月夜の恋

はなおくら

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情欲

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 舞踏会から数日後、何も問題なく平穏には過ごしていた。

 アビーは、職務に努めながらも舞踏会でのハリソンの登場に寂しさを感じている。

 気軽に話せる友人ができたのに、王太子ではもう会えないのかと残念な気持ちだった。

 この時のアビーは、望まぬ形でハリソンと再会する事など、予想もしていなかった。

 ある日、王城から一通の手紙がケロウの元に届いた。

 ケロウは手紙の内容は予想がついていた。案の定中を開けてみると国王からだった。

 ケロウはアビーとの結婚許可証を出していたのだが、返事はこうだった。

“ケロウ殿、そなたの結婚の承諾に条件がある。婚約者のアビー嬢を我が城にて花嫁修行という名目でしばらく滞在してもらいたい。”

 読んだケロウは、怒りが沸沸と湧いて出た。このような条件呑める訳がない。今すぐにでも王城へ向かおうと思ったが、小さな領主のケロウは、王命を断れるはずもない。

 どうしたものかと頭を抱えた。そこへアビーが、ティーセットを運んできた。

「失礼致します。…ケロウ様?どうかされましたか?」

 顔を覗き込むアビーを見にした瞬間、ケロウは強い力で抱きしめた。

「えっ‼︎ケロウ様…一体どうされたのですか⁉︎」

 混乱するアビーに返事をする事もなく、抱きしめていた。

「アビー…アビー…。」

 ケロウはアビーを抱きしめたまま身体を撫で回した。

「んっ…ケロウ様…いけません…!」

 アビーがいさめようとしても、ケロウは聞く耳持たず、彼女の頬から唇へ、首筋から鎖骨へと愛撫を繰り返した。

 ケロウから触れられれば触れられるほど、いけないと思いながらも身体は答えてしまう。

「ケロウ様っ…はっ…んっっ‼︎」

 最終的には、深い口付けをされ抵抗する気力も失ってしまった。

 そこからは早かった。アビーが抵抗しないと分かると、ケロウはさらに愛撫を深めた。

「アビー…ちゅっ…。ぬちゅっ…。」


「はぁはぁ…ケ…ロウ様…。」

 お互いを求め合い止めることなどできない。

 ケロウは、簡易なベッドにアビーを下ろすと即座に部屋の鍵をかけて、アビーに近寄る。

 アビーの瞳は潤み切っており、情欲にケロウを煽っていた。

「かわいいアビー…もう我慢できない…。」

 そういうや否や。アビーの太腿の間に手を入れ核の部分を撫で回す。

「あっ…あっ…ああっ…そんなところに触れられると私…もう…。」

 ケロウからの快感に、自我などもうなかった。

(ケロウ様…愛おしい…もっと愛して欲しい。)

 自分でも戸惑ってしまうほどの、欲が出てしまう。

 ケロウの手は、アビーの感じた反応を見れば見るほど激しくいやらしく動きを早めていた。
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