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同窓会は行かない。
佐竹、3年間、ずっと好きだった。
好きだったけど、先輩と付き合った。
数ヶ月しか続かなかったし、苦い思い出。
佐竹、好きだな、今も思う。
一途に彼女一筋なところとか、ぶれないところとか。
誰にでも優しいけど、曲がったことが嫌いで。弓道部で、弓引く姿、ストイックで良かった。腕の腱とか、見惚れる。
懐かしい、けど苦い思い出。
バイトの時間近くなって、カフェを出る。
最寄駅を出ると、スマホが鳴った。
「佐竹? なに?」
さっき会ったばかりなのに。
「藤城さ、彼女いる?」
「彼女? ……いないけど、今は必要ないかな。どうして?」
「彼女の友達が藤城好きって言ってるらしくて、こういうの、おまえ嫌いだって知ってるけど、聞けってうるさいから」
「ごめんね。これからバイトだから。また今度、同窓会楽しみにしてる」
心にもないことを言う。
好きだった相手に彼女勧められるとか、拷問でしかない。
「彼氏いるって、言えよ」
マジストーカー。
「言える訳ないだろ」
バイト時間知ってるから、待ってる。
少しホッとしてる。
「髪、すげえ似合う。メガネも、別人」
髪に触れられる。
「美容院行ってたんだ。秘密って、なにかと思うだろ?」
「バイトだから、今日は待ってなくて良いよ。弟に怒られない?」
「別に、ちゃんと帰って、やることはやってるよ」
「ずっとウチにいたのに?」
「会いたくねえの?」
会いたいけど、会いたくない。
「秘密」
そう言うと、キレた態度で腕掴まれて、顎持たれて、強引にキスされた。
暴れて、腕離して、体押した。
「すげえ嫌、なに? ここバイト先だし、大学のヤツ通るし、考えられねえ、ホント、来んなよ」
背を向けて、コンビニに入る。
七海が見てた。
唖然としてる。
「嫌がらせされた」
「……ああ、そういう」
歯切れの悪い返事を聞いて、バックヤードへ行く。
ありえない。
ホントに。
自己中すぎる。
イライラする。
着替えて、レジに出る。
七海は腫れ物を扱うように、遠巻きだ。別に七海にバレたって良いけど、大学で噂になるのは嫌だ。
「ねえ、藤城さん、さっきの人、外にいるよ?」
七海が外の掃除に行って、戻って来た。
「好きにさせといて」
七海は悪くない。
高校生には刺激が強すぎるかな。
男同士の喧嘩がキスとか、信じられないか。どっちかといえば痴話喧嘩って思っているんだろうな、って、チラチラ見て来る七海の視線で思う。
なんで待つんだろう。
そんな、ずっと一緒にいないとダメなもの?
「七海は彼氏と毎日会う?」
「うん、学校同じだし、お昼一緒に食べたりするよ」
ちょっとテレてる。
「七海、可愛いね」
「やだ、藤城さん、おじさんっぽい」
すごい嫌な顔された。
思わず苦笑い。
なんか、セックス挟むと、関係がドロドロする。
高校生みたいに爽やかな恋愛、良いね。そう思って、自分には縁がないことに気づく。
高校の時、先輩と学校でセックスしてた。校舎裏の倉庫の中とか、使ってない体育館の裏のトイレとか。
思い出すと荒んだイメージ。
ホント、ダメだ。
好きな人に想い伝えられなくて、悲しくて、言い寄られるまま、先輩と、した。すげえ即物的なセックス。
入れて、擦って、吐き出して、終わり。でも数回だけ。怖くなって、逃げた。
……いつも、逃げてる。
佐竹、3年間、ずっと好きだった。
好きだったけど、先輩と付き合った。
数ヶ月しか続かなかったし、苦い思い出。
佐竹、好きだな、今も思う。
一途に彼女一筋なところとか、ぶれないところとか。
誰にでも優しいけど、曲がったことが嫌いで。弓道部で、弓引く姿、ストイックで良かった。腕の腱とか、見惚れる。
懐かしい、けど苦い思い出。
バイトの時間近くなって、カフェを出る。
最寄駅を出ると、スマホが鳴った。
「佐竹? なに?」
さっき会ったばかりなのに。
「藤城さ、彼女いる?」
「彼女? ……いないけど、今は必要ないかな。どうして?」
「彼女の友達が藤城好きって言ってるらしくて、こういうの、おまえ嫌いだって知ってるけど、聞けってうるさいから」
「ごめんね。これからバイトだから。また今度、同窓会楽しみにしてる」
心にもないことを言う。
好きだった相手に彼女勧められるとか、拷問でしかない。
「彼氏いるって、言えよ」
マジストーカー。
「言える訳ないだろ」
バイト時間知ってるから、待ってる。
少しホッとしてる。
「髪、すげえ似合う。メガネも、別人」
髪に触れられる。
「美容院行ってたんだ。秘密って、なにかと思うだろ?」
「バイトだから、今日は待ってなくて良いよ。弟に怒られない?」
「別に、ちゃんと帰って、やることはやってるよ」
「ずっとウチにいたのに?」
「会いたくねえの?」
会いたいけど、会いたくない。
「秘密」
そう言うと、キレた態度で腕掴まれて、顎持たれて、強引にキスされた。
暴れて、腕離して、体押した。
「すげえ嫌、なに? ここバイト先だし、大学のヤツ通るし、考えられねえ、ホント、来んなよ」
背を向けて、コンビニに入る。
七海が見てた。
唖然としてる。
「嫌がらせされた」
「……ああ、そういう」
歯切れの悪い返事を聞いて、バックヤードへ行く。
ありえない。
ホントに。
自己中すぎる。
イライラする。
着替えて、レジに出る。
七海は腫れ物を扱うように、遠巻きだ。別に七海にバレたって良いけど、大学で噂になるのは嫌だ。
「ねえ、藤城さん、さっきの人、外にいるよ?」
七海が外の掃除に行って、戻って来た。
「好きにさせといて」
七海は悪くない。
高校生には刺激が強すぎるかな。
男同士の喧嘩がキスとか、信じられないか。どっちかといえば痴話喧嘩って思っているんだろうな、って、チラチラ見て来る七海の視線で思う。
なんで待つんだろう。
そんな、ずっと一緒にいないとダメなもの?
「七海は彼氏と毎日会う?」
「うん、学校同じだし、お昼一緒に食べたりするよ」
ちょっとテレてる。
「七海、可愛いね」
「やだ、藤城さん、おじさんっぽい」
すごい嫌な顔された。
思わず苦笑い。
なんか、セックス挟むと、関係がドロドロする。
高校生みたいに爽やかな恋愛、良いね。そう思って、自分には縁がないことに気づく。
高校の時、先輩と学校でセックスしてた。校舎裏の倉庫の中とか、使ってない体育館の裏のトイレとか。
思い出すと荒んだイメージ。
ホント、ダメだ。
好きな人に想い伝えられなくて、悲しくて、言い寄られるまま、先輩と、した。すげえ即物的なセックス。
入れて、擦って、吐き出して、終わり。でも数回だけ。怖くなって、逃げた。
……いつも、逃げてる。
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