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 彼に与えられる快楽にわたしは感じている。

 彼の優しい手つきや吐息、そして鋭くも逃さないと言わんばかりの目つきにわたしは酔いしれる。

「アロン様…。」

「…やめろ…。」

「えっ…。」

 突然の否定の言葉にアロン様の顔を見つめると、アロン様は不機嫌な顔のまま言った。

「…アロンだ…。」

「そんな…。」

「…嫌なのか?」

 嫌ではないが、呼び捨てにしていいものか憚られる。

「僕がそう呼んで欲しいんだ…イゼア…。」

 彼に名前を呼ばれるとどうしようもなくなり、わたしは恥ずかしい気持ちを抱えながら呟いた。

「アロン…。」

「…もう一度…。」

 期待したい顔で見つめる彼が可愛らしく思えて、わたしはもう一度口を開いた。

「アロン。」

 そうはっきりと告げると、彼は私を強く抱きしめてキスをくれた。

「イゼア、嬉しいよ。…もっと僕の名前を呼んでね…。」

 最後は耳元で低く囁かれわたしは頷くしかなかった。

 アロンを見つめていると、わたしは自分のしたが濡れている事に気がついた。

 もう意識して仕舞えば、彼がほしくなる。

 直接伝えるのが恥ずかしくて、彼にキスをしながら、自分の秘所を彼のものにこすりつけた。

 あまりの気持ちよさに腰を動かしていたが、何を思ったのか彼は自分のものをわたしから離した。

 それがもどかしくて嫌と首を振ると、彼は意地悪な顔で私の手を押さえつけて言った。

「いつのまにこんないやらしい事覚えたの?」

「やめて…恥ずかしいです…。」

「……。」

 ニヤリとしたまま何も言わない彼に私は目を逸らすと、アロンはまた意地悪なお願いをしてきた。

「君と僕はもう恋人同士だ。…二人きりの時くらい砕けて離して欲しいな…。」

「そんな事…できません…。」

 小さい頃ならできたが流石に今そんな事できるはずもないと、アロンを見つめると私が聞くまでお預けだと言わんばかりに何もしてくれない。

 私の下はもうウズウズと彼を欲しがっており、体を揺らしてしまう。

 そんな私を、彼も我慢できないのか腰を揺らして私の返答を待っている。

 わたしはダメだと頭で押さえてる理性に抗うことができずに頷いた。

「わかった…だからお願い……っ…‼︎」

 そう言った瞬間アロンはわたしの足を持ち上げてゆっくりと入ってきた。

「……っ…‼︎」

 顔を真っ赤にして腰を振る彼を見つめながら私達は絶頂へとイッたのだった。

 乱れた息を整えながら、後ろからアロンに抱きしめられた。

 振り向いて微笑み合いながら、お互いの名前を呼び合って私達は眠りについたのだった。

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