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呪いの行き先はどこへ?
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現実世界へと戻った俺は目を開けると、目の前にいたルオーネがこちらをじっと見つめていた。突然のことに驚き、慌てて後ろに下がると足がもつれて背中から倒れてしまった。
「え⁉︎大丈夫⁉︎」
「あ、あぁ。大丈夫だ。少し驚いただけだ」
俺は立ち上がると、ちょうどリフィーが目を開けてこちらを見て尋ねてきた。
「スグルさん、どうでしたか?手がかりはありましたか?」
「あぁ、しっかり見つけてきたよ。ジェットとルオーネも来てくれないか?」
ジェットとルオーネが俺とリフィーの近くに来たので、早速リフィーの記憶で見たことを[記憶共有]を使って確認させてみた。
「どうだ?2人に心当たりはないか?」
「すまん、流石に顔がわからないと無理だな」
「声も何かくぐもって聞き取りづらいわね」
流石に2人ともローブを被った状態では判別ができなかった。
「リフィー、君はどうだ?」
「そうですね。私はこの人に会いましたが、何かうまく思い出すことができません。どうにも男性にも女性にも考えるほど感じてしまいます」
(会った本人でさえ思い出すことができないだと?)
『マスター。この旅人はおそらく認識阻害のスキル又は魔道具を持っていると思われます』
(認識阻害だと?)
『はい。先程ルオーネの言った「くぐもった声」、リフィーが言った「考えるほど男性にも女性にも感じる」。これは認識阻害されている際に起こる状態です』
(その認識阻害は何とかならないのか?)
『これに関しては無理ですね。そのようなスキルもありません』
(認識阻害か…。やっぱりこの旅人はリフィーを目的に襲ったということか。じゃあ何が目的だったんだ?いくら村長の娘だからといってこんな村だ。金なんかほとんどない。なら他に何がある?考えろ…考えろ…!)
「スグルさん?…スグルさーん!」
旅人が何が目的でこのような行動を起こしているのかを考えている時、リフィーの声に驚き、顔を上げると3人が俺の顔を覗き込んでいた。
「どうかしたのですか?」
「いや、何の目的があってリフィーに近づいたのだろうと思ってな」
「ところでスグル。どうして貴方、その旅人にこだわるの?」
リフィーたちが病気だと思っていたものが実は呪いだったと言うべきかどうか俺は迷った。呪いをかけるくらいだ。相手は彼らに何かしらの怨みがあるのだろう。どうしようか…。
『話しても問題ないと思います』
(どうしてだ?もしかしたらパニックになるかもしれないぞ?)
『彼らもマスターと同じく冒険者。生きていれば1人や2人には怨まれることなどよくあることです』
アリスの言葉にその通りだと感じた俺はジェットたちにリフィーの病気の真実を告げた。
「何⁉︎リフィーに呪いがかかっていただと⁉︎一体、誰がそんなことを!」
「ス、スグル⁉︎それは大丈夫なの⁉︎リフィーは無事なの⁉︎」
「落ち着け、2人とも。リフィーは無事だ。俺が解呪しておいた」
「良かったぁーー」
突然のカミングアウトに動揺を隠せなかったルオーネだったが、俺がもう解呪したと伝えると安心してしまったのか膝から崩れ落ちてしまった。一方、ジェットは怒りが収まりきれず壁を殴っていた。
「スグル。…アイツがリフィーに呪いをかけたのか?」
「…そうだ。記憶の中で旅人がリフィーに呪いをかけた魔力を感じ取ったからな」
「リフィーに呪いをかけたんだ。ただじゃおかねぇ。絶対に見つけ出してやる!」
(あーあ。どうやって治めようかなぁ)
そんなことを考えていると、リフィーが俺に不安そうに話しかけてきた。
「ス、スグルさん。そ、その…私、また狙われないですよね…?」
すると先程まで怒りに狂っていたジェットと安心して涙を流していたルオーネは再び、俺の元へ詰め寄ってきた。
「どうなんだ?スグル!」
「大丈夫よね?そうよね?」
「大丈夫だ。だから落ち着け2人とも。そんなんじゃ返ってリフィーを不安にさせるだけだろうが。それになリフィー、安心しろ。おそらくあの旅人は今頃、自分自身に苦しんでいるはずだからな」
「どういうことですか?」
「さっき呪いを解呪したって言っただろ?実は解呪には呪いを綺麗に消滅させることもできるんだが、今回は術者に呪い返しするようにしたんだ。おそらく今頃、あの旅人はリフィーの呪いを返されて苦しんでるだろうぜ。だからお前を襲うヤツはもう来ねえから安心しろ」
俺はそう言ってリフィーを安心させた。
「え⁉︎大丈夫⁉︎」
「あ、あぁ。大丈夫だ。少し驚いただけだ」
俺は立ち上がると、ちょうどリフィーが目を開けてこちらを見て尋ねてきた。
「スグルさん、どうでしたか?手がかりはありましたか?」
「あぁ、しっかり見つけてきたよ。ジェットとルオーネも来てくれないか?」
ジェットとルオーネが俺とリフィーの近くに来たので、早速リフィーの記憶で見たことを[記憶共有]を使って確認させてみた。
「どうだ?2人に心当たりはないか?」
「すまん、流石に顔がわからないと無理だな」
「声も何かくぐもって聞き取りづらいわね」
流石に2人ともローブを被った状態では判別ができなかった。
「リフィー、君はどうだ?」
「そうですね。私はこの人に会いましたが、何かうまく思い出すことができません。どうにも男性にも女性にも考えるほど感じてしまいます」
(会った本人でさえ思い出すことができないだと?)
