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呪いの術者

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「[記憶視認メモリーチェック]」

魔法を唱えると、俺はリフィーの記憶の中に引きずり込まれた。記憶の中に降り立った俺は先程リフィーが言った3ヶ月前の記憶を探していた。

「………これか?」

そこにはベッドにまだ横たわっていないリフィーの姿が写し出された絵が飾ってあった。

『マスター、これが3ヶ月前のリフィーの記憶のようです』

アリスからのお墨付きを得たのであとは記憶を見るだけなのだが、どうすればいいのかがわからなかった。

「アリス。この記憶を見るためにどうすればいいんだ?」

『簡単です。その絵に触れてください』

俺は言われた通り、右手で絵に触れた。すると絵から突然、光が溢れ出しあまりの眩しさに俺は目を瞑ってしまった。

『マスター、もう大丈夫です。目を開けてください』

恐る恐る目を開けてみると、そこは先程までいたアガラス村だった。しかし何か違和感がある…。

「もしかしてここが記憶の世界か?」

『その通りです、マスター』

やはりか。さてとリフィーはどこに…いた。少し離れた先にリフィーがそこにいた。しかし、誰かと一緒にいるようだ。

「近づいてみるか」

見つからないよう民家によって生まれた死角から近づこうとすると

『すみません、マスター。一つお伝えすることを忘れていました』

「なんだ?」

『先程マスターが死角から近づこうとしてましたが、実はこの世界ではマスターのことを認識することができないので別にこっそり近づこうとしなくても大丈夫です』

「それを早く言えーー!」

少し恥ずかしい気持ちをしながらリフィーの元へ近づくと、フードを被った怪しそうなやつがリフィーの目の前にいた。どうやら近くにジェットとルオーネがいないときに近づいてきたようだな。

「アリス、ここから先の記憶って見れるか?」

『はい。マスターが再生スタートと言えばここから動き出します』

「分かった。……再生」

すると先程まで静止画のように動いていなかった周りが動き出した。俺はリフィーと謎の人間の会話を聞いていた。

「こんにちは、お嬢さん。こんなところでどうしたのですか」

「いえただ散歩していただけです。あなたは何をしているのですか?」

「私ですか?私はここで少し休憩をしていたところです。少々長旅で体を休める場所を探していたところ、この村を見つけたので少しの間休憩しようと思いましてね」

「旅人さんですか。なぜ旅をしているのですか?」

「私、しがない魔法使いなのですがこのように弱い魔法しか使えないのですが、魔法を動きを制御することができるのでちょっとした見せ物として活動しているのですよ」

旅人は手から拳よりも一回り小さい炎を出すと、自身の体の周りを回転させ自由自在に動かしていた。

「すごいですね!魔法の制御ってかなり難しいはずなのに。他にどんなことをやられるのですか?」

「そうですね…。では、こちらを」

旅人は後ろのリュックからリングを3つ取り出し、それをリフィーに手渡した。

「こちらのリングを投げてみて下さい」

「え?でもそんなことしたら無くしてしまいますよ」

「大丈夫です。無くすことはありませんので」

「…分かりました」

リフィーは不安そうな顔をしながら思いっきりリングを投げた。旅人はリングをチラッと見ると、手のひらに先程と同じ炎を出し動くリングを連続で命中させた。

「すごいです!私、かなり強く投げたはずですけどよくあんな綺麗に当てれますね!」

「魔法の制御だけは自信があるんです」

その後も色々な芸を見せていく旅人。しかしある時、

「おっと、そろそろ私も出発しなければ」

少し急いだ様子で旅人は小道具を片付け始めた。当然、芸をずっと見ていたリフィーも片付けの手伝いをしていた。

「旅人さん、どうぞ」

「ありがとうございます」

リフィーの両手にある小道具を受け取ろうとした瞬間、旅人から魔力を感じ取れた。それも先程までとは異質の魔力だった。

「アリス、もしかして今のが…」

『おそらくその通りだと思います。リフィーはこの時、呪いをかけられたのだと思います』

「やっぱりか。しかしこの魔力の流れ方。これじゃあ気づかなくても仕方ないな」

先程の炎を出す時も、旅人はとても少ない魔力で魔法を出していた。この呪いもとても少ない魔力で構築されていた。

「しかもこいつそこそこ強いんじゃないか?さっきの炎も全てして魔法唱えてるし」

『そうですね。おそらくルオーネと同等あたりだと思われます』

「めんどくさい相手だなぁ。まぁ、とりあえず呪いをかけた奴がわかったし脱出しようぜ」

アリスの案内のもと、俺はリフィーの記憶から脱出をしたのだった。
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