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プロローグ

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 突然だが皆さんは、平凡な日常についてどうお考えだろうか。「くだらねーそんなこと」と思う人もいるだろうし、「それが人生だ」って悟りを開いた人もいるだろうし、「平凡が一番だよ」と妥協する人もいるだろう。だがそれは「平凡が当たり前である」ということが前提になる。
 つまり、平凡についてどう考えようが結局はそれが「常識」であり「当然」ということが前提なのだ。
「そんな事言われても知らん」って言う人たちもいるだろうが、俺の身の丈の話をするためには必要な話なのだ。まあぶっちゃけるとそこまで必要でも無かったのだが。哲学的な話をする気もなかったしな。
 ものすごく要約するとこうだ。俺はそんな「平凡な日常」が皆さんにとっての「異常な日常」になってしまい皆さんの言う「異常な日常」は俺にとっての「平凡な日常」になってしまったのだ。
 実に悲しいね。
 つい最近までそのヘンの一中学生に過ぎなかったのに高校生になった瞬間これだ。
 俺は一体何をしたんだ?
 そんなに悪い事をした覚えはないのだが、降りかかった不幸は振り払うことすらできなかった。群がるハエみたいなしつこさだったね。
 さてそろそろ本編に入りたいところだが、この物語は俺が高校の入学式から始まる。

  桜吹雪が舞うこの日はまるで俺の新たなる人生の1歩を祝ってくれているようだ。
 なんて少しオシャンティなポエムを思い浮かべながら高校に向かう俺だが、実はそこまでテンションが上がっていたわけでもなかった。そりゃいい感じの友達をつくって出来れば彼女をつくって休日は映画館か遊園地でデートなんてことを望んでたさ。
 そんな俺のどーでもいいようなくだらん望みは一瞬で打ち砕かれたんだが、そんなことを知る由もない俺は呑気にブラブラと高校への道を楽しんでた。オッサン共の汗が充満した満員電車に揺られながら「これが毎日続くのか」なんて思ってタメ息をついて。
 無駄にやたら広い体育館で行われた入学式は、ハゲ頭の校長が繰り出した睡魔にほとんどの生徒がやられていた。
 実は催眠術師だと言っても俺は信じるかもしれんぜ。あの強烈な催眠を回避できるやつがいるとは思えん。
 こうしてほとんど記憶が無い入学式を終えて、今度はクラス発表と新しいクラスメイトとの顔合わせが待ち受けていた。
 そんな時だった。俺があいつらと出会ったのは。なーんて思ったやつがいるだろ? 残念ながらそこじゃ出会ってない。
 俺に異常を持ち運んできたヤローは少なくとも同じクラスにはいなかった。
 自己紹介もそこそこに、クラスメイトとの顔合わせを済ませて俺は予想通りしょうもないとかなんとか思いながら帰路に着いた。
 今日は入学式がメインイベントなので午前で学校はおしまいなのだ。今日嬉しかったことはこのことくらいだな。
「全国のサラリーマンのみなさーんっ、お疲れ様でーすっ」
背後から大声で叫んできたのは中学からの友達の西田だ。
 そうだな。神性のアホって感じの奴だな。
 
 さて、唐突だが皆さんは猫はお好きだろうか。
 あの可愛らしい姿は見るもの全てを癒してくれる。
 ちなみに俺は無類の猫好きだ。中学の時、休み時間に何を思ったのか俺は話の流れで大声で「女の子よりも猫の方が可愛いに決まってるだろーっ」なんて叫んでしまった。こうしてクラスどころか学年全員の女子から無事怒りをお買い上げになったくらいなのだ。
 そんな俺が神性のアホと歩いている途中に可愛らしい捨て猫ちゃんを見つけて拾わないはずがない。
 だがこれが全ての始まりだとは、この時の俺には知る由もない。
 つくづく思う。
 俺が猫好きなだけで損ばっかしてる気がする。
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