上 下
74 / 82

-2★

しおりを挟む
「良かった」
「ラン……ごめん」
「え?」
「お前を巻き込んでしまって……済まなかった」

 見るとレクスは震えていた。それは怒りなのか後悔なのか。やり場のない渦巻く感情にレクスは翻弄され、謝罪の言葉を繰り返す。

「やめて。レクスが助けに来てくれた時、本当に嬉しかったんだ……。悪いのはあいつらだ」

 主張があるなら暴力ではなく言葉で訴えるべきだ。この国には議会だってあるのだから。とランは思った。

「……ラン」
「きっとオレを必死に捜してくれてるって思ってた」

 ランはレクスの腰にぎゅっと抱きついた。ずっとこうしてくっついていたい。

「レクス、お願いがある」
「どうした?」
「オレを……抱いて」
「ラン……怪我してるんだぞ」
「そんなの……それよりずっと気持ち悪いんだ。あの男が触れたところが」

 そう口に出すと、ランはあの感触が生々しく蘇ってくるのを感じた。

「ラン……」
「こんなオレを嫌じゃなかったら抱いて欲しい」

 その途端に、ランはレクスに抱きしめられた。ぴったりと合わさった体から伝わってくる体温が心地よい。

「そんなつまらないことを考えるな」
「レクスっ……」
「ラン、俺はお前を愛している……お前がどこに居ようと、どうなろうと」
「うん……うん……そうだね……」

 そうだ。レクスは昔から、それこそ子供の頃から変わらない愛情をランに向けてくれていた。ランの胸に温かい気持ちが溢れてくる。

「……触って?」

 ランがレクスの手を取ってシャツの中に導くと、レクスはランの額にキスをした。

「痛かったら、言って」
「うん」

 レクスはランの着ているシャツをはぎ取ると、その薄い胸の小さな蕾をそっと触れた。

「あ……」
「ラン、大丈夫?」
「あ、う……もっと触って」

 乳首に感じる優しい刺激に、ランは身もだえをする。レクスはそんなランの反応を見ながらそこに口づけした。

「はぁ……ん」

 温かい舌の感触を味わいながら、ランはもどかしげに下も脱いだ。すでにランの花芯は熱を持って立ち上がっている。

「ラン……気持ちいいか」
「う、うんっ……もっと」

 ランの可愛らしいおねだりに、レクスはふっと微笑みを浮かべてその花芯をそっと握りこむ。

「はあっ……」
「ラン……もうこんなになってる」

 レクスがそこをゆるゆるとしごくと鈴口からたらたらと蜜が垂れ落ちる。そのぬめりを借りてレクスはさらに刺激を与えると、ランは身をのけ反らせた。

「あっ、ああ……イッちゃうぅ」
「いいよ、ラン」
「ああっ、んぅ……ああんっ」

 激しくこすり上げられたランはビクビクと体を震わせて精を吐いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

上手に啼いて

紺色橙
BL
■聡は10歳の初めての発情期の際、大輝に噛まれ番となった。それ以来関係を継続しているが、愛ではなく都合と情で続いている現状はそろそろ終わりが見えていた。 ■注意*独自オメガバース設定。■『それは愛か本能か』と同じ世界設定です。関係は一切なし。

聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん
ファンタジー
「貴方には剣と魔法の異世界へ行ってもらいますぅ~」 ────何言ってんのコイツ? あれ? 私に言ってるんじゃないの? ていうか、ここはどこ? ちょっと待てッ!私はこんなところにいる場合じゃないんだよっ! 推しに会いに行かねばならんのだよ!!

あなたの子ではありません。

沙耶
恋愛
公爵令嬢アナスタシアは王太子セドリックと結婚したが、彼に愛人がいることを初夜に知ってしまう。 セドリックを愛していたアナスタシアは衝撃を受けるが、セドリックはアナスタシアにさらに追い打ちをかけた。 「子は要らない」 そう話したセドリックは避妊薬を飲みアナスタシアとの初夜を終えた。 それ以降、彼は愛人と過ごしておりアナスタシアのところには一切来ない。 そのまま二年の時が過ぎ、セドリックと愛人の間に子供が出来たと伝えられたアナスタシアは、子も産めない私はいつまで王太子妃としているのだろうと考え始めた。 離縁を決意したアナスタシアはセドリックに伝えるが、何故か怒ったセドリックにアナスタシアは無理矢理抱かれてしまう。 しかし翌日、離縁は成立された。 アナスタシアは離縁後母方の領地で静かに過ごしていたが、しばらくして妊娠が発覚する。 セドリックと過ごした、あの夜の子だった。

