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MMM(トリプルエム)の解散危機一髪
新たなる魔法少女
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さて、今までは時系列に沿って俺の体験してした魔法少女三人衆との日常を紹介してきたが、今回ばかりはその時系列を無視させていただきたい。
夏休みの話なんて立花が作ったRPGや西田の壮大なくだらんドッキリ以来とくに面白いことが起こったというわけでもないしもういっそのこと紹介しなくてもいいんじゃないかと思ったりする。俺にとって夏休みの日常で特筆することはそのヘンの高校生の夏休みとそこまで変わりはないと思うし、つい先日起こった出来事の方が面白いかもしれん。
なので今回ばかりは時系列を無視した話になることを肝に命じていただきたい。
それは、夏休みもさよならしてあっという間に来たモテ男の祭典&運動神経無し太郎(主に俺)の恥さらし大会という恐ろしい学校行事である体育祭をやっとこさ終えたある日のことだった。
体育祭の威力は凄まじく、体育祭で活躍したモテ男どもはさらにモテたように思える。逆に体育祭での活躍は全く無くクラスの敗北に貢献した運動神経無し太郎(主に俺)はクラスの女子たちに後ろ指を刺されて心臓を貫通しそうな感じだ。
クラスの女子たちは文化祭の準備の雑用を俺たち敗北貢献者に押し付け、モテ男どもにはラクな仕事のみをさせるのだった。
おのれ忌々しいモテ男どもめ。おのれ憎々しい媚び売り娘どもめ。呪ってやろうか!
クラスの女子とクラスのモテ男どもに対してわら人形の用意を決意しかけながらせっせと雑用をこなしていたある日、西田と一緒にクラスの女子の愚痴を語りながら食べた昼食をすませて暇になってくると急に呼び出しをくらった。
「マスター、友達が呼んでる」
文章だけだと分かりにくいかもしれないが、この時もけっこう雑な言い方のように思える。あからさまではないにしろ扱いの悪さがわかりやすく露呈している。
ちなみに俺は友達なる人物に呼び出しをくらうようなことをした覚えはない。一体友達なる人物は誰なのだろうか。
俺は雑な扱いをする女子のいる近くのドアまで目指して歩いていった。なんと友達なる人物は立花だった。さすがに不意をつかれたのは言うまでもない。
俺だって少しは他のクラスにも友達の1人や2人は魔法少女以外でいるのでそいつらの誰かと思っていたが、まさか立花に呼び出されるとは思ってなかった。
「どうした? 立花。なんか俺に用か? 」
「招集命令を受領した」
「招集命令? 」
「そう」
説明が短すぎる。立花よ。お前はそれで伝えきれたつもりかもしれんが、俺には何が言いたいのかさっぱり分からんぞ。もっと簡潔に略さずに詳しく説明してくれ。
「えっと……もう少し詳しく言ってくれないか? 」
俺の心の声より温和な感じで言ってみた。
俺の心の声をいちいち全部言葉に出したらただのめんどうな人間になってしまうからな。
「午後12時35分に私は招集命令を受けた。だから来て」
やはり説明不足だ。とりあえず立花について行けばいいのか?
