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「ひゃっ…ダメっ…‼︎」

 抵抗しても話すつもりはないと言ったようにはわたしを翻弄される。

 だんだんと彼の温もりが心地よく抵抗することができずされるがままだった。

「はぁ…はぁ…はぁ………。」

 押さえつけられた息を吸って吐いて、空気を取り戻す様に息をしていると、満足そうなアロン様が見えた。

「アロン様っ…!これはやりすぎですっ…!」

「くくくっ…すまない、あまりにも可愛いからついな…。」

「こう言う事はおやめください…本当に好きな人ができたらどうなさるのですかっ…⁉︎それに私だっていつまでここにいるのかわからないんですから…軽率な事はおやめください。」

 そう……いつかはアロン様は私ではなく、血筋にふさわしいお相手のご結婚なさる。

 今、いっときの迷いで遊んでいる女になんて見向きもしなくなる。

 そう考えると何やら虚しいものがあった。

 彼が新しい女性をそばに置いた時、わたしは平気でいられるのだろうか…。

「…ここを離れる気でいるのか?」

 冷たい声が上から聞こえる。

 彼の膝の上に座った状態で逃げることもできない。

「すぐではありません…ですがいつまでもこんな関係続けているわけにはっ…んっ…‼︎」

 途中強引に口付けられた。

「僕が他の女とこんな事をして…君はへいきなのかっ!」

「んっ…アロ…ン様っ…!」

 彼はわたしの胸元に顔を埋めて甘い刺激を降らせる。

 あまりの快感に、頬が熱くなり逃れようとすればするほど体は熱くなる。

「…僕と離れて…こんな可愛い顔を他の男に晒すつもりか?」

「……っ…‼︎」

 アロン様の問いかけに、身体が拒否している。

 そしてその時気づいた。

 もう誰が来ても彼以外に、心を開く事は難しいだろう。

 わたしが何も言わない事にアロン様はいらだったのか、強引にわたしの鎖骨を刺激してくる。

 彼の舌がわたしの体をなぞるたびに、どうしようもない高揚感を抱いていた。

 ダメだと振り払っても、彼は辞めることが長い期間彼の刺激に耐えた。

 気づけば時間がかかっていたのだろう。

 使用人が、歩く足音が聞こえて来た。

 私はふらつく体に力を入れて、アロン様の胸を押した。

「アロン様…そろそろ…戻りませんと…。」

「……そうだな…。」

 彼の後ろ姿を頭を下げた時…。

「イゼア…君は僕から離れられないよ。」

 そう言って、アロン様の足音は遠かった。

 彼の告白に熱い疼きを覚えた。

「アロン様…私とあなたは…。」

 二人の関係を確認する為に出た言葉は、なんの意味もなさなかった。

 そして、屋敷の使用人に連れられ着替えを済ました。

 こうして令嬢との縁談はアロン様の元に来る事は無かった。
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