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闇の報告(2)
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「お待たせしてしまって申し訳ありません」
珍しく、クリスがそう言葉を発した。
「いや。気にするな。それよりもフローラ嬢、身体の方は問題ないか?」
「あ、はい」
国王の言葉にフローラは頷く。そして促されたソファへと腰を下ろす。そこに顔を連ねているのは、やはり五日前と同じメンバー。
「ああ、団長。あなたがここにいるということは、闇魔法の使い手を捕まえたということですか?」
クリスがノルトに気付き、声をかけた。
「ああ。捕まえた。あいつらには感謝だな」
ノルトの言うあいつらとは、クリスに向かって二次元発言を連発していた光魔法を使うことができる魔導士たちのことだろう。
「それで、犯人はナッティ・イオールで間違いはないのですね?」
クリスが尋ねると、ノルトは苦しそうに笑った。
「なんだ、気付いていたのか」
「フローラとあの王女をあそこに閉じ込めたのはナッティという侍女であることを、フローラが証言しました。同じことを尋ねれば王女も同じように答えると思いますが」
その言葉に顔を歪めているのはもちろん国王。王女付きの侍女が犯人であるということが、この王城内の警備体制の緩さを露呈しているようなもの。
「ですが、ナッティは昔からジェシカ様付きの侍女だったはずですが」
少なくとも、フローラが彼女の護衛騎士として任命されたときには既にナッティはジェシカに付いていた。
「ああ、だから油断した」
とアダムが頷く。
「恐らく彼女は覚醒型の魔導士です。何代か遡ると、闇魔法の使い手がいました」
クリスのそれに、頷くのはノルト。
「あの、それで、ナッティはどうなるのでしょうか」
というのがフローラの気になっていたところ。彼女がジェシカに行った仕打ちは許せるものではないが、あのナッティがという信じられない気持ちがまだ心のどこかにはある。
「それはこれから決める」
アダムが腕を組んで答える。
「恐らく処刑は免れないだろうな」
「……っ」
何か言葉にしたいフローラだが、喉元にそれが閊えてしまって出てこない。
「彼女の闇魔法は危険だ。それを彼女が備えている限り、自由にすることはできない」
ノルトが小さく呟く。
「あの、ナッティに会うことはできますか?」
フローラのその声にアダムは眉をひそめる。
「会ってどうするつもりだ?」
「話を聞いてみようかと」
「それは担当の騎士が行っている。何もわざわざ君が話をする必要はない」
「ですが」
と言いかけてみるが、何のために話を聞きたいのかフローラ自身も複雑な心境だった。ナッティがそのような行為に及んだことを認めたくないのか、それともそのような行為に及んだ理由を知りたいのか。
「いや、アダム。フローラに事情聴取をやらせるのも一つの手だろう。相手は女性だ。男性が相手をしては、必要な情報も聞きだせないかもしれない」
ブレナンが言うと、説得力があるのが不思議だった。その言葉にアダムは何やら考え込んでいる様子。
「では、私も一緒にいてもよろしいでしょうか」
クリスが小さく手を挙げた。それにブレナンは首を横に振る。
「フローラ一人の方がいいだろう。他にも女性騎士を一人つけよう」
「では、隣の部屋で様子をみているのは?」
クリスはどうしてもフローラのことが気になっていた。あの闇魔法の使い手と対峙して、彼女の力が暴走しないかということも気になる要因の一つ。と同時に、闇魔法の使い手がどのような人物だろうという興味もある。
それなら問題ないだろう、とブレナンが言うので、アダムも渋々と承諾する形になった。
「では、ナッティの処分については、フローラが事情を確認してからの決定ということで、良いな?」
アダムのそれに、そこにいた一同は重々しく頷くのだった。
珍しく、クリスがそう言葉を発した。
「いや。気にするな。それよりもフローラ嬢、身体の方は問題ないか?」
「あ、はい」
国王の言葉にフローラは頷く。そして促されたソファへと腰を下ろす。そこに顔を連ねているのは、やはり五日前と同じメンバー。
「ああ、団長。あなたがここにいるということは、闇魔法の使い手を捕まえたということですか?」
クリスがノルトに気付き、声をかけた。
「ああ。捕まえた。あいつらには感謝だな」
ノルトの言うあいつらとは、クリスに向かって二次元発言を連発していた光魔法を使うことができる魔導士たちのことだろう。
「それで、犯人はナッティ・イオールで間違いはないのですね?」
クリスが尋ねると、ノルトは苦しそうに笑った。
「なんだ、気付いていたのか」
「フローラとあの王女をあそこに閉じ込めたのはナッティという侍女であることを、フローラが証言しました。同じことを尋ねれば王女も同じように答えると思いますが」
その言葉に顔を歪めているのはもちろん国王。王女付きの侍女が犯人であるということが、この王城内の警備体制の緩さを露呈しているようなもの。
「ですが、ナッティは昔からジェシカ様付きの侍女だったはずですが」
少なくとも、フローラが彼女の護衛騎士として任命されたときには既にナッティはジェシカに付いていた。
「ああ、だから油断した」
とアダムが頷く。
「恐らく彼女は覚醒型の魔導士です。何代か遡ると、闇魔法の使い手がいました」
クリスのそれに、頷くのはノルト。
「あの、それで、ナッティはどうなるのでしょうか」
というのがフローラの気になっていたところ。彼女がジェシカに行った仕打ちは許せるものではないが、あのナッティがという信じられない気持ちがまだ心のどこかにはある。
「それはこれから決める」
アダムが腕を組んで答える。
「恐らく処刑は免れないだろうな」
「……っ」
何か言葉にしたいフローラだが、喉元にそれが閊えてしまって出てこない。
「彼女の闇魔法は危険だ。それを彼女が備えている限り、自由にすることはできない」
ノルトが小さく呟く。
「あの、ナッティに会うことはできますか?」
フローラのその声にアダムは眉をひそめる。
「会ってどうするつもりだ?」
「話を聞いてみようかと」
「それは担当の騎士が行っている。何もわざわざ君が話をする必要はない」
「ですが」
と言いかけてみるが、何のために話を聞きたいのかフローラ自身も複雑な心境だった。ナッティがそのような行為に及んだことを認めたくないのか、それともそのような行為に及んだ理由を知りたいのか。
「いや、アダム。フローラに事情聴取をやらせるのも一つの手だろう。相手は女性だ。男性が相手をしては、必要な情報も聞きだせないかもしれない」
ブレナンが言うと、説得力があるのが不思議だった。その言葉にアダムは何やら考え込んでいる様子。
「では、私も一緒にいてもよろしいでしょうか」
クリスが小さく手を挙げた。それにブレナンは首を横に振る。
「フローラ一人の方がいいだろう。他にも女性騎士を一人つけよう」
「では、隣の部屋で様子をみているのは?」
クリスはどうしてもフローラのことが気になっていた。あの闇魔法の使い手と対峙して、彼女の力が暴走しないかということも気になる要因の一つ。と同時に、闇魔法の使い手がどのような人物だろうという興味もある。
それなら問題ないだろう、とブレナンが言うので、アダムも渋々と承諾する形になった。
「では、ナッティの処分については、フローラが事情を確認してからの決定ということで、良いな?」
アダムのそれに、そこにいた一同は重々しく頷くのだった。
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