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27話 芸術が爆発ですわ
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その後、王子の経営する執事喫茶はしばらくすると客足も低迷し、国庫の金を使い込んだのが王にばれて潰れたそうである。王子は謹慎を言い渡され、しばらく表に出ていないそうだ。
「いい気味だわ~」
鼻歌まじりに王都の噂話を届けにきたヴィヴィーはパフェを口にした。
「私、このアイスクリームってやつ大好きだわ。これから夏だし最高ね」
「作るの結構大変なんですのよ」
何しろ手動である。厨房係のサニーはヒマさえあればアイスクリーム器をぐるぐるぐるぐる回している。その時である。
「ちょっとー! 見せなさいよー!」
「かかか、勘弁してください……」
ミッキとフィーに追いかけられているのは絵師のミゲルだ。
「どうしましたの?」
「あっ、妖精さん!」
「こいつがなんかコソコソ描いてるんだよ!」
「あら、何を描いているの?」
リリアンナがそう言うと、ミゲルは観念したかのようにスケッチブックを差し出した。
「ふーん?」
そこにはメイド服を着た女の子が怪物を倒し、町を救う様子が何枚にも渡って描かれている。
「これは……」
リリアンナは息を飲んだ。これは漫画だ。まだその原型にすぎないけれど……。
「先日のハルト様の聖剣の戦いをみてインスピレーションが湧いてしまって……すみませんでした」
「いえ、いいのよ。それよりもここをこう台詞をいれたり説明をいれたりしたらもっと分かりやすいんじゃないかしら」
「おお……! さすが奥様……」
「完成したら見せて頂戴」
数日後、ミゲルは完成した漫画をリリアンナに見せた。ストーリーは単純だが元々画力もしっかりしているのでリリアンナの鑑賞にも堪えうるものだった。
「おもしろかったわ……ちょっとこれをしばらく預かってもいいかしら」
「……? 構いませんが……」
リリアンナはそれをウルスラの作った印刷機にかけて印刷し、本を綴じた。それを十部ばかり作ってミゲルに渡した。
「おお……本になっている……!」
「そりゃなんだい」
「見せてみろ」
絵師達はミゲルのコピー本を熱心に読んだ。
「うーむ、なかなか面白い」
「いや、私ならこの怪物をもっと恐ろしげにしてみせましょう」
そんな絵師達の様子を見て、リリアンナはこう告げた。
「みんなそれぞれ作ってみたらどう? うまくできたら本にしてあげますわ」
「……! 本当ですか!」
それから絵師達は待機時間を使ってせっせと漫画を描き始めた。リリアンナはその隙に近くの空き店舗を押さえた。
「リリアンナ、今度は何をする気かい?」
なにやらまた忙しく立ち回りはじめたリリアンナにハルトがそう聞くと、リリアンナはいたずらっぽく笑って唇に指を当てた。
「ハルト様もきっとびっくりしますわ」
そしてしばらくして出来た店舗に並んだのは、絵師達が描いた漫画本、それからめろでぃたいむのメイド達の姿のタペストリーやブローチやミニサイズの肖像画だった。
「これは……」
息を飲むハルト。その横でリリアンナは澄まして言った。
「漫画と萌えグッズのショップですわ。『りずむめいと』って名付けましたの。皆さんここでお土産を買ったらいいと思って」
「漫画とかどうやったんだ……」
それは絵師達の研鑽の結果である。それらはあまり質のいい紙に印刷されていなかったが、その分安価だった。
「これと、これと……」
「あらあら買い占めるおつもりですの?」
「だって漫画なんて久し振りだし!」
ハルトはあれもこれもと手を伸ばして本を買い込んだ。リリアンナはその様子を微笑みながら見つめていた。
「あの、実はあの漫画を読んで私は絵が描けないので小説を書いていて……」
しばらくするとそんな人物も現れた。リリアンナはその小説を読んで、そのいくつかも漫画と同じように安価な作りにして店に出した。それがなかなかの売れ行きになると、ミゲルに命じて漫画にさせた。
気が付くと、方々の街から『りずむめいと』に買い物に来る客が増えていった。そしてその客はめろでぃたいむにも寄る。
「……次に必要なのはPCパーツですかしら」
「リリアンナ……この街を一体どうするつもりだい」
ハルトはリリアンナの行動力に舌を巻きつつ、楽しげな様子を目を細めて見つめた。
「ちょっと! 『剣と少女』の最新話はまだな訳!? 印刷が出来ないんだけど!」
ウルスラはイライラとしながら印刷機の前に陣取っていた。
「ちょっとスランプらしくって……」
