40 / 46
絆の花
第39話:疑惑の矢
しおりを挟む
そう言ったのは、ドレスが破られた日、犯人は私だって陰口を言っていた子だった。
私はその言葉に驚き、立ち尽くした。
「ちょっと美月になんてこと言うのよ!」
歩乃華が何も言えない私の代わりに怒ってくれた。
「ドレスの件の時から思ってたけど、全部あんたが仕組んだことじゃないの」
その言葉に、私は心臓が締め付けられそうな思いだった。
「だから、私はそんなことしてないよ」
私は必死に反論した。
あの時、分かって貰えたと思ったのに。
「そうよ!どうして美月がそんなことするのよ!劇の練習一番頑張ってたのは美月なんだよ!?」
歩乃華…。
歩乃華の言葉に、私は少し救われた気がした。
「だからだよ」
その冷たい言葉に、私は再び不安に襲われた。
「だから?」
私は不安な気持ちで尋ねた。
「一番練習を頑張っておけば、自分は犯人だって思われないだろうって魂胆なのよ」
そんな風に思われてたなんて。
私は、そんなために練習を頑張ってたわけじゃないのに。
私はただ、みんなのために…。
涙が溢れそうになった。
「あんたどれだけひねくれてるわけ!?」
歩乃華が再び怒りを露わにした。
「犯人探しを頑なにしようとしないのも、自分が犯人だってバレたくないから。悲劇のヒロインを演じて、その癖に犯人のことを庇えば自分の株が上がるって思ったんだよ」
全部、全部間違ってる。
「私が犯人探しをしようとしなかったのは、せっかく文化祭のおかげで仲良くなったのに、それが台無しになる方が嫌だったから」
どうしたら分かってもらえるだろうか。
私だけが我慢すれば終わる話。
犯人探しをすることで、みんなの仲が崩れる方がいやだから。
「美月は自分が犠牲になっても、他の人が喜ぶならそれでいいって思う子なのよ!そんな子がこんな悪質なことするわけないでしょ!?」
歩乃華も説得しようとしてくれた。
「さぁ、どうだか」
その冷たい言葉に、私は心が折れそうになった。
「あんたねぇ!」
歩乃華がさらに声を荒げた。
「ねぇ、」
今までずっと黙って聞いていた蒼大が口を開いた。
「な、何よ」
彼女の声には苛立ちが滲んでいた。
「あの時、俺が言ったこともう忘れたの」
「は?あの時?なんの事だかさっぱり」
彼女は困惑した様子だった。
「次、理由もなく美月のこと傷つけようとしたら許さない。そう言ったはずだけど」
「理由なら今言った通りだけど」
彼女の声は冷たかった。
「美月が犯人だって証拠あんの?ないよな?美月は犯人じゃないからな」
私の大切な人達が私のことを信じてくれる。
それで十分だった。
「…ないけど、私は勝手に黒だと思っとく」
その言葉に、私はもう何かを言う気力すらなくなって、ただ立ち尽くすしかなかった。
私はその言葉に驚き、立ち尽くした。
「ちょっと美月になんてこと言うのよ!」
歩乃華が何も言えない私の代わりに怒ってくれた。
「ドレスの件の時から思ってたけど、全部あんたが仕組んだことじゃないの」
その言葉に、私は心臓が締め付けられそうな思いだった。
「だから、私はそんなことしてないよ」
私は必死に反論した。
あの時、分かって貰えたと思ったのに。
「そうよ!どうして美月がそんなことするのよ!劇の練習一番頑張ってたのは美月なんだよ!?」
歩乃華…。
歩乃華の言葉に、私は少し救われた気がした。
「だからだよ」
その冷たい言葉に、私は再び不安に襲われた。
「だから?」
私は不安な気持ちで尋ねた。
「一番練習を頑張っておけば、自分は犯人だって思われないだろうって魂胆なのよ」
そんな風に思われてたなんて。
私は、そんなために練習を頑張ってたわけじゃないのに。
私はただ、みんなのために…。
涙が溢れそうになった。
「あんたどれだけひねくれてるわけ!?」
歩乃華が再び怒りを露わにした。
「犯人探しを頑なにしようとしないのも、自分が犯人だってバレたくないから。悲劇のヒロインを演じて、その癖に犯人のことを庇えば自分の株が上がるって思ったんだよ」
全部、全部間違ってる。
「私が犯人探しをしようとしなかったのは、せっかく文化祭のおかげで仲良くなったのに、それが台無しになる方が嫌だったから」
どうしたら分かってもらえるだろうか。
私だけが我慢すれば終わる話。
犯人探しをすることで、みんなの仲が崩れる方がいやだから。
「美月は自分が犠牲になっても、他の人が喜ぶならそれでいいって思う子なのよ!そんな子がこんな悪質なことするわけないでしょ!?」
歩乃華も説得しようとしてくれた。
「さぁ、どうだか」
その冷たい言葉に、私は心が折れそうになった。
「あんたねぇ!」
歩乃華がさらに声を荒げた。
「ねぇ、」
今までずっと黙って聞いていた蒼大が口を開いた。
「な、何よ」
彼女の声には苛立ちが滲んでいた。
「あの時、俺が言ったこともう忘れたの」
「は?あの時?なんの事だかさっぱり」
彼女は困惑した様子だった。
「次、理由もなく美月のこと傷つけようとしたら許さない。そう言ったはずだけど」
「理由なら今言った通りだけど」
彼女の声は冷たかった。
「美月が犯人だって証拠あんの?ないよな?美月は犯人じゃないからな」
私の大切な人達が私のことを信じてくれる。
それで十分だった。
「…ないけど、私は勝手に黒だと思っとく」
その言葉に、私はもう何かを言う気力すらなくなって、ただ立ち尽くすしかなかった。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない
絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる