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捜査最終日

113. 十一日目(謹慎三日)、最後の訪問

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 後藤が東病院に到着したのはメッセージが浮かび上がると予想され
る5分前の18時55分だった。遅い時間だったのでインターフォン
を鳴らすも応答が無かった。どうしたものか迷ったがドアノブを回す
と玄関に鍵が掛かっていない事が分かる。

 鍵を開けっぱなしで外出している事は無いだろうと思い改めて仕方
なしに入室しスリッパに履き替えると普段通りに面会用紙に記入して
隆を探すが見当たらなかった。
(隆君も東院長も居ないか……)

 気を取り直して今回の最大の目的である箱庭が置かれた部屋に移動
して時間になるまで待っていると交通課の高橋真悠子からメールが届
いた。気になる内容は「部屋に上がって合鍵を持ち帰った事と冷蔵庫
のハンバーガーは近日中に食べてね!」と書かれていた。 
 後藤は、了解と鍵を無くさない事を書いた内容のショートメールを
送信した。その3分後、高橋から再度メールがあり、了解しましたと
知人に箱庭療法に詳しい人物が居て”箱庭は基本的に持ち上げて使用し
ない”と書かれていた。その内容を見た後藤は携帯電話を落っことしそ
うになったが床に落ちる前に掴み直していた。
(つまり、東医師は医師ではない可能性が出てきたって事か……)
 はやる気持ちを抑えて東病院を検索したが東京と精神科を含んだ病
院はヒットしなかった。ネットに情報を発信していないだけかもしれ
ないとは思ったが何だか急激な不安に襲われたのだった。
(そう言えば下の名前は一度も聞いて無かったよな。もしかしたら、
名前に秘密があるのかもしれないっ。一度問い詰めてみるか!?)
 少しでも不安を和らげようとショルダーバッグから先程、中野店で
購入した改良済のベレッタM92FSを箱から取り出して現物を確認する。
 銃自体に興味が無いのでエアガンを扱うのは、初めてだったが箱に
入っていた取り扱い説明書をさらっと読み終えて弾が入っているのを
確認した後、安全装置を外してヘソの真下に位置するズボン内に隠し
た。
「これじゃあ、やっぱり目立つよな」
 ショルダーバッグに小さく折りたたまれたアロハシャツに素早く着
替えると銃があると思われる膨らみも目立つ様子は無かった。問題が
解決したところでショルダーバッグから護身用のクレジットカードサ
イズのカード型ナイフも取り出してズボンの後ろ左ポケットに入れた。
 護身術の覚えが悪い警察学校時代だっただけに素手での対応は不安
しか無かったのだ。だがそれも解消されて丸腰では無くなっていた。


 
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