「ちょっとお! 締め切りと読者は待ってくれないのよ! とっとと行って原稿もぎ取ってきなさい!」
そうわめくウルスラを見て、リリアンナとハルトは思わず顔を見合わせた。
「いい気味だわ~」
鼻歌まじりに王都の噂話を届けにきたヴィヴィーはパフェを口にした。
「私、このアイスクリームってやつ大好きだわ。これから夏だし最高ね」
「作るの結構大変なんですのよ」
何しろ手動である。厨房係のサニーはヒマさえあればアイスクリーム器をぐるぐるぐるぐる回している。その時である。
「ちょっとー! 見せなさいよー!」
「かかか、勘弁してください……」
ミッキとフィーに追いかけられているのは絵師のミゲルだ。
「どうしましたの?」
「あっ、妖精さん!」
「こいつがなんかコソコソ描いてるんだよ!」
「あら、何を描いているの?」
リリアンナがそう言うと、ミゲルは観念したかのようにスケッチブックを差し出した。
「ふーん?」
そこにはメイド服を着た女の子が怪物を倒し、町を救う様子が何枚にも渡って描かれている。
「これは……」
リリアンナは息を飲んだ。これは漫画だ。まだその原型にすぎないけれど……。
「先日のハルト様の聖剣の戦いをみてインスピレーションが湧いてしまって……すみませんでした」
「いえ、いいのよ。それよりもここをこう台詞をいれたり説明をいれたりしたらもっと分かりやすいんじゃないかしら」
「おお……! さすが奥様……」
「完成したら見せて頂戴」
数日後、ミゲルは完成した漫画をリリアンナに見せた。ストーリーは単純だが元々画力もしっかりしているのでリリアンナの鑑賞にも堪えうるものだった。
「おもしろかったわ……ちょっとこれをしばらく預かってもいいかしら」
「……? 構いませんが……」
リリアンナはそれをウルスラの作った印刷機にかけて印刷し、本を綴じた。それを十部ばかり作ってミゲルに渡した。
「おお……本になっている……!」
「そりゃなんだい」
「見せてみろ」
絵師達はミゲルのコピー本を熱心に読んだ。
「うーむ、なかなか面白い」
「いや、私ならこの怪物をもっと恐ろしげにしてみせましょう」
そんな絵師達の様子を見て、リリアンナはこう告げた。
「みんなそれぞれ作ってみたらどう? うまくできたら本にしてあげますわ」
「……! 本当ですか!」
それから絵師達は待機時間を使ってせっせと漫画を描き始めた。リリアンナはその隙に近くの空き店舗を押さえた。
「リリアンナ、今度は何をする気かい?」
なにやらまた忙しく立ち回りはじめたリリアンナにハルトがそう聞くと、リリアンナはいたずらっぽく笑って唇に指を当てた。
「ハルト様もきっとびっくりしますわ」
そしてしばらくして出来た店舗に並んだのは、絵師達が描いた漫画本、それからめろでぃたいむのメイド達の姿のタペストリーやブローチやミニサイズの肖像画だった。
「これは……」
息を飲むハルト。その横でリリアンナは澄まして言った。
「漫画と萌えグッズのショップですわ。『りずむめいと』って名付けましたの。皆さんここでお土産を買ったらいいと思って」
「漫画とかどうやったんだ……」
それは絵師達の研鑽の結果である。それらはあまり質のいい紙に印刷されていなかったが、その分安価だった。
「これと、これと……」
「あらあら買い占めるおつもりですの?」
「だって漫画なんて久し振りだし!」
ハルトはあれもこれもと手を伸ばして本を買い込んだ。リリアンナはその様子を微笑みながら見つめていた。
「あの、実はあの漫画を読んで私は絵が描けないので小説を書いていて……」
しばらくするとそんな人物も現れた。リリアンナはその小説を読んで、そのいくつかも漫画と同じように安価な作りにして店に出した。それがなかなかの売れ行きになると、ミゲルに命じて漫画にさせた。
気が付くと、方々の街から『りずむめいと』に買い物に来る客が増えていった。そしてその客はめろでぃたいむにも寄る。
「……次に必要なのはPCパーツですかしら」
「リリアンナ……この街を一体どうするつもりだい」
ハルトはリリアンナの行動力に舌を巻きつつ、楽しげな様子を目を細めて見つめた。
「ちょっと! 『剣と少女』の最新話はまだな訳!? 印刷が出来ないんだけど!」
ウルスラはイライラとしながら印刷機の前に陣取っていた。
「ちょっとスランプらしくって……」
「ちょっとお! 締め切りと読者は待ってくれないのよ! とっとと行って原稿もぎ取ってきなさい!」
そうわめくウルスラを見て、リリアンナとハルトは思わず顔を見合わせた。
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