立花は俺の表情を察してくれたのか、もうちょっと詳しい説明を付け加えた。
「詳しい事は分からない。でもあなたに来てくれと命令している人物がいる。だから来てくれ」
少しはわかりやすくなったのでようやく立花ので言いたいことが俺にも理解できた。
「俺と立花だけか? 」
「望月さんと早瀬さんも同じように招集命令を受けている」
なるほどな。どおりでさっきから望月が姿が見えなかったわけだ。
昼休みのチャイムがなった瞬間西田が騒ぎ出すのはいつものこととして、望月も急になにも言わずに飛び出して行ったのでたまげたと思っていたらそういうことだったのか。
「急いで。本来この命令は1時には招集完了しなければならない」
「1時だって? 今はもう1時10分じゃないか」
「そう。だから急いで」
言うが早く、立花は俺の腕をつかんでグイッと引っ張って走り出した。
体育祭の時も見せていたが立花の脚力は驚異的なものを感じる。200メートル競争では2位と50メートルくらい差を開けてゴールしたし、騎馬戦女子の部では圧倒的なスピードで瞬く間に相手の帽子をかっさらっていたくらいなのだ。
そんな立花に引っ張られて走った俺のスピードは人生で一番と言えるだろう。目に映る景色は新幹線の窓から見える景色のように現れては消え去り現れては消え去りの繰り返しだ。
空前絶後の俺の走りは教室のある1号館から職員室や講堂がある本館を経由して生徒会室までお披露目していた。階段を降りたり上がったりしていたし俺史上最大の走りをお披露目したせいですっかり息があがっていたが、立花は息一つ切らしていない。
一体どんな体の持ち主なのだろうか。体力だけでも交換してほしいくらいだ。
立花は疲れきってゼーゼー息を切らしまくってる俺の腕をまた引っ張って生徒会室の扉をノックも開け放った。中には望月と早瀬が俺に背を向けて立っており、俺の方に顔を向けて立っている2人の女子生徒と話していたような様子がうかがえる。
「やっと来ましたか……」
女子生徒の1人がため息混じりに俺に向けて言葉を放ったようだ。失礼なやつだ。
歓迎の言葉はもっとマシなヤツがあるだろう。ウエルカムと一言いってくれれば俺の気持ちも穏やかになれただろうに、やれやれといった感じで歓迎したか分からないような歓迎の言葉を述べたのでちょっとムッときた。
それでもけんか腰にならずに相手の言葉を待つことが大切なのだ。
「まぁこれでメンバーも揃ったことですし、本題へと話を進めましょうか」
俺のことなどどうでもいいといった感じで3人の魔法少女を見回しながら言ったその女子生徒は、黒い髪を腰の辺りまでいてキリッとした目つきは何事もそつなくこなすタイプであろうことを直感させる。
しかしどことなくかもしだすオーラが近寄り難い印象を与えている。しかし顔立ちはしっかりしていて、望月たちとはまた違ったタイプの美少女だ。
「あ、あの……えーっと……その……彼にも事情を話してあげたほうがいいんじゃないでしょうか……」
ビクビクしながらそう言ってくれたのはもう一人の女子生徒だ。栗色のキレイな短い髪は少し無理があるもののポニーテールになっており、赤いぶっとい糸みたいなリボンでとめられている。クリっとした瞳は誰もが1度はうっとりとしてしまうような愛らしいものだ。こちらも望月たちやさっきの黒髪の女子生徒とは違ったタイプの美少女だ。
「そう? まぁあなたが言うならそうしても構わないけど」
そう言うと俺の方にキリッとした鋭い目をこっちに向けてきた。
「自己紹介から始めましょう。私は工藤結。この学校で生徒会長を努めさせてもらっているわ」
「え、えと……わわっ! わたしの名前は……白鳥弥生ですッ! ええと……生徒会で副会長をしてさせたそのえとえと……ふっ副会長ですーっ! 」
ああ~。
どおりで見たことある人たちだと思ったら生徒会長と副会長だったのか。
それにしても副会長の弥生さんは人前で話すことが極端に苦手なのか?自己紹介もかなり要点をまとめたつもりなので、実際はこれよりずっと長い。
「それで? その生徒会長さんたちは俺たちに何の用です? 」
やや雑に質問したのも無理はない。もうすぐ昼休みも終わろうとしているのにこんな所でぐずぐずしている場合ではない。
「残念ながらその肩書きは今の場には必要ありません。この肩書きなら分かってくれます? 私たちは天界からきた天界人です」
さすがにそれには驚きだ。最近魔人もろくに出てきていないのだから幸せの黄色い新幹線を1日で5回見つけたくらい俺は驚いた。
「なに? 天界人だって? 魔法少女なら間に合ってますよ」
