月夜の恋

はなおくら

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薔薇

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 アビーは目を見張った。目の前には赤い薔薇が数えきれない程、部屋を埋め尽くしていた。

「……。」

 あまりの事に言葉が出なかった。するとドアを閉めた。ケナが声をかけてきた。

「驚いたかい?旦那様からだよ。」

「すごい…こんなにたくさんの薔薇初めて見ました。」

 アビーはしばらく見惚れていた。そしてふと、横の鏡を見てケナに言った。

「ケナさん、そういえばなぜローブを着せたのですか?」

 するとケナはアビーのローブを脱がせた。

「アビー、見てごらん。」

 言われて鏡を見てみると、アビーは驚いた。目の前には純白のウェデングドレスをきた自分の姿が写っていた。

 自分の姿に思わず見惚れていると、背後から声をかけられた。

「驚いたか?」

 後ろを振り向くと愛おしい人の姿。

 ケロウは白いタキシードでアビーを愛おしげに見つめていた。

「アビー…とても綺麗だ…。」

 そう言って、アビーの前にかしずき言った。

「改めて言わせてほしい。アビー…私と結婚して欲しい。共にそばにいると誓って欲しい。そうすれば今度こそ君を守り抜くと約束しよう。」

 ケロウは懇願するような瞳でアビーを見つめた。

 アビーの瞳にツーっと涙が出た。そして自分からケロウを抱きしめた言った。

「はい…貴方と共に……。」

 今アビーの心は満たされている。愛する者の側にいる事が自分の幸せであると。

二人はしばらく熱い抱擁を交わしていたがケロウは、自分の腕を緩めるとアビーに言った。

「今から結婚式が始まる。みんな待ってるから行こう!」

「はい…ケロウ様。」

 アビーはこの時納得した。皆がつけてくれたアクセサリーはケロウからの贈り物だという事に。

「ケロウ様、ありがとうございます。耳飾りとネックレス似合っていますか?」

 そう聞くとケロウは微笑み言った。

「君の瞳には負けるかもしれないが、よく似合っているよ。」

 ケロウの瞳にアビーがいる。彼に褒められると自分の瞳が宝物の様な気分になってくる。

「さぁ行こう!」

 差し出された手を掴む。そして教会へ。

 教会の扉が開く。目の前には大切な人達心からの祝福をくれる。

 そこをケロウと共に、一歩、一歩、歩いていく。

 教壇に立ち、神父の誓いをケロウと共に誓った。

「ケロウ、アビー、貴方達はここに永遠の愛を誓いますか?」

「「誓います」」

 ケロウとアビーは微笑み合い答えた。

「ここに2人を夫婦と認めます。」

 ケロウとアビーはキスを交わした。神父が両手をあげると祝福の鐘が鳴り、参列者達から祝福の拍手が沸き起こった。
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