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会場は大きくはないが、数十人ほどの貴族の集まりでは申し分ない程だった。
皆大抵の、男達は自分の自慢話で競い合い、女達は噂話に花を咲かせた。
ケロウの話も話題になっていた。
「ケロウ様は今回はおいでになるのかしら?」
「来られるみたいよ。」
「でも、それならパートナーは誰なのかしら?」
「そうね。でもあんな素敵なお方にお誘い頂けるなら光栄よね。」
そう言って、噂し合っていた。それを面白くなさげに聞いている者がいるとは知らずに。
そして、ケロウとアビーが会場に入ると、2人に視線が集まった。
アビーは一瞬怖気付いたが、堂々とケロウの隣で歩を進めた。
その様子を見ていたケロウはアビーの手をぎゅっと握る。
するとアビーの中で安心感が生まれ一層堂々としていられた。
さすが、村の領主を務めるだけあって会場の者達が、ケロウに話しかける。話しをしていると、ちらちらとアビーを見る者もいる。そういう時には、ケロウがすかさず間に入ってくれた。
挨拶まわりをしていると、1人の女性がこちらに話かけてきた。
「お久しぶり。そちらの素敵な女性を紹介してくださらない?」
振り向くと、ブルーの髪を一つにまとめて切れ長の女性と後ろにそっと控えている使用人らしき人が、こちらを見ていた。
「アレア、久しぶりだね。元気だったかい?リリーも元気そうで安心したよ。」
ケロウは、嬉しそうにアレアと挨拶を交わした。リリーという使用人は深々と頭を下げた。
「本当に久しぶりね。あなたとは何年会ってなかったかしらね。ところで、そちらの可愛いお嬢さんを紹介してくださる?」
「あぁすまない、彼女はアビーだ。今日のパーティーはパートナーがいるだろう?それに付き合って貰ったんだ。」
「そうなのね。はじめまして私はアレアと申します。横にいるメイドがリリーと言うの、お会いできてとても嬉しいわ。」
その挨拶に、アビーも礼を返した。
「アレア様、リリー様、お会いできて光栄です。アビーと申します。」
そう返すと、アレアは切れ長の目から、慈愛に満ちた笑顔を向けていた。しかし、その横のリリーは、深くお辞儀をした後、アビーを恐ろしい目つきで睨みつけた。
アビーは、何故睨まれるのか訳がわからなかった。
挨拶が終わると、ケロウが場所を変えようとテーブルに移動した。
席に座り落ち着いた時、ケロウが口を開いた。
「アビー、アレアは今日の取り引き相手であり、カーラの親友だったんだ。そしてリリーはカーラの付き人でね。カーラが亡くなってアレアがリリーを引き取ってくれたんだ。」
「主人の代理で来たのよ。彼、休憩室で眠ってしまって起きないのよ…困った人だわ…。懐かしいわね…。カーラが亡くなるなんて夢にも思わなかったわ…。リリーも悲しんでね…。」
アレアがそう呟くと、周りは哀しみの雰囲気になっていたが、リリーが言った。
「カーラ様も、皆様にそう言ってもらえて幸せだと思います。さぁ悲しい顔をしないで今日を楽しみましょう。」
こうして場を切り替えて、楽しい話へ進んでいった。アレアはアビーを気にかけながら話をした。
「初めてのパーティーは、緊張するでしょ?でもアビーは大丈夫そうね。」
「ケロウ様がいてくださるからです。」
「アビー…。」
アビーとケロウから、甘い雰囲気が出ているのだが、当人同士は気付いていなかった、アレアはやれやれと言った風に、微笑ましく眺めていた。
しばらくして、アレアから仕事の事で話し合いをと持ちかけられた。ケロウはアビーとリリーに言った。
「アビー、仕事の話はつまらないと思うからリリーとここで待ってもらえるかい?リリー、すまないが相手を頼む。」
そう言って2人は行ってしまった。
残されたアビーは、リリーに声を掛けた。
「すみません。お相手をして頂いて、少しの間おねがい……」
「調子に乗らないで‼︎」
アビーが言い切る前に、言葉が降ってきた。驚いたアビーにリリーは攻めた。
「何故、あなたみたいな人がケロウ様の隣にいるの?そこにいて良いのはカーラ様だけよ!あなたがいて良い場所じゃあないの‼︎カーラ様からケロウ様を奪わないで!」
リリーは、アビーを睨みつけた。アビーは戸惑ったが、ここで何かあってはケロウに迷惑をかけてしまうと思い、返した。
「あなたが、考えてるような事はありませんわ。どうせ私の片思いで終わる話です…」
そう返すと本当に涙が出そうになり、
「失礼します。」
とだけ残して、会場を出た。向かう途中、噂好きの女達が、話をしているのを聞いた。
「今日のケロウ様、素敵ね!」
「ええ!隣の女性は誰でしょう?ケロウ様の隣にいるなんて腹立たしいですわね。」
「本当に‼︎」
そんな会話が聞こえてきた。リリーとの事もあり、アビーは耐えられなくなり
無我夢中で走った。
気づくと、どこかの庭園に迷い込んだ。だが1人になると涙が溢れて、泣き崩れてしまった。
