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 休みの日、部屋に置いてあったスイーツ店の載っている雑誌を見て目が、キラキラになる。

 そう言えばここのところ忙しくて、気晴らしをしてなかったなと思いわたしは外出の支度を始めた。

 普段仕事でつけるかつらははずした。

 あれからアロン様とは、スキンシップが増えた気がする。

 わたしが執務室から出ようとすれば、行き先を聞かれたりする始末だ。

 そんな束縛が嫌ではないと感じているので、どうしようもない。

 彼への気持ちを自覚してしまったとて、どうすることもできない。

 それに彼が最後に言った言葉……。

 “イゼア…君は僕から離れられないよ…。”

 アロン様は今後のことをどう考えているのだろうか、嬉しい反面少しの不安が過っていた。

 部屋を出て、街に繰り出した時だった。

 普段観光できない分ワクワクしてしまう。

「わぁ…。」

 本で勧められたお店に入ろうとした時だった。

 誰かに腕を掴まれた。

 目の前にアロン様がいた。

「アロン様っ…!」

 低い声で呼びかけると、彼は口に人差し指をつけた。

 気づけば、彼の格好は平民と同じ様な姿をしていた。

「アロン様…その姿は…。」

 驚くわたしがそう問いかけると彼は言った。

「静かに…今気晴らしに視察に来たんだ。」

「…そうでしたか…。ですが危ないです…誰かお供は連れて来ましたか?」

「いや…。」

 私は呆れてしまった。

 しかし主人をこのまま放置するわけにもいかず、私は一緒に動く事にした。

「お供します。…どちらに向かわれるのですか?」

「そうか!邪魔してすまないな。」

 どこかわざとらしい返答にため息を感じる。

「イゼア、君はこれからどこに行く気だったんだ?」

 主人にそう言われては、答えるわけにも行かず…。

「いえ、大した事はありません。アロン様のご予定にお供します。」

 そう言って彼を見ると、アロン様は私の持っている本に視線を投げた。

「それは?」

「いえ、大したものでは…。」

「見してくれるか?」

 主人にそう言われてはどうしようもなく、わたしは彼に本を手渡した。

 目星にしているところに丸をつけているので、恥ずかしい気持ちになった。

「わかりやすいな、このマークのある所に回ろう。」

「えっ?」

「君が行きたい所だろ?一緒に行こう。」

 アロン様は私の手を握り、目的の店まで歩き出した。

 今からがわたしの手を握る握り方を見て頬が赤くなった。

 今街中では恋人が繋ぐ流行りの繋ぎ方だから、嬉しそうに歩くアロン様を見てわたしは嬉しい気持ちになった。

 お店の前に着くと早速中に入った。
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