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不能から絶倫にジョブチェンジ(5)
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無事に(?)、私の相手も判明して、ウィルフォードの不能も治って、その日はオルガー家の屋敷へと足を運ぶこととなった。国王との謁見のため、それなりのドレスを着ていたから、そのままの足で向かっても問題ないのがよかった。変な格好で、ウィルフォードの家族に嫌われたら、大変だから。
むしろ、オルガー大公が来ていたから、そのまま一緒の馬車で移動するようなもので。
これにはウィルフォードが嫌な顔をしていた。
「アイリ殿がウィルフォードの相手で、私も嬉しいよ。早く、セレスティアにも教えてあげたいな」
セレスティアとはウィルフォードの母親の名前で、オルガー大公夫人。
「でも、あのとき紹介されたときから、ウィルの特別な女性だろうなと思っていたんだよ。あの、女性に触れると気分を悪くして吐くような男が、アイリ殿だけには触れていたからね」
もしかして、知らぬは本人だけで、周囲にはバレバレだったっていう、そのパターン?
「アイリ殿。意外そうな顔をしているが、ウィルフォードを知っている者が見れば、誰だってそう思うさ」
やっぱり。
私は悔しい思いでウィルフォードを見上げた。それでも彼はニコニコと笑っていて、私の腰に回している手に力を込めている。むしろ、目の前のオルガー大公を威嚇している。
「もう、ウィル。落ち着きなさいよ」
「これが落ち着けるか。なんで、父上と一緒なんだ」
「なんだ、ウィル。私と一緒では不満なのか?」
「不満に決まっています。馬車の中で二人きりといえば、絶好のチャンスだというのに」
「お前もかわったな。まぁ、それは帰りの楽しみにでもしておきなさい」
何を楽しみにされたのか、詳しくは聞かないほうが自分の身のためだ。作り笑いを浮かべておいた。
オルガー大公家の屋敷は、あちらの屋敷とは比べものにならないほど広くて、なんとかドームいくつ分と表現されるけれども、それすらわからないような私には、広い、大きい、華やかとしか言いようがなかった。
案内された部屋は応接室みたいな部屋で、やっぱり見るからに高級そうなソファが並んでいる。天井も金色に光っていて、シャンデリアもきらきらと眩しい光を放っている。
ウィルフォードと並んでソファに腰を落とすと、目の前にはウィルフォードの両親が穏やかに微笑みながら座っていた。
ウィルフォードが私を簡単に紹介してくれたけれども、オルガー大公も大公夫人も、私が異界人と呼ばれる存在であるのを知っているようだった。
むしろ、そんなことは関係ないとでも言わんばかりに歓迎された。
やはり嫌われるよりは好かれたほうがよい。ほっと肩の荷がおりたような気分でもある。
「アイリさん。こちらのこと、まだよくわからないでしょう?」
ニコニコと大公夫人が声をかけてくる。以前読んだ、嫁、姑バトルもの漫画を思い出す。デロデロのドロドロの憎悪に満ちた漫画。私はこれで、自分に敵意を持つ人間をどうやり込めるかを学んだ。
「あ、はい。いろいろと教えてください」
「まぁ、可愛らしい。本当にウィルにはもったいないわ。私の娘にならない?」
まさかの斜め上の返事に、嫁姑バトルもの漫画の知識は役に立たなかった。
むしろ、オルガー大公が来ていたから、そのまま一緒の馬車で移動するようなもので。
これにはウィルフォードが嫌な顔をしていた。
「アイリ殿がウィルフォードの相手で、私も嬉しいよ。早く、セレスティアにも教えてあげたいな」
セレスティアとはウィルフォードの母親の名前で、オルガー大公夫人。
「でも、あのとき紹介されたときから、ウィルの特別な女性だろうなと思っていたんだよ。あの、女性に触れると気分を悪くして吐くような男が、アイリ殿だけには触れていたからね」
もしかして、知らぬは本人だけで、周囲にはバレバレだったっていう、そのパターン?
「アイリ殿。意外そうな顔をしているが、ウィルフォードを知っている者が見れば、誰だってそう思うさ」
やっぱり。
私は悔しい思いでウィルフォードを見上げた。それでも彼はニコニコと笑っていて、私の腰に回している手に力を込めている。むしろ、目の前のオルガー大公を威嚇している。
「もう、ウィル。落ち着きなさいよ」
「これが落ち着けるか。なんで、父上と一緒なんだ」
「なんだ、ウィル。私と一緒では不満なのか?」
「不満に決まっています。馬車の中で二人きりといえば、絶好のチャンスだというのに」
「お前もかわったな。まぁ、それは帰りの楽しみにでもしておきなさい」
何を楽しみにされたのか、詳しくは聞かないほうが自分の身のためだ。作り笑いを浮かべておいた。
オルガー大公家の屋敷は、あちらの屋敷とは比べものにならないほど広くて、なんとかドームいくつ分と表現されるけれども、それすらわからないような私には、広い、大きい、華やかとしか言いようがなかった。
案内された部屋は応接室みたいな部屋で、やっぱり見るからに高級そうなソファが並んでいる。天井も金色に光っていて、シャンデリアもきらきらと眩しい光を放っている。
ウィルフォードと並んでソファに腰を落とすと、目の前にはウィルフォードの両親が穏やかに微笑みながら座っていた。
ウィルフォードが私を簡単に紹介してくれたけれども、オルガー大公も大公夫人も、私が異界人と呼ばれる存在であるのを知っているようだった。
むしろ、そんなことは関係ないとでも言わんばかりに歓迎された。
やはり嫌われるよりは好かれたほうがよい。ほっと肩の荷がおりたような気分でもある。
「アイリさん。こちらのこと、まだよくわからないでしょう?」
ニコニコと大公夫人が声をかけてくる。以前読んだ、嫁、姑バトルもの漫画を思い出す。デロデロのドロドロの憎悪に満ちた漫画。私はこれで、自分に敵意を持つ人間をどうやり込めるかを学んだ。
「あ、はい。いろいろと教えてください」
「まぁ、可愛らしい。本当にウィルにはもったいないわ。私の娘にならない?」
まさかの斜め上の返事に、嫁姑バトルもの漫画の知識は役に立たなかった。
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