上 下
41 / 42

呪いの術者

しおりを挟む
「[記憶視認メモリーチェック]」

魔法を唱えると、俺はリフィーの記憶の中に引きずり込まれた。記憶の中に降り立った俺は先程リフィーが言った3ヶ月前の記憶を探していた。

「………これか?」

そこにはベッドにまだ横たわっていないリフィーの姿が写し出された絵が飾ってあった。

『マスター、これが3ヶ月前のリフィーの記憶のようです』

アリスからのお墨付きを得たのであとは記憶を見るだけなのだが、どうすればいいのかがわからなかった。

「アリス。この記憶を見るためにどうすればいいんだ?」

『簡単です。その絵に触れてください』

俺は言われた通り、右手で絵に触れた。すると絵から突然、光が溢れ出しあまりの眩しさに俺は目を瞑ってしまった。

『マスター、もう大丈夫です。目を開けてください』

恐る恐る目を開けてみると、そこは先程までいたアガラス村だった。しかし何か違和感がある…。

「もしかしてここが記憶の世界か?」

『その通りです、マスター』

やはりか。さてとリフィーはどこに…いた。少し離れた先にリフィーがそこにいた。しかし、誰かと一緒にいるようだ。

「近づいてみるか」

見つからないよう民家によって生まれた死角から近づこうとすると

『すみません、マスター。一つお伝えすることを忘れていました』

「なんだ?」

『先程マスターが死角から近づこうとしてましたが、実はこの世界ではマスターのことを認識することができないので別にこっそり近づこうとしなくても大丈夫です』

「それを早く言えーー!」

少し恥ずかしい気持ちをしながらリフィーの元へ近づくと、フードを被った怪しそうなやつがリフィーの目の前にいた。どうやら近くにジェットとルオーネがいないときに近づいてきたようだな。

「アリス、ここから先の記憶って見れるか?」

『はい。マスターが再生スタートと言えばここから動き出します』

「分かった。……再生」

すると先程まで静止画のように動いていなかった周りが動き出した。俺はリフィーと謎の人間の会話を聞いていた。

「こんにちは、お嬢さん。こんなところでどうしたのですか」

「いえただ散歩していただけです。あなたは何をしているのですか?」

「私ですか?私はここで少し休憩をしていたところです。少々長旅で体を休める場所を探していたところ、この村を見つけたので少しの間休憩しようと思いましてね」

「旅人さんですか。なぜ旅をしているのですか?」

「私、しがない魔法使いなのですがこのように弱い魔法しか使えないのですが、魔法を動きを制御することができるのでちょっとした見せ物として活動しているのですよ」

旅人は手から拳よりも一回り小さい炎を出すと、自身の体の周りを回転させ自由自在に動かしていた。

「すごいですね!魔法の制御ってかなり難しいはずなのに。他にどんなことをやられるのですか?」

「そうですね…。では、こちらを」

旅人は後ろのリュックからリングを3つ取り出し、それをリフィーに手渡した。

「こちらのリングを投げてみて下さい」

「え?でもそんなことしたら無くしてしまいますよ」

「大丈夫です。無くすことはありませんので」

「…分かりました」

リフィーは不安そうな顔をしながら思いっきりリングを投げた。旅人はリングをチラッと見ると、手のひらに先程と同じ炎を出し動くリングを連続で命中させた。

「すごいです!私、かなり強く投げたはずですけどよくあんな綺麗に当てれますね!」

「魔法の制御だけは自信があるんです」

その後も色々な芸を見せていく旅人。しかしある時、

「おっと、そろそろ私も出発しなければ」

少し急いだ様子で旅人は小道具を片付け始めた。当然、芸をずっと見ていたリフィーも片付けの手伝いをしていた。

「旅人さん、どうぞ」

「ありがとうございます」

リフィーの両手にある小道具を受け取ろうとした瞬間、旅人から魔力を感じ取れた。それも先程までとは異質の魔力だった。

「アリス、もしかして今のが…」

『おそらくその通りだと思います。リフィーはこの時、呪いをかけられたのだと思います』

「やっぱりか。しかしこの魔力の流れ方。これじゃあ気づかなくても仕方ないな」

先程の炎を出す時も、旅人はとても少ない魔力で魔法を出していた。この呪いもとても少ない魔力で構築されていた。

「しかもこいつそこそこ強いんじゃないか?さっきの炎も全てして魔法唱えてるし」

『そうですね。おそらくルオーネと同等あたりだと思われます』

「めんどくさい相手だなぁ。まぁ、とりあえず呪いをかけた奴がわかったし脱出しようぜ」

アリスの案内のもと、俺はリフィーの記憶から脱出をしたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。 異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。 そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。 異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。 龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。 現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。 牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子 信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。 初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった *** 異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

処理中です...