「それが間に合ってないから私たちがここにいるの」
「どういうことです? 魔人なんて最近全く見たことはないですし、1人でも充分間に合っているはずだと思っているのですが」
「それはあなたの目の前では魔人が現れていないからよ。聞いているはずよね? 魔人はこの世界の人間のネガティブな心から生み出されるって。だから世界中にひっきりなしに現れてくるの。あなたの護衛任務についてくれている3人はその駆除も任務の範囲に入っているはず。なのにこの3人は彼女らの目の前に現れてくる魔人たちを倒しているだけでほとんど駆除出来ていない。全然間に合ってないでしょ? 」
結さんは冷淡な感じでずっと睨むような目線を俺たちに向けながら今言ったことを述べていた。
相変わらずこの話には頭がついてくるのが精一杯だ。
だが俺の頭は次に結さんが放った一言で隅々まで怒りの感情に支配されることとなった。
「よって任務遂行を果たせなかったため3人に帰還命令を下します」
全身に悪寒が30周くらい走った気がした。
夏休みの話なんて立花が作ったRPGや西田の壮大なくだらんドッキリ以来とくに面白いことが起こったというわけでもないしもういっそのこと紹介しなくてもいいんじゃないかと思ったりする。俺にとって夏休みの日常で特筆することはそのヘンの高校生の夏休みとそこまで変わりはないと思うし、つい先日起こった出来事の方が面白いかもしれん。
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それは、夏休みもさよならしてあっという間に来たモテ男の祭典&運動神経無し太郎(主に俺)の恥さらし大会という恐ろしい学校行事である体育祭をやっとこさ終えたある日のことだった。
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クラスの女子とクラスのモテ男どもに対してわら人形の用意を決意しかけながらせっせと雑用をこなしていたある日、西田と一緒にクラスの女子の愚痴を語りながら食べた昼食をすませて暇になってくると急に呼び出しをくらった。
「マスター、友達が呼んでる」
文章だけだと分かりにくいかもしれないが、この時もけっこう雑な言い方のように思える。あからさまではないにしろ扱いの悪さがわかりやすく露呈している。
ちなみに俺は友達なる人物に呼び出しをくらうようなことをした覚えはない。一体友達なる人物は誰なのだろうか。
俺は雑な扱いをする女子のいる近くのドアまで目指して歩いていった。なんと友達なる人物は立花だった。さすがに不意をつかれたのは言うまでもない。
俺だって少しは他のクラスにも友達の1人や2人は魔法少女以外でいるのでそいつらの誰かと思っていたが、まさか立花に呼び出されるとは思ってなかった。
「どうした? 立花。なんか俺に用か? 」
「招集命令を受領した」
「招集命令? 」
「そう」
説明が短すぎる。立花よ。お前はそれで伝えきれたつもりかもしれんが、俺には何が言いたいのかさっぱり分からんぞ。もっと簡潔に略さずに詳しく説明してくれ。
「えっと……もう少し詳しく言ってくれないか? 」
俺の心の声より温和な感じで言ってみた。
俺の心の声をいちいち全部言葉に出したらただのめんどうな人間になってしまうからな。
「午後12時35分に私は招集命令を受けた。だから来て」
やはり説明不足だ。とりあえず立花について行けばいいのか?
立花は俺の表情を察してくれたのか、もうちょっと詳しい説明を付け加えた。
「詳しい事は分からない。でもあなたに来てくれと命令している人物がいる。だから来てくれ」
少しはわかりやすくなったのでようやく立花ので言いたいことが俺にも理解できた。
「俺と立花だけか? 」
「望月さんと早瀬さんも同じように招集命令を受けている」
なるほどな。どおりでさっきから望月が姿が見えなかったわけだ。
昼休みのチャイムがなった瞬間西田が騒ぎ出すのはいつものこととして、望月も急になにも言わずに飛び出して行ったのでたまげたと思っていたらそういうことだったのか。
「急いで。本来この命令は1時には招集完了しなければならない」
「1時だって? 今はもう1時10分じゃないか」
「そう。だから急いで」
言うが早く、立花は俺の腕をつかんでグイッと引っ張って走り出した。
体育祭の時も見せていたが立花の脚力は驚異的なものを感じる。200メートル競争では2位と50メートルくらい差を開けてゴールしたし、騎馬戦女子の部では圧倒的なスピードで瞬く間に相手の帽子をかっさらっていたくらいなのだ。
