上 下
4 / 46
ひまわりの咲く頃に

第3話:花と新しい友達

しおりを挟む

 私と話したい事って一体なんだろう…
 学校のことならお兄ちゃんの方が詳しいし…

 クラスのことかな。人気者だから心配することなんてないと思うけど、

 というか。また、お兄ちゃんと三人で学校を回る流れになるかと思ったけど、お兄ちゃんに対してあんなにハッキリとものを言った人は初めてだ。

 そして、お兄ちゃんが諦めるところも初めて見た。

「美月さんって園芸部に入ってるの?」

「園芸部…?」

 私、帰宅部なんですけど…何と勘違いしてるんだろう。

「あれ、違った?今日の朝、美月さんが正門の花に水をやっているのを見たんだ。だからてっきり園芸部だと思ったんだけど…」

「あぁ、それは…ただお花が好きで、毎朝お花に水やりをしてるんだよね。お花を見ると元気になるでしょ?それに、ここの学校園芸部ないからさ、誰かが面倒見ないと枯れちゃうから」

「そっか、そうなんだ」

 中川君も花好きなのかな

「中川君も」
「蒼大でいいよ」

「じゃあ蒼大も美月でいいよ」
「分かった」

「蒼大もお花好きなの?」

 お花好きな子、周りにはいないから好きなら嬉しい

「神奈川にいた時、お母さんが花屋をしていて、それで自然に好きになったんだ」

 それなら、お花について詳しいのかな。何かあった時相談できるかも。

「へーそうなんだ!園芸部がなくて残念だったね」

「そうだね」

 あ、そういえば、

「私と話したいことってお花の事だった?」

「え?」

「ほら、さっき私と話がしたいって言ってたから。園芸部の事聞きたかったのかなって、」

「あぁ、違うよ。ただ単純に美月と話してみたかっただけだよ」

 私と…?

「何で?」

「他の人とは違うから」
「他の人?」

「みんなの目と美月の目は違った」

 私の目が他の人とは違う…

 そんなこと生まれて初めて言われた。

「それはどういう…」

「嬉しかったんだ」

 蒼大の真っ直ぐな瞳に見つめられて、思わず心臓が高鳴った。

「そ、うなんだ。…えっと、部活何か入るの?」

 どういうことかよく分からなかったけど、深く聞くのはやめた。

「うーん。まだ決めてないけど…明日、サッカー部の見学に行くんだ」

 サッカー部か。うん。なんか、想像出来る

「前の学校でもサッカーしてたの?」

「前の学校では陸上部だったんだ」

 スポーツできるなんて羨ましい。

「へぇ、運動神経いいんだね」

「そんなことないよ。…あのさ、」

「ん?」

「明日から、俺も花に水やりしてもいい?」

「もちろん!」

 いつも一人で水やりしてたから、まさか水やり友達が出来て嬉しい。

 明日から楽しくなりそうだな。




 そう思っていたのに、またお兄ちゃんが…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

あなたなんて大嫌い

みおな
恋愛
 私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。  そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。  そうですか。 私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。  私はあなたのお財布ではありません。 あなたなんて大嫌い。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら

夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。  それは極度の面食いということ。  そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。 「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ! だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」  朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい? 「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」  あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?  それをわたしにつける??  じょ、冗談ですよね──!?!?

ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない

絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。

皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした

葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。 でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。 本編完結済みです。時々番外編を追加します。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」 王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。 無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。 だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。 婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。 私は彼の事が好きだった。 優しい人だと思っていた。 だけど───。 彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

処理中です...