を踏み潰すことで反論をふさぎ、殴り続ける。
とにかく肩より下を殴っていく。決して痕は残らないように、回復魔法を使いつつ殴り続ける。
「それができないのなら、壁に貼り付けになっていなさい。」
そのまま壁に叩きつけ、マスターの代理として股間を蹴り上げておく。
「オゴッ…。」
「やっと静かになりましたね。さて、副騎士団長殿も暇な方ではないでしょう。急ぎ参りましょうか。」
クルリと振り返れば、引きつった顔でこちらの見る騎士二人。
「さぁ。」
「……ハッ。かしこまりました!こちらへ。」
やっと私は騎士の案内で、副騎士団長の部屋に行けるようだ。
部屋の中に怯え切った騎士と傷はないがどこかボロボロな騎士を残して、部屋を立ち去った。
余談になるが、彼が団より与えられていた部屋や実家の部屋はボロボロになったらしい。
まるで、部屋の中で竜巻が暴れていたような様子だったそうだ。
(自業自得、でしょう。)
騎士と二人振り向けば正反対の表情をしているのが見えた。
「…かしこまりました。」
一人は顔を青ざめたままだが、どこか覚悟を決めた顔をしている。
その一方。
「納得できない!なぜ私が処罰を受けなければならない。」
まだ喚いているバカの方は、いまだにうるさい。
(ギャアギャアと赤子のようですね。)
「貴方は副騎士団長の命令に背いたことと、精霊妃様の怒りを買う行動をとったことにより処罰を受けることになります。」
「だから!なぜ偽物の精霊妃の魔術具を大切にしなければならない?!」
「もう一度言いましょう。世界樹様ウィール様のお言葉を疑う、と?」
「世界樹様も騙されている!!あんな女とこんな怪しい魔術具を誰が精霊妃達だと認める!」
「世界樹様は全てを見通すお方。あの方の前で嘘をつけるとお思いですか?あの方を騙すようなものが現れることは、太陽が西から登り東に沈むようなことと同じくらいあり得ないことですよ。」
(「………」)
足音を消して、笑顔を作って、ゆっくりと近づく。
「黙って聞いていれば、我が主に向かって随分なことですね。」
軽い自分の挑発にのった、バカな執事だ。上手くいけば騎士が黙ってくれるかもしれない。
(そんなことでも考えているのでしょう。)
分かりやすく表情を変え、勝ち誇った下品な笑みを浮かべる騎士。
「おっと失礼。つい本当のことを言ってしまった。君の主が偽物であることは、クィラッツ伯爵家の次男たる僕には丸わかりだ。世界樹様さえ騙した君の主は、いったいどんな手を使ったんだ?ん?」
「………。」
(「………」)
「ああ!!重ね重ね失礼した!ここでは言えないような卑猥で非道的な手を使ったんだろう?気遣いができなくて申し訳…。」
「世界樹ウィール様に許可をいただきました。」
「…は?」
「我が主より許可をいただきました。」
「……はぁ。一応聞いてあげよう。何の許可だ?どうせくだらない許可だろう?」
「ええ、本来許可など必要ない事です。貴方を、クィラッツ伯爵家次男を好きなだけ殴っていいと。」
「…は?」
「まっ!お待ちを一心ど」
静止の言葉を無視して、強化した腕でバカを殴る。
ゴキッと音がしたので、おそらく肋骨でも折れたのだろう。
(ニアの部品を壊そうとした腕、手、ついでに追ってこれないよう足も潰しておきましょうか。)
「ギャァァアアアア!腕が、私の、私の手がぁぁ」
(ああ、でも証拠を残すのはよくありませんね。ならば回復魔法を施し、恐怖を心に刻んでおきましょう。)
「伯爵家の次男ともあろう方が喚き散らすとは、みっともないですよ。紳士たるもの、優雅にたたずんでいなさい。」
足を踏み潰すことで反論をふさぎ、殴り続ける。
とにかく肩より下を殴っていく。決して痕は残らないように、回復魔法を使いつつ殴り続ける。
「それができないのなら、壁に貼り付けになっていなさい。」
そのまま壁に叩きつけ、マスターの代理として股間を蹴り上げておく。
「オゴッ…。」
「やっと静かになりましたね。さて、副騎士団長殿も暇な方ではないでしょう。急ぎ参りましょうか。」
クルリと振り返れば、引きつった顔でこちらの見る騎士二人。
「さぁ。」
「……ハッ。かしこまりました!こちらへ。」
やっと私は騎士の案内で、副騎士団長の部屋に行けるようだ。
部屋の中に怯え切った騎士と傷はないがどこかボロボロな騎士を残して、部屋を立ち去った。
余談になるが、彼が団より与えられていた部屋や実家の部屋はボロボロになったらしい。
まるで、部屋の中で竜巻が暴れていたような様子だったそうだ。
(自業自得、でしょう。)
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