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 ビクッと体が反応するが、なんとか彼の服を握りしめて耐える。

 すると足音が近づいてくるのがわかり、わたしは身を縮こまらせた。

 アロン様は大丈夫だと、肩に手を置いてくれている。

「お待たせいたしました。本日はお茶会にっ…‼︎」

 お相手のご令嬢はあいさつの途中驚いたのか、しばらく無言だったが突然その場から退室した。

「……失礼しますっ…‼︎」

 遠ざかる足音に、わたしはなんだか申し訳ない気持ちになった。

 しかしアロン様を見上げても、彼の表情は何一つ変わることが無かった。

 次の令嬢もわたしの姿を捉えると、不機嫌になり何も言わずに帰っていった。

 ここまで変えられると、自分が邪魔をしていることが申し訳なく思えた。

 しかしアロン様は顔色を変える事はない。

 どうしたものかと、自問自答していた時最後の令嬢が庭園に入って来た。

「アロン様っ‼︎」

 声の主は、アロン様に明らか恋をしている令嬢だと言う事がわかった。

「……あなたですか…何度も申しましたが、縁談をお断りさせて頂いたはずです。」

「私諦めませんわ!いつか好きになって頂きます!」

 大胆な令嬢だった。

 上の方で、アロン様がため息を吐いた。

 そして、わたしの頭を撫でる。

「……そちらのご令嬢は誰ですの?」

 背中に冷たい視線が刺さる。

「あぁ、この者は私が夢中になっている者でね、離れ難いためこうして一緒にいてるんだよ。」

「……そうですの…。」

 何かメラメラと痛い視線が感じられる。

「そのご令嬢のお顔をお見せくださらないですか?」

 ビクッと体が反応した。

 まずいと思ったその時、アロン様は私を抱きしめて首筋に顔を埋めて体を撫で回した。

 突然の刺激に声をあげないように、必死に耐えた。

「すまない、僕がこの子を離してあげられないからね。可愛い仔猫ちゃん…あぁ…愛らしい…。」

 うっとりとした声のアロン様が面白く無かったのか、令嬢は次はわたしに声をかけて来た。

「あなた、失礼ではなくて?客人に挨拶もないなんて!」

 怒る令嬢に執事としての役目が、反応して振り返ろうとした瞬間、突然頭を押さえつけられ、アロン様が近づくと唇が暖かくなった。

「なっ…⁉︎」

 後ろで動揺する令嬢を無視するようにアロン様は私の唇を優しく喰むように動かす。

 突然の事で息ができずに、涙目になりながら彼にされるがままになっていた。

「失礼しますっ…‼︎」

 後ろにいた令嬢は何も言わずに颯爽と去っていったのだった。

「…っ…アロン様っ…‼︎」

 令嬢はもう行ったと伝えようとするが、彼はなんと私の空いた唇から舌が絡ませて来た。
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