月夜の恋

はなおくら

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両思い

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 アビーは、心臓が早鐘を打ち顔が真っ赤なまま固まってしまった。好きな相手に想いを伝えるのにこんな緊張するものなのかと思っていた。

 ケロウの返信を待っていたが、何も言ってこない。どうしたのかと顔をみる。

 するとケロウもまた固まっていたが、そっと口を開いた。

「本当…なのか?君は前に慕っている人がいるといっていたと思うが……。」

 ケロウは信じられないと思っていた。彼女が愛おしいあまり告白してしまったし、自分とお同じ気持ちでいてほしいとは思っていたが、本当にそうだったとは。

 アビーもまた、主人公と恋仲になるのはいけない事と思ってきたが、彼とダンスを踊り彼の気持ちを知った以上抑えられなかった。

「私が幼い頃からお慕いしていたのは、旦那様です。ですが…主人に想いを寄せるなんてと…気持ちを隠してきました。」

 そう言ったアビーにケロウは歓喜した。

「アビー…君は素敵な女性だ…。そんな前から私を想っていてくれたとは…。」

 そうしてアビーを抱きしめた。彼女の想いを聞いてますます気持ちが、抑えられず抱きしめた。

 そうして2人で見つめ合う。アビーの目から、ケロウは悩ましげな顔で見つめていた後、アビーにキスをした。

 このキスは、アビーにとって幸せそのものだった。キスを自然と受け入れていた。

 その様子にケロウは安堵した。そしてアビーをふと横抱きにすると自室へと運んだ。

 自室へと向かう途中ケロウは言った。

「アビー…結婚前に最低と思われるかもしれないが許してほしい…私は君が欲しい。」

 そう言ってもう一度キスを落とした。

 アビーは頭の中で、自分自身はしたないと思いはしたが、ケロウと同じ気持ちだった。

「はい…私もケロウ様と同じ気持ちです…。」

 そう言って俯いた。

 自室へと着き中に入る。彼と二人きりでいる事に自覚してか、妙に緊張してきていた。

 ケロウがアビーを、ベッドへと寝かせると、近づいてきた。

 きゅっと目を閉じると、頭を撫でられていた。

「アビー…怖いか?震えてる。」

 アビーの身体が震えている事に、恐れとケロウは捉えていた。

 アビーは首を振り、自分からケロウを抱きしめた。

「ケロウ様とこんな近くで、緊張しているだけです。」

 そう言って震えながらケロウの口元にキスをした。

 そうしていると、ケロウの腕が頭に回されてゆっくりと深いキスをされる。

「んっ…んっ……。」

 バルコニーでしたキスよりも深く刺激的なキスに、アビーは翻弄されていった。




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