上 下
31 / 42

Sランクの冒険者

しおりを挟む
「なぁ坊主、Aランクなんだってなぁ。だったら俺たち2人と模擬戦してくれねぇか?」

俺の肩を叩いた男が俺にそう言うと

「お、おい!あの2人…もしかして⁉︎」

「あぁ、間違いねぇ!この街のSランク冒険者の《烈火》のジェットと《氷風》のルオーネだ!」

周りの冒険者たちが再びガヤガヤと騒ぎ出した。

「うるさいわね~、私たち2人がいるくらいで。
ねぇ、ジェット?」

「そうだなルオーネ。だからといって魔法をここで放つなよ?」

「当たり前じゃな~い!こんなとこで放ったら死人がたくさん出ちゃうわ~」

それを聞いた冒険者たちは「ヒッ⁉︎」と言って、先ほどの騒ぎがなかったかのように静かになった。

「さて、静かになったところで坊主。俺たちと模擬戦をしてくれねぇか?」

再びジェットが俺に聞いてきた。

「そうだな、俺も少し体が鈍ってたんだ。どうせなら手合わせ願おう」

俺の返答を聞いたジェットとルオーネは

「よし!ならばこの下の闘技場でやろうぜ!」

「久々の対人戦ですわ~」

と言って、階段を降りていった。
2人がいなくなるとリーリアが

「ス、スグルさん…良かったんですか?模擬戦なんかを受けてしまって」

不思議そうに聞くリーリアに俺は

「Sランク冒険者がどのくらいの実力なのかを知っておきたかったしな。それに久々に本気でやれるかもしれないからな」

そう言って階段の方へと向かった。




俺が下に降りると、すでに闘技場の周りには多くの冒険者で埋め尽くされていた。ジェットとルオーネは俺の姿を見つけると、待ってたかのように笑顔を浮かべ始めた。

「さて、準備はできたか?坊主」

「いい加減坊主はやめてくれ。俺の名はスグルだ」

「そうか、じゃあスグル!準備は良いか?」

「あぁ、ところでルールは?」

「ルールに関してはどちらかが先に気絶、または降参をした方が負けでいいかしら?あっ!買った方は負けた方の財産の1割を頂くでよいですか?」

「わかった、それで構わん。ところで先に戦うのはどっちだ?」

「「俺(私)だ(よ)!」」

(…………ん?)

「おいおいルオーネ、何言ってんだ?先にスグルと闘うのは俺とに決まってるだろ?誰が声をかけたと思ってるんだ?」

「ジェットこそ何言ってるのかしら?そもそも彼に声をかけるように言ったのは私よ?私が先に闘う権利があるに決まってるじゃない」

「だが実際、俺のお陰で闘えるんだぞ?」

「あら、それなら普段誰のおかげで前線に立てているのかしら?」

「ガハハハッ、それなら今ここでお前と闘って決めてもいいんだぜ?」

「フフフッ、それもいいわね」

(やばい、なんか2人の後ろに何かが見えるんだが…。てか、そんなことよりどうしような。このままだと2人とも闘って決めるぞ?よし、アリス!2人が闘わなくて済む良い方法はないか?)

『ではマスター、こんなのはどうでしょうか?』

(ふむふむ、シンプルだが一番無難そうだな)

「なぁ、2人とも。このまま闘って決めるのも良いが、それじゃあ俺と闘う時、2人は不利だろ?」

「そうだな、いくら俺でもルオーネと闘った後からスグルとやり合うのは少しキツイな」

「私も同じですわ」

「だったらコインで決めればよくないか?今、ここにちょうど銀貨がある。2人はそれぞれ表と裏のどちらかを選んで当てた方が俺と闘うでどうだ?」

「その意見、乗った!」

「私も乗るわ」

「なら今から俺がこの銀貨を弾くから表か裏かを言ってくれ」

「「裏(表)だ(よ)!」

俺は銀貨を親指で上に弾き、落ちてきたところを手の甲で銀貨を取った。

「……………裏だ」

「良し!じゃあ先は俺だな」

「仕方ないわね、先は譲るわ」

そう言ってルオーネは闘技場の外に出た。

「それじゃあスグル、殺り合おうか」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。 異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。 そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。 異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。 龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。 現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

ぽっちゃり無双 ~まんまる女子、『暴食』のチートスキルで最強&飯テロ異世界生活を満喫しちゃう!~

空戯K
ファンタジー
ごく普通のぽっちゃり女子高生、牧 心寧(まきころね)はチートスキルを与えられ、異世界で目を覚ました。 有するスキルは、『暴食の魔王』。 その能力は、“食べたカロリーを魔力に変換できる”というものだった。 強大なチートスキルだが、コロネはある裏技に気づいてしまう。 「これってつまり、適当に大魔法を撃つだけでカロリー帳消しで好きなもの食べ放題ってこと!?」 そう。 このチートスキルの真価は新たな『ゼロカロリー理論』であること! 毎日がチートデーと化したコロネは、気ままに無双しつつ各地の異世界グルメを堪能しまくる! さらに、食に溺れる生活を楽しんでいたコロネは、次第に自らの料理を提供したい思いが膨らんできて―― 「日本の激ウマ料理も、異世界のド級ファンタジー飯も両方食べまくってやるぞぉおおおおおおおお!!」 コロネを中心に異世界がグルメに染め上げられていく! ぽっちゃり×無双×グルメの異世界ファンタジー開幕! ※基本的に主人公は少しずつ太っていきます。 ※45話からもふもふ登場!!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

処理中です...