三度目の人生は冷酷な獣人王子と結婚することになりましたが、なぜか溺愛されています

倉本縞
BL
エルガー王国の王子アンスフェルムは、これまで二回、獣人族の王子ラーディンに殺されかかっていた。そのたびに時をさかのぼって生き延びたが、三回目を最後に、その魔術も使えなくなってしまう。 今度こそ、ラーディンに殺されない平穏な人生を歩みたい。 そう思ったアンスフェルムは、いっそラーディンの伴侶になろうと、ラーディンの婚約者候補に名乗りを上げる。 ラーディンは野蛮で冷酷な獣人の王子と噂されていたが、婚約者候補となったアンスフェルムを大事にし、不器用な優しさを示してくれる。その姿に、アンスフェルムも徐々に警戒心を解いてゆく。 エルガー王国がラーディンたち獣人族を裏切る未来を知っているアンスフェルムは、なんとかそれを防ごうと努力するが……。

どうぞ二人の愛を貫いてください。悪役令嬢の私は一抜けしますね。

kana
恋愛
私の目の前でブルブルと震えている、愛らく庇護欲をそそる令嬢の名前を呼んだ瞬間、頭の中でパチパチと火花が散ったかと思えば、突然前世の記憶が流れ込んできた。 前世で読んだ小説の登場人物に転生しちゃっていることに気付いたメイジェーン。 やばい!やばい!やばい! 確かに私の婚約者である王太子と親しすぎる男爵令嬢に物申したところで問題にはならないだろう。 だが!小説の中で悪役令嬢である私はここのままで行くと断罪されてしまう。 前世の記憶を思い出したことで冷静になると、私の努力も認めない、見向きもしない、笑顔も見せない、そして不貞を犯す⋯⋯そんな婚約者なら要らないよね! うんうん! 要らない!要らない! さっさと婚約解消して2人を応援するよ! だから私に遠慮なく愛を貫いてくださいね。 ※気を付けているのですが誤字脱字が多いです。長い目で見守ってください。

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

【続篇完結】第四皇子のつがい婚―年下皇子は白百合の香に惑う―

熾月あおい
BL
嶌国の第四皇子・朱燎琉(α)は、貴族の令嬢との婚約を前に、とんでもない事故を起こしてしまう。発情して我を失くし、国府に勤める官吏・郭瓔偲(Ω)を無理矢理つがいにしてしまったのだ。 その後、Ωの地位向上政策を掲げる父皇帝から命じられたのは、郭瓔偲との婚姻だった。 納得いかないながらも瓔偲に会いに行った燎琉は、そこで、凛とした空気を纏う、うつくしい官吏に引き合わされる。漂うのは、甘く高貴な白百合の香り――……それが燎琉のつがい、瓔偲だった。 戸惑いながらも瓔偲を殿舎に迎えた燎琉だったが、瓔偲の口から思ってもみなかったことを聞かされることになる。 「私たちがつがってしまったのは、もしかすると、皇太子位に絡んだ陰謀かもしれない。誰かの陰謀だとわかれば、婚約解消を皇帝に願い出ることもできるのではないか」 ふたりは調査を開始するが、ともに過ごすうちに燎琉は次第に瓔偲に惹かれていって――……? ※「*」のついた話はR指定です、ご注意ください。 ※第11回BL小説大賞エントリー中。応援いただけると嬉しいです!

アラフォーだけど異世界召喚されたら私だけの王子様が待っていました。

ぬくい床子
恋愛
40才の誕生日、異世界に召喚されてしまった。 初めてのはずなのに何故か私のことを知ってる人達がいる。 どうもこの世界に聖女として来たことがあるらしい。 魔王が復活しそうなのでまた召喚されてしまった。 何故か見た目が若返っている。 「君が確かにここにいると感じたい」と王子様に抱きしめられるが以前の記憶がない。 魔王の攻撃を受けるが影を倒すたびに一度目に召喚された時の記憶が少しずつ戻ってくる。 「何としても君の記憶を取り戻したい」 自分との記憶を思い出して欲しい王子様。 召喚されたからにはこの世界を守りたいと聖女は願う。 完結しております。

処理中です...