(私が何をしたというの?何も告げてない、遠くで見つめてるだけなのに……。)
皆大抵の、男達は自分の自慢話で競い合い、女達は噂話に花を咲かせた。
ケロウの話も話題になっていた。
「ケロウ様は今回はおいでになるのかしら?」
「来られるみたいよ。」
「でも、それならパートナーは誰なのかしら?」
「そうね。でもあんな素敵なお方にお誘い頂けるなら光栄よね。」
そう言って、噂し合っていた。それを面白くなさげに聞いている者がいるとは知らずに。
そして、ケロウとアビーが会場に入ると、2人に視線が集まった。
アビーは一瞬怖気付いたが、堂々とケロウの隣で歩を進めた。
その様子を見ていたケロウはアビーの手をぎゅっと握る。
するとアビーの中で安心感が生まれ一層堂々としていられた。
さすが、村の領主を務めるだけあって会場の者達が、ケロウに話しかける。話しをしていると、ちらちらとアビーを見る者もいる。そういう時には、ケロウがすかさず間に入ってくれた。
挨拶まわりをしていると、1人の女性がこちらに話かけてきた。
「お久しぶり。そちらの素敵な女性を紹介してくださらない?」
振り向くと、ブルーの髪を一つにまとめて切れ長の女性と後ろにそっと控えている使用人らしき人が、こちらを見ていた。
「アレア、久しぶりだね。元気だったかい?リリーも元気そうで安心したよ。」
ケロウは、嬉しそうにアレアと挨拶を交わした。リリーという使用人は深々と頭を下げた。
「本当に久しぶりね。あなたとは何年会ってなかったかしらね。ところで、そちらの可愛いお嬢さんを紹介してくださる?」
「あぁすまない、彼女はアビーだ。今日のパーティーはパートナーがいるだろう?それに付き合って貰ったんだ。」
「そうなのね。はじめまして私はアレアと申します。横にいるメイドがリリーと言うの、お会いできてとても嬉しいわ。」
その挨拶に、アビーも礼を返した。
「アレア様、リリー様、お会いできて光栄です。アビーと申します。」
そう返すと、アレアは切れ長の目から、慈愛に満ちた笑顔を向けていた。しかし、その横のリリーは、深くお辞儀をした後、アビーを恐ろしい目つきで睨みつけた。
アビーは、何故睨まれるのか訳がわからなかった。
挨拶が終わると、ケロウが場所を変えようとテーブルに移動した。
席に座り落ち着いた時、ケロウが口を開いた。
「アビー、アレアは今日の取り引き相手であり、カーラの親友だったんだ。そしてリリーはカーラの付き人でね。カーラが亡くなってアレアがリリーを引き取ってくれたんだ。」
「主人の代理で来たのよ。彼、休憩室で眠ってしまって起きないのよ…困った人だわ…。懐かしいわね…。カーラが亡くなるなんて夢にも思わなかったわ…。リリーも悲しんでね…。」
アレアがそう呟くと、周りは哀しみの雰囲気になっていたが、リリーが言った。
「カーラ様も、皆様にそう言ってもらえて幸せだと思います。さぁ悲しい顔をしないで今日を楽しみましょう。」
こうして場を切り替えて、楽しい話へ進んでいった。アレアはアビーを気にかけながら話をした。
「初めてのパーティーは、緊張するでしょ?でもアビーは大丈夫そうね。」
「ケロウ様がいてくださるからです。」
「アビー…。」
アビーとケロウから、甘い雰囲気が出ているのだが、当人同士は気付いていなかった、アレアはやれやれと言った風に、微笑ましく眺めていた。
しばらくして、アレアから仕事の事で話し合いをと持ちかけられた。ケロウはアビーとリリーに言った。
「アビー、仕事の話はつまらないと思うからリリーとここで待ってもらえるかい?リリー、すまないが相手を頼む。」
そう言って2人は行ってしまった。
残されたアビーは、リリーに声を掛けた。
「すみません。お相手をして頂いて、少しの間おねがい……」
「調子に乗らないで‼︎」
アビーが言い切る前に、言葉が降ってきた。驚いたアビーにリリーは攻めた。
「何故、あなたみたいな人がケロウ様の隣にいるの?そこにいて良いのはカーラ様だけよ!あなたがいて良い場所じゃあないの‼︎カーラ様からケロウ様を奪わないで!」
リリーは、アビーを睨みつけた。アビーは戸惑ったが、ここで何かあってはケロウに迷惑をかけてしまうと思い、返した。
「あなたが、考えてるような事はありませんわ。どうせ私の片思いで終わる話です…」
そう返すと本当に涙が出そうになり、
「失礼します。」
とだけ残して、会場を出た。向かう途中、噂好きの女達が、話をしているのを聞いた。
「今日のケロウ様、素敵ね!」
「ええ!隣の女性は誰でしょう?ケロウ様の隣にいるなんて腹立たしいですわね。」
「本当に‼︎」
そんな会話が聞こえてきた。リリーとの事もあり、アビーは耐えられなくなり
無我夢中で走った。
気づくと、どこかの庭園に迷い込んだ。だが1人になると涙が溢れて、泣き崩れてしまった。
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