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1章
9 就寝
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髪を乾かして寝支度を済ませ、リビングに戻ると、ニアが立っている。時間は22時。志津木にとっては早い時間だが、ニアは疲れているだろうし、早くひとりになりたいのかもしれない。
「ニア、寝なさい。明日は7時起きだ。枕元に時計がある。起きる時間にセットして、着替えて身支度を済ませてからリビングへ来るんだ。明日は生活のルールを決めよう」
「はい」
寝方も教えるべきかとニアの部屋に入る。ニアのベッドの上布団を剥いで、ベッドの縁に座らせた。じっと見上げられ、困る。
「電気のスイッチも枕元にあるよ。この部屋からテラスへ出られるけど、夜間は禁止だ。守れるね?」
「はい」
時計とスイッチを教え、部屋を後にする。
「悪いけど、部屋は鍵を掛けさせて貰うよ。そういうルールらしいから、ごめんね、おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
パタンとドアを閉め、外から鍵を掛けた。逃げ出さないようにする措置だ。仮に禁じたテラスへ出たとしても、表は網で囲われている。地上から25階、飛び降り、不運な事故を阻止する為だ。
リビングに戻り、夕食の片付けをしながらため息を吐く。我ながら緊張していたと笑みが漏れる。ある程度の片付けをして、ビールを手に自室へこもる。自室は防音完備だ。良い点もあれば悪い点もある。防音はニアの部屋の物音が聞こえない。仕方がない。一人暮らしを基本に内装に手を加えている。ニアの部屋は客間で、別に獣人を養う為の部屋ではなかったのだが。しまったと思う。これは小型タブレットを用意すべきだったのでは? それか各部屋を繋ぐ内線とか。ニアに何かあってもわからないという不安を覚えた。
小型タブレットが振動する。見ればゴードンからだ。
「よう、どうだ? 獣人の具合は?」
第一声からふざけている。
「別に普通さ、まだ初対面だし、お互いに素は出さないよ」
「あーそうか、なるほどな、とりあえず無難に接したって事か。嘘臭え作り笑いでもしたか?」
通話越しに氷の音がする。ゴードンは自宅で酒に氷を入れない。これは飲みに出ているなと当たりを付ける。
「夜遊びか?」
「まーな、良い女に囲まれて飲む酒ほど美味いもんはねえよ」
「だな」
通話を続けながら着替え始める。酒の旨い味が喉に蘇り、夜の営みの善さが身を震えさせた。
「1月ほど経って良い関係が築けたら、おまえにも紹介する。留守番をさせるか連れ歩くか決めないとな」
「連れ歩くのか?」
ゴードンが喉で笑っている。
「そんなに美形なのか? 権力者に自慢げに見せると横槍入れられるかもな」
「そんなのに負けると思うか?」
コートを着てドアを出る。ニアに一言告げようと思い、その手段がない事を思い出し、良いかと玄関へ向かった。
「負けねえかもしれねえが、面倒には変わりねえだろ?」
「外遊は退屈なんだ」
ドアを開け、背中で自動ロックが作動するのを聞く。すでにエレベーターが待機している。乗り込んで下降して行く。
「外任務を外遊って、戦地だろうに」
「ここ以外はどうでも良いからな。友人もいないし。仕事相手は正しく獣だしな」
地下でドアが開き、待機している車に乗り込んだ。
「ニア、寝なさい。明日は7時起きだ。枕元に時計がある。起きる時間にセットして、着替えて身支度を済ませてからリビングへ来るんだ。明日は生活のルールを決めよう」
「はい」
寝方も教えるべきかとニアの部屋に入る。ニアのベッドの上布団を剥いで、ベッドの縁に座らせた。じっと見上げられ、困る。
「電気のスイッチも枕元にあるよ。この部屋からテラスへ出られるけど、夜間は禁止だ。守れるね?」
「はい」
時計とスイッチを教え、部屋を後にする。
「悪いけど、部屋は鍵を掛けさせて貰うよ。そういうルールらしいから、ごめんね、おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
パタンとドアを閉め、外から鍵を掛けた。逃げ出さないようにする措置だ。仮に禁じたテラスへ出たとしても、表は網で囲われている。地上から25階、飛び降り、不運な事故を阻止する為だ。
リビングに戻り、夕食の片付けをしながらため息を吐く。我ながら緊張していたと笑みが漏れる。ある程度の片付けをして、ビールを手に自室へこもる。自室は防音完備だ。良い点もあれば悪い点もある。防音はニアの部屋の物音が聞こえない。仕方がない。一人暮らしを基本に内装に手を加えている。ニアの部屋は客間で、別に獣人を養う為の部屋ではなかったのだが。しまったと思う。これは小型タブレットを用意すべきだったのでは? それか各部屋を繋ぐ内線とか。ニアに何かあってもわからないという不安を覚えた。
小型タブレットが振動する。見ればゴードンからだ。
「よう、どうだ? 獣人の具合は?」
第一声からふざけている。
「別に普通さ、まだ初対面だし、お互いに素は出さないよ」
「あーそうか、なるほどな、とりあえず無難に接したって事か。嘘臭え作り笑いでもしたか?」
通話越しに氷の音がする。ゴードンは自宅で酒に氷を入れない。これは飲みに出ているなと当たりを付ける。
「夜遊びか?」
「まーな、良い女に囲まれて飲む酒ほど美味いもんはねえよ」
「だな」
通話を続けながら着替え始める。酒の旨い味が喉に蘇り、夜の営みの善さが身を震えさせた。
「1月ほど経って良い関係が築けたら、おまえにも紹介する。留守番をさせるか連れ歩くか決めないとな」
「連れ歩くのか?」
ゴードンが喉で笑っている。
「そんなに美形なのか? 権力者に自慢げに見せると横槍入れられるかもな」
「そんなのに負けると思うか?」
コートを着てドアを出る。ニアに一言告げようと思い、その手段がない事を思い出し、良いかと玄関へ向かった。
「負けねえかもしれねえが、面倒には変わりねえだろ?」
「外遊は退屈なんだ」
ドアを開け、背中で自動ロックが作動するのを聞く。すでにエレベーターが待機している。乗り込んで下降して行く。
「外任務を外遊って、戦地だろうに」
「ここ以外はどうでも良いからな。友人もいないし。仕事相手は正しく獣だしな」
地下でドアが開き、待機している車に乗り込んだ。
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