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絆の花
第41話:心の叫び
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「え?」
どうして…。
なんでお兄ちゃんが知ってるの?
このことを知ってるのは私のクラスだけなのに。
「さっきのクラスの雰囲気、美月の表情から察するに、事件だと思ったんだけど」
お兄ちゃんの鋭い観察力に、私は驚いた。
「じゃあ、誰かがわざとこんなことしたってこと?」
私はあえて知らないふりをした。
お兄ちゃんに心配かけたくなかったから。
私のことを嫌ってる誰かがこんなことをしたなんて知ったら…。
それに、犯人が誰かもまだ分かっていないのに。
「違う?」
お兄ちゃんの問いに、私は答えに詰まった。
なんて答えるのが…、
「まさか…。違うよ。なんでそんな勘違いしたのか分からないけど、全然違う」
私は必死に否定した。
「じゃあなんでそんな悲しそうな顔してるの?」
お兄ちゃんの言葉に、私は心が痛んだ。
「別に、」
私は視線をそらした。
「美月、正直に言ってよ」
お兄ちゃんの真剣な声に、私は心が揺れた。
あれは事故なんかじゃない。
私のことを嫌いな誰かがしたことだって…?
そんなの勘違いに決まってる…!
誰がなんて言おうと
「あれは、事故なんだよ…!」
私は叫んだ。
「美月、?」
お兄ちゃんは驚いた様子だった。
現実に目を背けてたって意味ないのに。
お兄ちゃんに八つ当たりしたって意味ないのに。
「ごめん、」
私は涙をこらえながら謝った。
どうしちゃったんだろ、私…。
「…分かった」
お兄ちゃんは黙って部屋を出ようとした。
お兄ちゃんが怒って立ち去るんだと思った。
私はその背中を見つめ、心が張り裂けそうになった。
どうしてもこのままじゃいけないと思って、急いで立ち上がった。
足の痛みなんて今はどうでもよかった。
「待って!」
私は叫びながら、お兄ちゃんの背中にしがみついた。
涙が溢れ出し、止まらなかった。
本当はすっごく怖かった。
犯人探しなんて止めようよ。
なんて、みんなの前ではそう言ったけど、本当は自分のことを嫌ってる人がいるのが怖かった。
お兄ちゃんにまで嫌われたくなかった。
「ごめん。嘘ついた」
私は震える声で言った。
お兄ちゃんの背中に顔を埋め、涙が止まらなかった。
私は自分の弱さを感じていた。
でも、それでもいいと思った。
今はただ、お兄ちゃんにそばにいて欲しかった。
「美月…?」
お兄ちゃんは驚いて振り向いた。
その目には心配と優しさが溢れていた。
私はその目を見て、少しだけ安心した。
「一人にしないで…お願い…」
私は必死に訴えた。
お兄ちゃんの温かさを感じながら、どうしても一人になりたくなかった。
どうして…。
なんでお兄ちゃんが知ってるの?
このことを知ってるのは私のクラスだけなのに。
「さっきのクラスの雰囲気、美月の表情から察するに、事件だと思ったんだけど」
お兄ちゃんの鋭い観察力に、私は驚いた。
「じゃあ、誰かがわざとこんなことしたってこと?」
私はあえて知らないふりをした。
お兄ちゃんに心配かけたくなかったから。
私のことを嫌ってる誰かがこんなことをしたなんて知ったら…。
それに、犯人が誰かもまだ分かっていないのに。
「違う?」
お兄ちゃんの問いに、私は答えに詰まった。
なんて答えるのが…、
「まさか…。違うよ。なんでそんな勘違いしたのか分からないけど、全然違う」
私は必死に否定した。
「じゃあなんでそんな悲しそうな顔してるの?」
お兄ちゃんの言葉に、私は心が痛んだ。
「別に、」
私は視線をそらした。
「美月、正直に言ってよ」
お兄ちゃんの真剣な声に、私は心が揺れた。
あれは事故なんかじゃない。
私のことを嫌いな誰かがしたことだって…?
そんなの勘違いに決まってる…!
誰がなんて言おうと
「あれは、事故なんだよ…!」
私は叫んだ。
「美月、?」
お兄ちゃんは驚いた様子だった。
現実に目を背けてたって意味ないのに。
お兄ちゃんに八つ当たりしたって意味ないのに。
「ごめん、」
私は涙をこらえながら謝った。
どうしちゃったんだろ、私…。
「…分かった」
お兄ちゃんは黙って部屋を出ようとした。
お兄ちゃんが怒って立ち去るんだと思った。
私はその背中を見つめ、心が張り裂けそうになった。
どうしてもこのままじゃいけないと思って、急いで立ち上がった。
足の痛みなんて今はどうでもよかった。
「待って!」
私は叫びながら、お兄ちゃんの背中にしがみついた。
涙が溢れ出し、止まらなかった。
本当はすっごく怖かった。
犯人探しなんて止めようよ。
なんて、みんなの前ではそう言ったけど、本当は自分のことを嫌ってる人がいるのが怖かった。
お兄ちゃんにまで嫌われたくなかった。
「ごめん。嘘ついた」
私は震える声で言った。
お兄ちゃんの背中に顔を埋め、涙が止まらなかった。
私は自分の弱さを感じていた。
でも、それでもいいと思った。
今はただ、お兄ちゃんにそばにいて欲しかった。
「美月…?」
お兄ちゃんは驚いて振り向いた。
その目には心配と優しさが溢れていた。
私はその目を見て、少しだけ安心した。
「一人にしないで…お願い…」
私は必死に訴えた。
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