45 / 62
45 せっかく会えたのに
しおりを挟む
アレスさんが帰って来てから、10日後、ウォルさんが戻って来た。
すごく久しぶりな気がして、会って抱きしめられたんだけど、気持ちの整理がつかない。
戻ってきてすぐにルフさんと話し合いをして、またどこかへ行ってしまった。
「夕方までには戻るよ」
って、軽いキスだけして行っちゃった。すごく面倒くさそうに見えたのは気のせい? オレがそばにいて欲しいって思ってるの、わかったと思うんだけど。
お仕事優先?
仕方ないよね。
「機嫌が悪いな」
ルフさんに言われて、ムッとする。
そりゃそうでしょう。
ずっと待ってたのに。
「もう少し待ってたら、良いことあるんじゃねえ?」
ルフさんはお仕事の話だと思うけど、いっぱいウォルさんと話してた。羨ましい。そういうの、態度に出てたみたい。
「俺に嫉妬すんなよ? ありえねえから」
「わかってるよ!」
あれから宿は閉めてる。
エルゼさんは、朝に来て、朝食を作って、いろいろ作業をして、お昼前に戻って行く。久しぶりに冬眠中のマスターとゆっくりしているみたい。
オレはやることがないから、よけいに寂しく感じてる。
ミルルのところも、アレスさんがいるから、頻繁には行けないし。
ルフさんと話してると揶揄われて腹が立つし、髪をぐちゃぐちゃにされるから嫌だ。
エルゼさんが作ってくれた蜂蜜クッキーを食べながら、ぼーっとしてる。
そうしたら部屋をノックされて、ルフさんが声を掛けて来た。
「旦那が湯を使えってさ。持って来てやったよ」
ドアを開けると、ルフさんがお湯を持って入って来た。
「なんで?」
「やるんだろ?」
って言われて、恥ずかしくて赤くなった。
「だろ? おまえ、これに似た発言、恥ずかしげもなく言ってんだぜ? 少しは自覚しろよ」
「言ってない」
「言ってるって。旦那に触りたいとか、言ってたじゃねえか」
「それは……」
確かに、聞いている方は、やりたいって言ってるみたいに聞こえる。
「ほらみろ、気をつけろよ? 迂闊な一言で煽ってたら、その場でやり殺されるよ、おまえ」
落ち込む。
ウォルさんが煽ってるっていうの、こういうこと?
思ったこと、ぜんぶ口に出すの、ダメなんだ。
「落ち込まなくて良いし、旦那にだったら良いさ。逆に喜ぶんだろうし? 他人に気をつけろって言ってんの! わかった?」
うんって頷く。
「旦那と外出だ。服は旦那が持って来るらしいぜ?」
そう言いながら、ドアを閉めて、下の階へ降りて行った。
言われた通り、湯を使う。
ウォルさんの獣化を洗っていた頃が懐かしい。
未成年って良かったよなって思う。
いっぱい甘やかしてもらったからだ。
あの時は早く成人を迎えたいって思ってたのに。
石鹸で体を洗う。
お湯で流して、あーあって思う。
今日はもう触ってもらえないみたい。
すごく久しぶりな気がして、会って抱きしめられたんだけど、気持ちの整理がつかない。
戻ってきてすぐにルフさんと話し合いをして、またどこかへ行ってしまった。
「夕方までには戻るよ」
って、軽いキスだけして行っちゃった。すごく面倒くさそうに見えたのは気のせい? オレがそばにいて欲しいって思ってるの、わかったと思うんだけど。
お仕事優先?
仕方ないよね。
「機嫌が悪いな」
ルフさんに言われて、ムッとする。
そりゃそうでしょう。
ずっと待ってたのに。
「もう少し待ってたら、良いことあるんじゃねえ?」
ルフさんはお仕事の話だと思うけど、いっぱいウォルさんと話してた。羨ましい。そういうの、態度に出てたみたい。
「俺に嫉妬すんなよ? ありえねえから」
「わかってるよ!」
あれから宿は閉めてる。
エルゼさんは、朝に来て、朝食を作って、いろいろ作業をして、お昼前に戻って行く。久しぶりに冬眠中のマスターとゆっくりしているみたい。
オレはやることがないから、よけいに寂しく感じてる。
ミルルのところも、アレスさんがいるから、頻繁には行けないし。
ルフさんと話してると揶揄われて腹が立つし、髪をぐちゃぐちゃにされるから嫌だ。
エルゼさんが作ってくれた蜂蜜クッキーを食べながら、ぼーっとしてる。
そうしたら部屋をノックされて、ルフさんが声を掛けて来た。
「旦那が湯を使えってさ。持って来てやったよ」
ドアを開けると、ルフさんがお湯を持って入って来た。
「なんで?」
「やるんだろ?」
って言われて、恥ずかしくて赤くなった。
「だろ? おまえ、これに似た発言、恥ずかしげもなく言ってんだぜ? 少しは自覚しろよ」
「言ってない」
「言ってるって。旦那に触りたいとか、言ってたじゃねえか」
「それは……」
確かに、聞いている方は、やりたいって言ってるみたいに聞こえる。
「ほらみろ、気をつけろよ? 迂闊な一言で煽ってたら、その場でやり殺されるよ、おまえ」
落ち込む。
ウォルさんが煽ってるっていうの、こういうこと?
