異世界情報収集生活

スカーレット

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ライミリ精霊信仰国編(ライミリ編)

113.無意識内の差別

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(ふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんな。)

ピキリと固まりつつある笑顔をより一層深めて、脳内では呪詛を延々と呟く。

しかし宰相殿は無情にも、頭の中がそんなカオスな状態になっていても説明を止めてくれない。まぁ、気づいていないだけだろうが。

「当時悪名を轟かせていた一人の盗賊がこの国に帰って来た時に盗まれた物の可能性が高いです。ですのでその……一度こちらに引き渡していただけませんか?」

………

一人の盗賊に各国の王宮の警備を突破されたと笑ってやることも可能だが、それをしたのが師匠ならば笑えない。

「ですよねー。」

としか言えなくなってしまう。というか、昔の師匠が出来たなら多分私もできる。言わないけれど!

そして、相手の要請は当然のもの。しかし残念なことにそちらの意見が真実、検査して確かめたいというものであっても、私は受け入れられない。

「申し訳なく思いますが、それはできません。師匠の命令は絶対ですので。万が一にも大切な娘と息子に害が及ぶようなことはしたくないのです。」

理由は、一度も私や一心が確認していない。この状況なら、盗まれても気付かないという事だ。流石に情報と財宝をくれてやる気は無い。

「しかし、師匠殿は異世界におられるのでしょう?」

意訳「異世界にいるからどうせわからないでしょう?情報くださいな。」

「師匠を見くびると痛い目を見るのは、私が一番よくわかっていますので。」

意訳「師匠ならやる。絶対やる。」

ニッコリと笑っていてもその目に含まれる恐怖を読み取ってくれたようで、思ったよりもすんなり引き下がってくれた。

「まぁ私達も初めて聞いた話ですので、先に話自体が真実かどうかを確認しておきますよ。場所が書かれているだけで、他は何も分からない状態ですから。」

引き下がられても面倒だな。

そう思って強制的に切り上げて、話しを戻す。

「私の策についてですが、簡単に言えばいくつかの策に分かれています。」

そう切り出してから、簡単に策を話した。

皆が苦い顔をして聞く中話しが終わり、公爵二人は覚悟を決めた目でこちらを向いた。

「精霊妃様の策を、利用させていただきたく存じます。」

「儂からも、どうか。」

そんなことは言われなくても分かっていたので、手を振って放る。

「策の利用はどうぞご自由に。ただし、全てを利用して甘い蜜だけ吸うようであれば……分かりますよね?」

目に僅かな殺気を込めて、笑顔で告げる。

最終宣告と受け取った彼らは、瞬時に頭を下げて冷や汗を隠していた。

あまりに長い間精霊妃という存在がいなかったからだろう。私や精霊王達、ウィール様さえ見下されている。

彼らにとってはそんなつもりはないだろうが、過去の者たちが見れば驚愕するような扱いだ。少なくとも、私はその過去を知ってここにいる。

冷ややかな目を向けるのも、仕方がないだろう。今でさえ私が聡明なことを知って仕立てに出ているが策を丸ごと、ようは私の言う通りにすればこちらが満足すると思ったのだろう。

(何回ため息をつけばいいのだろう。)

他国から見れば優秀な公爵。だが、私からすれば50年ほど生きているだけのたかだか公爵。

こちとら文字通り命を懸けた腹の探り合いをしてきたのだ、下手にでて何らかの要求を通そうとしているのが丸わかりだ。その要求も、簡単に予想がつく。

(師匠が盗んだ財宝。そんなに所有欲やら金に目がない人のイメージは無いけれど、各国の王城に行けて盗む実行力があるのは師匠くらいだろう。師匠の金なら遠慮はいらないな。イアに借りたお金返して、思う存分使わせてもらおう。)
一人そんなことを考えながら、やや顔色が悪い相手に話を促す。

「それで?貴方がたが今考えてる処分と断罪方法はどういったものなのでしょうか。」

そう促せば宰相であるマフィックスが言いにくそうに目を逸らした後、顔を僅かにそむけた。
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