そんな立花に引っ張られて走った俺のスピードは人生で一番と言えるだろう。目に映る景色は新幹線の窓から見える景色のように現れては消え去り現れては消え去りの繰り返しだ。
空前絶後の俺の走りは教室のある1号館から職員室や講堂がある本館を経由して生徒会室までお披露目していた。階段を降りたり上がったりしていたし俺史上最大の走りをお披露目したせいですっかり息があがっていたが、立花は息一つ切らしていない。
一体どんな体の持ち主なのだろうか。体力だけでも交換してほしいくらいだ。
立花は疲れきってゼーゼー息を切らしまくってる俺の腕をまた引っ張って生徒会室の扉をノックも開け放った。中には望月と早瀬が俺に背を向けて立っており、俺の方に顔を向けて立っている2人の女子生徒と話していたような様子がうかがえる。
「やっと来ましたか……」
女子生徒の1人がため息混じりに俺に向けて言葉を放ったようだ。失礼なやつだ。
歓迎の言葉はもっとマシなヤツがあるだろう。ウエルカムと一言いってくれれば俺の気持ちも穏やかになれただろうに、やれやれといった感じで歓迎したか分からないような歓迎の言葉を述べたのでちょっとムッときた。
それでもけんか腰にならずに相手の言葉を待つことが大切なのだ。
「まぁこれでメンバーも揃ったことですし、本題へと話を進めましょうか」
俺のことなどどうでもいいといった感じで3人の魔法少女を見回しながら言ったその女子生徒は、黒い髪を腰の辺りまでいてキリッとした目つきは何事もそつなくこなすタイプであろうことを直感させる。
しかしどことなくかもしだすオーラが近寄り難い印象を与えている。しかし顔立ちはしっかりしていて、望月たちとはまた違ったタイプの美少女だ。
「あ、あの……えーっと……その……彼にも事情を話してあげたほうがいいんじゃないでしょうか……」
ビクビクしながらそう言ってくれたのはもう一人の女子生徒だ。栗色のキレイな短い髪は少し無理があるもののポニーテールになっており、赤いぶっとい糸みたいなリボンでとめられている。クリっとした瞳は誰もが1度はうっとりとしてしまうような愛らしいものだ。こちらも望月たちやさっきの黒髪の女子生徒とは違ったタイプの美少女だ。
「そう? まぁあなたが言うならそうしても構わないけど」
そう言うと俺の方にキリッとした鋭い目をこっちに向けてきた。
「自己紹介から始めましょう。私は工藤結。この学校で生徒会長を努めさせてもらっているわ」
「え、えと……わわっ! わたしの名前は……白鳥弥生ですッ! ええと……生徒会で副会長をしてさせたそのえとえと……ふっ副会長ですーっ! 」
ああ~。
どおりで見たことある人たちだと思ったら生徒会長と副会長だったのか。
それにしても副会長の弥生さんは人前で話すことが極端に苦手なのか?自己紹介もかなり要点をまとめたつもりなので、実際はこれよりずっと長い。
「それで? その生徒会長さんたちは俺たちに何の用です? 」
やや雑に質問したのも無理はない。もうすぐ昼休みも終わろうとしているのにこんな所でぐずぐずしている場合ではない。
「残念ながらその肩書きは今の場には必要ありません。この肩書きなら分かってくれます? 私たちは天界からきた天界人です」
さすがにそれには驚きだ。最近魔人もろくに出てきていないのだから幸せの黄色い新幹線を1日で5回見つけたくらい俺は驚いた。
「なに? 天界人だって? 魔法少女なら間に合ってますよ」
「それが間に合ってないから私たちがここにいるの」
「どういうことです? 魔人なんて最近全く見たことはないですし、1人でも充分間に合っているはずだと思っているのですが」
「それはあなたの目の前では魔人が現れていないからよ。聞いているはずよね? 魔人はこの世界の人間のネガティブな心から生み出されるって。だから世界中にひっきりなしに現れてくるの。あなたの護衛任務についてくれている3人はその駆除も任務の範囲に入っているはず。なのにこの3人は彼女らの目の前に現れてくる魔人たちを倒しているだけでほとんど駆除出来ていない。全然間に合ってないでしょ? 」
結さんは冷淡な感じでずっと睨むような目線を俺たちに向けながら今言ったことを述べていた。
相変わらずこの話には頭がついてくるのが精一杯だ。
だが俺の頭は次に結さんが放った一言で隅々まで怒りの感情に支配されることとなった。
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