思ったこと、ぜんぶ口に出すの、ダメなんだ。
「落ち込まなくて良いし、旦那にだったら良いさ。逆に喜ぶんだろうし? 他人に気をつけろって言ってんの! わかった?」
うんって頷く。
「旦那と外出だ。服は旦那が持って来るらしいぜ?」
そう言いながら、ドアを閉めて、下の階へ降りて行った。
言われた通り、湯を使う。
ウォルさんの獣化を洗っていた頃が懐かしい。
未成年って良かったよなって思う。
いっぱい甘やかしてもらったからだ。
あの時は早く成人を迎えたいって思ってたのに。
石鹸で体を洗う。
お湯で流して、あーあって思う。
今日はもう触ってもらえないみたい。
11
お気に入りに追加
470
あなたにおすすめの小説
獣人の子供が現代社会人の俺の部屋に迷い込んできました。
えっしゃー(エミリオ猫)
BL
突然、ひとり暮らしの俺(会社員)の部屋に、獣人の子供が現れた!
どっから来た?!異世界転移?!仕方ないので面倒を見る、連休中の俺。
そしたら、なぜか俺の事をママだとっ?!
いやいや女じゃないから!え?女って何って、お前、男しか居ない世界の子供なの?!
会社員男性と、異世界獣人のお話。
※6話で完結します。さくっと読めます。
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
召喚されない神子と不機嫌な騎士
拓海のり
BL
気が付いたら異世界で、エルヴェという少年の身体に入っていたオレ。
神殿の神官見習いの身分はなかなかにハードだし、オレ付きの筈の護衛は素っ気ないけれど、チート能力で乗り切れるのか? ご都合主義、よくある話、軽めのゆるゆる設定です。なんちゃってファンタジー。他サイト様にも投稿しています。
男性だけの世界です。男性妊娠の表現があります。
煌めく氷のロマンシア
沖田弥子
BL
瑠璃国三十番目の王子である煌は、妹の身代わり花嫁になり、ロマンシア帝国皇帝の婚約者として宮殿に入る。女装して妹のふりをするが、偶然男の格好で参加した騎士団の式で、皇子ユーリイと剣の勝負をすることに。居合わせた皇帝アレクから腕を見込まれ、皇子の特別侍従に任命されてしまう。姫と特別侍従というふたつの顔を掛け持つ煌は、次第にアレクに惹かれていくが――◆BL合戦夏の陣・幻冬舎ルチル文庫賞最終候補作品。作品は投稿時のまま公開しています。
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。
みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。
男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。
メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。
奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。
pixivでは既に最終回まで投稿しています。
俺の可愛い皇帝陛下〜けしからんモフらせろ!〜
えの
BL
獣人そして男しか居ない世界。「人」に近いほど美しく、「獣」に近いほど恐れられる。そんな中、「ほぼ人」な俺はハーデ帝国の皇帝陛下に嫁ぐことに。二足歩行の獣が多く住むハーデ帝国。えっ、モフり放題なんでしょ?行くいく!全然嫁ぎに行くよ?えっ?怖くないよ?もふもふは正義でしょ!愛でるもんでしょ!待っててね!愛しのもふもふちゃん!※本編完結済。番外編完結済。番外編のタグ確認してください!
*この作品はムーンライトノベルズにも投稿しています。
【完結】ねこネコ狂想曲
エウラ
BL
マンホールに落ちかけた猫を抱えて自らも落ちた高校生の僕。
長い落下で気を失い、次に目を覚ましたら知らない森の中。
テンプレな異世界転移と思ったら、何故か猫耳、尻尾が・・・?
助けたねこちゃんが実は散歩に来ていた他所の世界の神様で、帰るところだったのを僕と一緒に転移してしまったそうで・・・。
地球に戻せないお詫びにとチートを貰ったが、元より俺TUEEをする気はない。
のんびりと過ごしたい。
猫好きによる猫好きの為の(主に自分が)猫まみれな話・・・になる予定。
猫吸いは好きですか?
不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる