3 / 12
また明日
1/2
しおりを挟む
ホテルの部屋の窓からは、夜の、ネオンに溢れた街並みと、星のない真っ黒な空が見えた。
シャワーを浴びたばかりの体からはほんのりとボディソープの香りがして、髪の先からはまだ、雫が滴っている。
もうすぐ、俺と同じ香りを纏わせて、浴室から彼が出てくる。
そして、俺は彼を置いて、逃げるようにこの部屋から出ていく。
いつから、こんな関係になったんだっけ。
何で、こんな関係にしたんだっけ。
きっかけは全部、俺だった。
浴室から出てきた彼は、ベッドに座ってタバコを吸っている。
その仕草が、たまらなく好きだった。
俺だけのものになればいいと思った。
なるはずがないことは、知っていたのに。
「なぁ」
タバコを吸い終えた彼が、優しい声で俺に話しかける。
勘違いさせるような声。
愛されているような、そんな気がする声。
「なに?」
ベッドに座る彼に近寄り、膝に手を置いて、何を考えているのかわからない瞳を覗き込む。
きっと、俺が考えたくないことを、この瞳の奥で彼はいつも考えているんだろう。
「俺たち…」
その先を、唇で塞ぎ、耳元で俺はいつもの言葉を囁く。
「また明日ね」
そして彼から、この夜から、逃げるように俺はホテルの部屋を出ていく。
追いかけてくるのは、いつも闇だけ。
まとわりつくような、夜の匂いだけだった。
シャワーを浴びたばかりの体からはほんのりとボディソープの香りがして、髪の先からはまだ、雫が滴っている。
もうすぐ、俺と同じ香りを纏わせて、浴室から彼が出てくる。
そして、俺は彼を置いて、逃げるようにこの部屋から出ていく。
いつから、こんな関係になったんだっけ。
何で、こんな関係にしたんだっけ。
きっかけは全部、俺だった。
浴室から出てきた彼は、ベッドに座ってタバコを吸っている。
その仕草が、たまらなく好きだった。
俺だけのものになればいいと思った。
なるはずがないことは、知っていたのに。
「なぁ」
タバコを吸い終えた彼が、優しい声で俺に話しかける。
勘違いさせるような声。
愛されているような、そんな気がする声。
「なに?」
ベッドに座る彼に近寄り、膝に手を置いて、何を考えているのかわからない瞳を覗き込む。
きっと、俺が考えたくないことを、この瞳の奥で彼はいつも考えているんだろう。
「俺たち…」
その先を、唇で塞ぎ、耳元で俺はいつもの言葉を囁く。
「また明日ね」
そして彼から、この夜から、逃げるように俺はホテルの部屋を出ていく。
追いかけてくるのは、いつも闇だけ。
まとわりつくような、夜の匂いだけだった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
肌が白くて女の子みたいに綺麗な先輩。本当におしっこするのか気になり過ぎて…?
こじらせた処女
BL
槍本シュン(やりもとしゅん)の所属している部活、機器操作部は2つ上の先輩、白井瑞稀(しらいみずき)しか居ない。
自分より身長の高い大男のはずなのに、足の先まで綺麗な先輩。彼が近くに来ると、何故か落ち着かない槍本は、これが何なのか分からないでいた。
ある日の冬、大雪で帰れなくなった槍本は、一人暮らしをしている白井の家に泊まることになる。帰り道、おしっこしたいと呟く白井に、本当にトイレするのかと何故か疑問に思ってしまい…?
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる