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「ラン、午後はボートに乗ろう。あっちの池にあるから」
「うん」
最後のサンドイッチを口に放り込んだランに、レクスはそう言った。
「競走する?」
「残念なからボートはひとつだ」
「ちぇ」
そんな軽口を叩きながら、二人は池に向かった。池に浮かんだボートにまずレクスが乗り込む。
「ラン、おいで」
「うん」
ランは思ったより小さく揺れるボートにおっかなびっくりと乗った。
「漕ぐよ」
「うん」
すーっとボートは池を進む。落ち葉がぷかぷか浮かぶ水面にランはそっと手を伸ばした。
「ひゃー、つべたい」
「当り前だ」
やがて池の中央に着くと、レクスは漕ぐのをやめた。
「交代するか」
「了解」
今度はランがオールを持って漕ぐ番だ。
「あれれ? 真っ直ぐ進まない」
「両方のオールを均等にこがないと」
「こう?」
「そうそう」
ランがレクスに言われたように漕ぐと、ボートはよろめきつつも前に進んだ。
「あー! 進んでる」
「ラン、もしかしてボートは初めてなのか?」
「うん。オレ泳ぐの下手くそだし」
それを聞いたレクスは急に心配そうな顔をしてランを覗き混んだ。
「そうなのか? ボート怖い?」
「ううん、大丈夫」
ランがそう答えると、レクスはほっとしたように息を吐いた。
「じゃあそろそろお仕舞いにしよう。交代だ」
「いや、岸まで漕ぐよ」
「危なっかしいんだって」
「嫌だ!」
ランはレクスの手を振り払うとボートをこぎ始めた。
「ラン! スピード出しすぎだ!」
「わっ」
がむしゃらにランがこいだボートは岸に激突した。その拍子に、ランはボートから投げ出される。
「ああっ」
「ラン!」
水面に落ちたランは急なことに慌ててバシャバシャと手を掻いた。
「掴まれ!」
レクスは池に飛び込み、ランを抱えて岸に引っ張り上げる。
「大丈夫か!?」
「うぇ、げほ……うん」
ランは咳き込みながらなんとかレクスの問いに答えた。
「よかった……」
レクスはランをぎゅっと抱きしめた。
「ちょ、ちょっと大袈裟だって」
「あのまま溺れるかと」
「……足ついたもんあの池」
ランはぶすくれてレクスの腕の中から逃げ出して、袖を絞った。
「ああ、二人ともびちゃびちゃだ」
「ラン、早く帰ろう」
「うん……へっくしゅ!」
日が陰りはじめて冷たい風が吹いている。ランは体をぶるっと震わせた。
「おやまあ」
家に帰ると、濡れ鼠の二人をロランドが目を丸くして迎えた。
「今、お湯を沸かします」
「ごめんなさい、ロランドさん」
「いいですって。とりあえず風邪を引くので濡れた服を早く脱いでください。びしょびしょのままで家に入らないでくださいね」
ランとレクスの二人は、ロランドからタオルを渡された。
「怒られた」
「ははは。ラン、気にするな」
レクスは濡れたシャツをさっそく脱ぎながら、ランの頭にばさりとタオルをかけた。
「うん」
最後のサンドイッチを口に放り込んだランに、レクスはそう言った。
「競走する?」
「残念なからボートはひとつだ」
「ちぇ」
そんな軽口を叩きながら、二人は池に向かった。池に浮かんだボートにまずレクスが乗り込む。
「ラン、おいで」
「うん」
ランは思ったより小さく揺れるボートにおっかなびっくりと乗った。
「漕ぐよ」
「うん」
すーっとボートは池を進む。落ち葉がぷかぷか浮かぶ水面にランはそっと手を伸ばした。
「ひゃー、つべたい」
「当り前だ」
やがて池の中央に着くと、レクスは漕ぐのをやめた。
「交代するか」
「了解」
今度はランがオールを持って漕ぐ番だ。
「あれれ? 真っ直ぐ進まない」
「両方のオールを均等にこがないと」
「こう?」
「そうそう」
ランがレクスに言われたように漕ぐと、ボートはよろめきつつも前に進んだ。
「あー! 進んでる」
「ラン、もしかしてボートは初めてなのか?」
「うん。オレ泳ぐの下手くそだし」
それを聞いたレクスは急に心配そうな顔をしてランを覗き混んだ。
「そうなのか? ボート怖い?」
「ううん、大丈夫」
ランがそう答えると、レクスはほっとしたように息を吐いた。
「じゃあそろそろお仕舞いにしよう。交代だ」
「いや、岸まで漕ぐよ」
「危なっかしいんだって」
「嫌だ!」
ランはレクスの手を振り払うとボートをこぎ始めた。
「ラン! スピード出しすぎだ!」
「わっ」
がむしゃらにランがこいだボートは岸に激突した。その拍子に、ランはボートから投げ出される。
「ああっ」
「ラン!」
水面に落ちたランは急なことに慌ててバシャバシャと手を掻いた。
「掴まれ!」
レクスは池に飛び込み、ランを抱えて岸に引っ張り上げる。
「大丈夫か!?」
「うぇ、げほ……うん」
ランは咳き込みながらなんとかレクスの問いに答えた。
「よかった……」
レクスはランをぎゅっと抱きしめた。
「ちょ、ちょっと大袈裟だって」
「あのまま溺れるかと」
「……足ついたもんあの池」
ランはぶすくれてレクスの腕の中から逃げ出して、袖を絞った。
「ああ、二人ともびちゃびちゃだ」
「ラン、早く帰ろう」
「うん……へっくしゅ!」
日が陰りはじめて冷たい風が吹いている。ランは体をぶるっと震わせた。
「おやまあ」
家に帰ると、濡れ鼠の二人をロランドが目を丸くして迎えた。
「今、お湯を沸かします」
「ごめんなさい、ロランドさん」
「いいですって。とりあえず風邪を引くので濡れた服を早く脱いでください。びしょびしょのままで家に入らないでくださいね」
ランとレクスの二人は、ロランドからタオルを渡された。
「怒られた」
「ははは。ラン、気にするな」
レクスは濡れたシャツをさっそく脱ぎながら、ランの頭にばさりとタオルをかけた。
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