5 / 39
5 勇気を出した所で日常は変わらない
しおりを挟む
ゲイっていったいどれくらいいるのか知ろうと思っても分かるわけがない。
大学内で今まで気にもしていなかった他人の性的趣向に目を向けてみたが、いつも一緒にいる男×男がいるなと思った所で友人と恋人の差なんてわかる訳もなく、言うならば男女の関係ですら謎なのだ。
「え? マジで? 付き合ったの?」
空き時間に行く構内カフェのテラス席で、一緒になった夕凪とお茶していたら、不意にブッ込んで来た、前回の飲みの席で一緒した知的女子が相手だと言う。
「おまえ消えるから」
あーそれね。あんまり記憶に無いけど、ひとりがつまんなかったのは覚えている。
「っていうか最初に消えたの蓮池だろ?」
「蓮池もあの時の子と付き合ってるって」
は? そんな簡単なもの? たまたま隣の席になって、誘って、飲んで、話して、それで数日後に付き合う話になるもの? 簡単すぎて俺には考えられない。
「といっても蓮池の場合は、何人目かの彼女だけどね」
「複数?」
そう言うと夕凪が頷いた。
「蓮池は病気。でも男としての春を満喫中っていうか、一回はやってみたいと思うヤツが多いと思うけど、樋口は潔癖っぽもんな?」
「ううう、まぁ、複数っていう選択肢は俺にはないけど。夕凪のはお祝いするよ? すごく話、合ってたっぽいし」
何の話だか真剣な表情で討論してたの覚えている。
「あーあれ? 残念ながら枝豆の茹で方についてだけど?」
は? そんな話? ああ、でも、そんな話でも打ち解けられるかどうかは相性だとも思うし。他人には分からない良さがあるから違いがあるのだし。
「あーそう、何でも良いけど良かったね。っていうか、その彼女と蓮池の彼女と友人だろ? やりにくくないの?」
「別に。蓮池の彼女になるような女は、女の方もある程度分かってるんだよ。俺にはわからないけどね」
なるほど。お互いが割り切っているのなら問題はない。
「五條は?」
あの日の五條の行方は知らない。というか知りたくなくて早く帰ったんだと思う。
「五條? 酒強いからな、先に女酔わせてタクシーに突っ込んでたけど?」
「ぶれないね」
と言っておく。内心は安堵のため息を吐いたけど、それは秘密。
「おまえが置いて行ったと愚痴ってたけど?」
「あーね、でもさ、俺、人気ないし。話し相手いなくて飲みすぎて気分悪かったし」
言い訳はいくらでも出来る。
「五條の隣にいた子、どう? 樋口のこと気になるらしいけど?」
「え? 俺? っていうか顔も覚えてないけど」
「は? マジで? 樋口ってそういう所あるよな」
え? そういう所ってどんな所?
「そういう、俺は関係ないですって線引く所? 自分とは合わないって判断すると、存在ごと切るだろ?」
「えーそうかな? 自覚ないけど」
うわーバレてる。夕凪はよく見ている。存在切ると言うか、必要ないでしょって割り切っているというか。特に女との距離は遠いと思う。たとえば課題とか一緒になったりしたら受け入れるけど、終われば距離を取る。誰かの友人だったら、その場では仲良くするけど、個別に合ったら挨拶程度で終わらせる。
だけど夕凪の急なこの話はどうなの? 彼女できたから、男友達とは距離を取りたいっていうフラグ? それとも今まで我慢してましたっていうアピール? 怖いんですけど。
大学内で今まで気にもしていなかった他人の性的趣向に目を向けてみたが、いつも一緒にいる男×男がいるなと思った所で友人と恋人の差なんてわかる訳もなく、言うならば男女の関係ですら謎なのだ。
「え? マジで? 付き合ったの?」
空き時間に行く構内カフェのテラス席で、一緒になった夕凪とお茶していたら、不意にブッ込んで来た、前回の飲みの席で一緒した知的女子が相手だと言う。
「おまえ消えるから」
あーそれね。あんまり記憶に無いけど、ひとりがつまんなかったのは覚えている。
「っていうか最初に消えたの蓮池だろ?」
「蓮池もあの時の子と付き合ってるって」
は? そんな簡単なもの? たまたま隣の席になって、誘って、飲んで、話して、それで数日後に付き合う話になるもの? 簡単すぎて俺には考えられない。
「といっても蓮池の場合は、何人目かの彼女だけどね」
「複数?」
そう言うと夕凪が頷いた。
「蓮池は病気。でも男としての春を満喫中っていうか、一回はやってみたいと思うヤツが多いと思うけど、樋口は潔癖っぽもんな?」
「ううう、まぁ、複数っていう選択肢は俺にはないけど。夕凪のはお祝いするよ? すごく話、合ってたっぽいし」
何の話だか真剣な表情で討論してたの覚えている。
「あーあれ? 残念ながら枝豆の茹で方についてだけど?」
は? そんな話? ああ、でも、そんな話でも打ち解けられるかどうかは相性だとも思うし。他人には分からない良さがあるから違いがあるのだし。
「あーそう、何でも良いけど良かったね。っていうか、その彼女と蓮池の彼女と友人だろ? やりにくくないの?」
「別に。蓮池の彼女になるような女は、女の方もある程度分かってるんだよ。俺にはわからないけどね」
なるほど。お互いが割り切っているのなら問題はない。
「五條は?」
あの日の五條の行方は知らない。というか知りたくなくて早く帰ったんだと思う。
「五條? 酒強いからな、先に女酔わせてタクシーに突っ込んでたけど?」
「ぶれないね」
と言っておく。内心は安堵のため息を吐いたけど、それは秘密。
「おまえが置いて行ったと愚痴ってたけど?」
「あーね、でもさ、俺、人気ないし。話し相手いなくて飲みすぎて気分悪かったし」
言い訳はいくらでも出来る。
「五條の隣にいた子、どう? 樋口のこと気になるらしいけど?」
「え? 俺? っていうか顔も覚えてないけど」
「は? マジで? 樋口ってそういう所あるよな」
え? そういう所ってどんな所?
「そういう、俺は関係ないですって線引く所? 自分とは合わないって判断すると、存在ごと切るだろ?」
「えーそうかな? 自覚ないけど」
うわーバレてる。夕凪はよく見ている。存在切ると言うか、必要ないでしょって割り切っているというか。特に女との距離は遠いと思う。たとえば課題とか一緒になったりしたら受け入れるけど、終われば距離を取る。誰かの友人だったら、その場では仲良くするけど、個別に合ったら挨拶程度で終わらせる。
だけど夕凪の急なこの話はどうなの? 彼女できたから、男友達とは距離を取りたいっていうフラグ? それとも今まで我慢してましたっていうアピール? 怖いんですけど。
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる