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絆の花
第35話:守られた約束
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「美月ー!大丈夫かー!」
歩乃華の声が聞こえてきた。
私は少しホッとしながら答えた。
「歩乃華大丈夫だよ、」
心配させたくなかった。、
「どこか怪我は?」
「してないよ」
私は笑顔を作って答えたけど、足がジンジン痛かった。
「っ、はぁ、良かった」
歩乃華が安堵の息をついた。
「心配かけてごめんね」
「もう、歩乃華が謝ることないよ」
歩乃華の優しさに胸が温かくなった。
「みんなとりあえず移動してってー」
監督の声が響いた。
「了解、美月教室戻ろ」
歩乃華が私に言った。
「う、うん」
私は頷いた。
これ以上歩けるかな、
「美月」
蒼大の声が聞こえた。
「ん?」
私は振り向いた。
「ちょっとごめんね」
蒼大が私に近づき、突然お姫様抱っこをした。
「そ、蒼大、何、ちょっと、」
驚いていると、
「歩乃華ちゃんごめん。美月は教室じゃなくて、先に保健室に行かなくちゃいけないから」
「え、やっぱりどっか怪我してるの!?」
歩乃華が驚いた声を上げた。
「いや、大した怪我じゃなくて」
私は落ち着いた声で答えた。
どうしよう、怪我のことがみんなに知られたら、きっと、
「みんなには怪我のことは内緒にしておいてくれる?」
蒼大の頼みに、歩乃華は頷いた。
「オッケー!みんなにはただちょっと遅れるって伝えとく」
歩乃華の言葉に、私は少し安心した。
「ありがとう。助かる」
歩乃華は心配そうに私を見つめた後、頷いてから教室へと向かって歩き出した。
彼女の背中が見えなくなるまで、私はその場に立ち尽くしていた。
「ねぇ、蒼大、」
私は小さな声で尋ねた。
「ん?」
蒼大が優しく答えた。
「…気づいてたの、?」
「もちろん」
「バレないようにしてたんだけどな、」
私は苦笑いを浮かべた。
「俺は気づくよ。美月の彼氏なんだから」
蒼大の言葉に、胸が熱くなった。
「蒼大、」
「頑張ったね」
そう言って、蒼大は優しく頭を撫でてくれた。
「助けてくれてありがとう」
私は涙が出そうになった。
「言ったでしょ。美月を守れるように、俺がずっとそばにいるって」
「うん」
私は頷いた。
「というか、この足でよく演技続けられたね」
蒼大が驚いたように言った。
「どうしても成功させたくて」
必死に痛いのを我慢した。
だけど、痛みで頭がいっぱいになったおかげで、緊張せずに終われた。
「そっか」
蒼大が微笑んだ。
「蒼大のおかげ」
「え?」
蒼大が驚いたように聞き返した。
「あの時、私の名前じゃなくてリリィって呼んでくれたから続けられた」
私はその時のことを思い出して言った。
「美月が、劇を続けられなかったらまた自分のせいにしちゃいそうだったから」
…私のために。
歩乃華の声が聞こえてきた。
私は少しホッとしながら答えた。
「歩乃華大丈夫だよ、」
心配させたくなかった。、
「どこか怪我は?」
「してないよ」
私は笑顔を作って答えたけど、足がジンジン痛かった。
「っ、はぁ、良かった」
歩乃華が安堵の息をついた。
「心配かけてごめんね」
「もう、歩乃華が謝ることないよ」
歩乃華の優しさに胸が温かくなった。
「みんなとりあえず移動してってー」
監督の声が響いた。
「了解、美月教室戻ろ」
歩乃華が私に言った。
「う、うん」
私は頷いた。
これ以上歩けるかな、
「美月」
蒼大の声が聞こえた。
「ん?」
私は振り向いた。
「ちょっとごめんね」
蒼大が私に近づき、突然お姫様抱っこをした。
「そ、蒼大、何、ちょっと、」
驚いていると、
「歩乃華ちゃんごめん。美月は教室じゃなくて、先に保健室に行かなくちゃいけないから」
「え、やっぱりどっか怪我してるの!?」
歩乃華が驚いた声を上げた。
「いや、大した怪我じゃなくて」
私は落ち着いた声で答えた。
どうしよう、怪我のことがみんなに知られたら、きっと、
「みんなには怪我のことは内緒にしておいてくれる?」
蒼大の頼みに、歩乃華は頷いた。
「オッケー!みんなにはただちょっと遅れるって伝えとく」
歩乃華の言葉に、私は少し安心した。
「ありがとう。助かる」
歩乃華は心配そうに私を見つめた後、頷いてから教室へと向かって歩き出した。
彼女の背中が見えなくなるまで、私はその場に立ち尽くしていた。
「ねぇ、蒼大、」
私は小さな声で尋ねた。
「ん?」
蒼大が優しく答えた。
「…気づいてたの、?」
「もちろん」
「バレないようにしてたんだけどな、」
私は苦笑いを浮かべた。
「俺は気づくよ。美月の彼氏なんだから」
蒼大の言葉に、胸が熱くなった。
「蒼大、」
「頑張ったね」
そう言って、蒼大は優しく頭を撫でてくれた。
「助けてくれてありがとう」
私は涙が出そうになった。
「言ったでしょ。美月を守れるように、俺がずっとそばにいるって」
「うん」
私は頷いた。
「というか、この足でよく演技続けられたね」
蒼大が驚いたように言った。
「どうしても成功させたくて」
必死に痛いのを我慢した。
だけど、痛みで頭がいっぱいになったおかげで、緊張せずに終われた。
「そっか」
蒼大が微笑んだ。
「蒼大のおかげ」
「え?」
蒼大が驚いたように聞き返した。
「あの時、私の名前じゃなくてリリィって呼んでくれたから続けられた」
私はその時のことを思い出して言った。
「美月が、劇を続けられなかったらまた自分のせいにしちゃいそうだったから」
…私のために。
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