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生真面目夫の場合(11)
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その言葉を聞いた途端、クラークは思わずオリビアの唇を奪っていた。
彼を守っていた箍は全て外れてしまい、バラバラになってしまったのだ。
息苦しそうに彼女に肩を叩かれて、我に返る。
「ク、クラーク……」
頬を赤らめて名前を呼ばれたら、耐えられない。
「君は、俺が好きなのか? 俺の聞き間違えではないのか?」
「好きです。ですから、今の旦那様と離縁したら、私と結婚してもらえますか?」
クラークは声にならない声を上げた。聞く者によっては雄叫びに聞こえたかもしれない。
「く、クラーク?」
「す、すまない。嬉しすぎて……」
「嬉しい、ですか?」
「ああ。君が俺を好きだと言ってくれたことに」
「え、と……」
オリビアは困惑の表情を浮かべている。どことなく目が泳いでいるように見えた。
「そのような格好をしているというのは、つまり……。俺は、君を求めてもいいということだろうか」
「あの。え、と……」
「違うのか?」
「違いませんが……。ちょっと、少し。頭がついていかなくて……。絶対に、断られると思っていたから」
ここまでやられて断る男など、この世にいないだろうとクラークは思った。こういうところが彼女の危うさなのだ。やはり、自分が彼女を守らなければならない。
「おいで」
クラークはオリビアを抱き寄せ、膝の上に座らせた。後ろからそっと抱きしめる。
「あの、クラークは、私のことを?」
腕の中で「信じられない」とでも言うかのように、オリビアが震えている。
「ああ。俺は君のことが好きだ。だが、団長との約束があったから、ずっとそれを我慢していた」
「お父さまとの約束ですか?」
「そうだ。俺は団長と君を守ると約束をした。あの陰気なクソ親父からな」
陰気なクソ親父とは、オリビアから見て伯父にあたる人物。執拗に彼女を狙っていたのは、目に見えていた。アトロも気づいていた。だから、クラークにオリビアを託したのだ。
「俺は、君のことを団長から頼まれはしたが、俺はずっと君のことが好きだった。だから君には幸せになってもらいたいと、ずっとそう思っていた」
オリビアは身じろぎもせずに、クラークの腕の中に収まっている。
「君とはずいぶん年も離れているし。だから、その……」
クラークは恥ずかしくなり、彼女の肩に頭をコツンとのせた。
まさか、彼女が好いてくれるとは思ってもいなかった。
彼女の無邪気な仕草も、父親に甘えるようなものだろうと、そう思っていたのだ。
オリビアが、クラークの頭を優しく撫でていた。
「そうやって、私のことを気遣ってくださって、ありがとうございます。私もずっとあなたのことが好きだった。だけど私は、その……。身体が貧相だし、大人っぽくないし」
だが彼女は絶世の美少女と呼ばれている。そう、少女なのだ。いや、違う。
「俺は、結婚してからは君のことを子供だと思ったことなど、一度もない。いつでも、俺の妻だと思っていた」
「だけど。あなたは私のことを、本当の妻にはしてくださらなかった」
「だから、それは……。何度も言っているが、団長との約束があったのと。君の隣に俺は相応しくないと思っていたからで……」
「オリビアと」
「何だ?」
「オリビアと呼んでくださいませんか? クラーク……」
バラバラになったかけらを集めてもう一度箍を締め直そうとしたはずなのに、今の破壊力はすさまじい。箍が外れたところではない。クラークは自ら箍を引きちぎってしまったのである。
オリビアの顔に手を添え、自分の方へとその顔を向かせると、激しく彼女の唇に喰らいつく。
彼女の身体を抱き寄せながら、次第に身体の向きを変えていく。
いつの間にか向かい合いながら、彼女を貪っていた。
お互い、呼吸を求めて一度唇を離す。
「クラークは……、私を愛してくれますか?」
ほんのりと薄紅色に染まっている頬と、少しだけ弾んだ息遣い。その彼女の姿が、またクラークを刺激する。
「愛していいのか?」
尋ねると、彼女はコクンと頷く。
こうなってしまった彼を止めることなど、誰にもできない。
彼を守っていた箍は全て外れてしまい、バラバラになってしまったのだ。
息苦しそうに彼女に肩を叩かれて、我に返る。
「ク、クラーク……」
頬を赤らめて名前を呼ばれたら、耐えられない。
「君は、俺が好きなのか? 俺の聞き間違えではないのか?」
「好きです。ですから、今の旦那様と離縁したら、私と結婚してもらえますか?」
クラークは声にならない声を上げた。聞く者によっては雄叫びに聞こえたかもしれない。
「く、クラーク?」
「す、すまない。嬉しすぎて……」
「嬉しい、ですか?」
「ああ。君が俺を好きだと言ってくれたことに」
「え、と……」
オリビアは困惑の表情を浮かべている。どことなく目が泳いでいるように見えた。
「そのような格好をしているというのは、つまり……。俺は、君を求めてもいいということだろうか」
「あの。え、と……」
「違うのか?」
「違いませんが……。ちょっと、少し。頭がついていかなくて……。絶対に、断られると思っていたから」
ここまでやられて断る男など、この世にいないだろうとクラークは思った。こういうところが彼女の危うさなのだ。やはり、自分が彼女を守らなければならない。
「おいで」
クラークはオリビアを抱き寄せ、膝の上に座らせた。後ろからそっと抱きしめる。
「あの、クラークは、私のことを?」
腕の中で「信じられない」とでも言うかのように、オリビアが震えている。
「ああ。俺は君のことが好きだ。だが、団長との約束があったから、ずっとそれを我慢していた」
「お父さまとの約束ですか?」
「そうだ。俺は団長と君を守ると約束をした。あの陰気なクソ親父からな」
陰気なクソ親父とは、オリビアから見て伯父にあたる人物。執拗に彼女を狙っていたのは、目に見えていた。アトロも気づいていた。だから、クラークにオリビアを託したのだ。
「俺は、君のことを団長から頼まれはしたが、俺はずっと君のことが好きだった。だから君には幸せになってもらいたいと、ずっとそう思っていた」
オリビアは身じろぎもせずに、クラークの腕の中に収まっている。
「君とはずいぶん年も離れているし。だから、その……」
クラークは恥ずかしくなり、彼女の肩に頭をコツンとのせた。
まさか、彼女が好いてくれるとは思ってもいなかった。
彼女の無邪気な仕草も、父親に甘えるようなものだろうと、そう思っていたのだ。
オリビアが、クラークの頭を優しく撫でていた。
「そうやって、私のことを気遣ってくださって、ありがとうございます。私もずっとあなたのことが好きだった。だけど私は、その……。身体が貧相だし、大人っぽくないし」
だが彼女は絶世の美少女と呼ばれている。そう、少女なのだ。いや、違う。
「俺は、結婚してからは君のことを子供だと思ったことなど、一度もない。いつでも、俺の妻だと思っていた」
「だけど。あなたは私のことを、本当の妻にはしてくださらなかった」
「だから、それは……。何度も言っているが、団長との約束があったのと。君の隣に俺は相応しくないと思っていたからで……」
「オリビアと」
「何だ?」
「オリビアと呼んでくださいませんか? クラーク……」
バラバラになったかけらを集めてもう一度箍を締め直そうとしたはずなのに、今の破壊力はすさまじい。箍が外れたところではない。クラークは自ら箍を引きちぎってしまったのである。
オリビアの顔に手を添え、自分の方へとその顔を向かせると、激しく彼女の唇に喰らいつく。
彼女の身体を抱き寄せながら、次第に身体の向きを変えていく。
いつの間にか向かい合いながら、彼女を貪っていた。
お互い、呼吸を求めて一度唇を離す。
「クラークは……、私を愛してくれますか?」
ほんのりと薄紅色に染まっている頬と、少しだけ弾んだ息遣い。その彼女の姿が、またクラークを刺激する。
「愛していいのか?」
尋ねると、彼女はコクンと頷く。
こうなってしまった彼を止めることなど、誰にもできない。
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