『マスター。この旅人はおそらく認識阻害のスキル又は魔道具を持っていると思われます』
(認識阻害だと?)
『はい。先程ルオーネの言った「くぐもった声」、リフィーが言った「考えるほど男性にも女性にも感じる」。これは認識阻害されている際に起こる状態です』
(その認識阻害は何とかならないのか?)
『これに関しては無理ですね。そのようなスキルもありません』
(認識阻害か…。やっぱりこの旅人はリフィーを目的に襲ったということか。じゃあ何が目的だったんだ?いくら村長の娘だからといってこんな村だ。金なんかほとんどない。なら他に何がある?考えろ…考えろ…!)
「スグルさん?…スグルさーん!」
旅人が何が目的でこのような行動を起こしているのかを考えている時、リフィーの声に驚き、顔を上げると3人が俺の顔を覗き込んでいた。
「どうかしたのですか?」
「いや、何の目的があってリフィーに近づいたのだろうと思ってな」
「ところでスグル。どうして貴方、その旅人にこだわるの?」
リフィーたちが病気だと思っていたものが実は呪いだったと言うべきかどうか俺は迷った。呪いをかけるくらいだ。相手は彼らに何かしらの怨みがあるのだろう。どうしようか…。
『話しても問題ないと思います』
(どうしてだ?もしかしたらパニックになるかもしれないぞ?)
『彼らもマスターと同じく冒険者。生きていれば1人や2人には怨まれることなどよくあることです』
アリスの言葉にその通りだと感じた俺はジェットたちにリフィーの病気の真実を告げた。
「何⁉︎リフィーに呪いがかかっていただと⁉︎一体、誰がそんなことを!」
「ス、スグル⁉︎それは大丈夫なの⁉︎リフィーは無事なの⁉︎」
「落ち着け、2人とも。リフィーは無事だ。俺が解呪しておいた」
「良かったぁーー」
突然のカミングアウトに動揺を隠せなかったルオーネだったが、俺がもう解呪したと伝えると安心してしまったのか膝から崩れ落ちてしまった。一方、ジェットは怒りが収まりきれず壁を殴っていた。
「スグル。…アイツがリフィーに呪いをかけたのか?」
「…そうだ。記憶の中で旅人がリフィーに呪いをかけた魔力を感じ取ったからな」
「リフィーに呪いをかけたんだ。ただじゃおかねぇ。絶対に見つけ出してやる!」
(あーあ。どうやって治めようかなぁ)
そんなことを考えていると、リフィーが俺に不安そうに話しかけてきた。
「ス、スグルさん。そ、その…私、また狙われないですよね…?」
すると先程まで怒りに狂っていたジェットと安心して涙を流していたルオーネは再び、俺の元へ詰め寄ってきた。
「どうなんだ?スグル!」
「大丈夫よね?そうよね?」
「大丈夫だ。だから落ち着け2人とも。そんなんじゃ返ってリフィーを不安にさせるだけだろうが。それになリフィー、安心しろ。おそらくあの旅人は今頃、自分自身に苦しんでいるはずだからな」
「どういうことですか?」
「さっき呪いを解呪したって言っただろ?実は解呪には呪いを綺麗に消滅させることもできるんだが、今回は術者に呪い返しするようにしたんだ。おそらく今頃、あの旅人はリフィーの呪いを返されて苦しんでるだろうぜ。だからお前を襲うヤツはもう来ねえから安心しろ」
俺はそう言ってリフィーを安心させた。
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